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2007.06.02

別離、そして‥‥★「シェルブールの雨傘」

(2)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

戦争によって引き裂かれるカップルを描いた映画は、古今東西、星の数ほどありますが、
中でも、映像表現が独特で、ストーリーも素晴らしく、観る人の心を大きく打つのが、
1964年のフランス映画「シェルブールの雨傘」ではないでしょうか‥‥

「シェルブールの雨傘」オリジナル・サウンドトラック完全盤

'57年、フランス北西部の港町シェルブール‥‥
雨傘店の娘ジュヌビエーブ（カトリーヌ・ドヌーブ）と、
ガレージに勤めるギイ（ニーノ・カステルヌオーボ）は、若い恋人同士。
２人は結婚の約束をし、男の子が生まれたらフランソワ、
女の子が生まれたらフランソワーズと名づけようと、決めていた。
ところがフランスがアルジェリアに侵攻し、
ギイに召集令状が‥‥！
哀しみにくれるジュヌビエーブは、出征前夜のギイに身体を許した。
翌朝、シェルブールの港で泣きながらギイを見送るジュヌビエーブ。
ところが出征したギイからは、数ヶ月たっても何の便りもなかった。
そしてジュヌビエーブのお腹には、新しい命が‥‥
そんな時、母の知り合いの宝石商のカサール（マルク･ミシェル）が、ジュヌビエーブを見初め、
結婚を申し込んできた。
激しく揺れるジュヌビエーブの心‥‥

全篇セリフが歌
ユニークな映画でしたね。
冒頭、俯瞰でシェルブールの街を行き交う人々を撮り、
やがて雨が降り、人々が傘の花を咲かせるタイトル･バックが見せます。
花の都パリとはまた趣の違った、港町独特の風景が新鮮でした。
雨傘店のある商店街は、日本の地方都市のそれとちょっと似ていましたね。

愛し合う若い男女が、戦争によってむりやり引き裂かれ、
悲嘆にくれるところは、よくある恋愛映画と変わるところはありませんが、
そのあとは、非常に冷静な視点で、冷たいほど現実的に描かれています。
あれほど愛し合っていたカップルも、離れてしまえば、
「去る者は日々に疎し」というのでしょうか‥‥
若きドヌーヴの輝くばかりの美しさは、改めて書くまでもありませんが、
戦争で足を負傷した上に、愛するジュヌビエーブを失い、
深い哀しみにくれ、心の拠り所を失って夜の港町をさまようギイの姿が、
今でも目に焼きついて離れません。

若い頃の初恋はおおむね実らぬものだということを、
ちょっと皮肉っぽく、さめた目線で描いた秀作ですね。
監督は「ロバと王女」などのジャック・ドゥミ。

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最終更新日 2007.06.02 15:19:00
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■コメント

そうなんですよね～☆

WHO-KO さん

私も大好きな作品です☆この作品、観るたびに色々な発見がありますよね～☆　ジャック・ドゥミと、奥さまのアニエス・ヴァルダ、全然作品のタッチもテーマも、真逆で、そこも面白いですね・・・ｗ☆ (2007.06.03 13:34:05)

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Re:そうなんですよね～☆(06/02)

モイラ2007 さん

WHO-KOさん、こんばんは♪

＞私も大好きな作品です☆この作品、観るたびに色々な発見がありますよね～☆　ジャック・ドゥミと、奥さまのアニエス・ヴァルダ、全然作品のタッチもテーマも、真逆で、そこも面白いですね・・・ｗ☆
-----
確かに真逆ですね。
モイラはどちらかというと、ドゥミ監督作品のほうが
自分の好みにあっています。

(2007.06.03 20:32:39)

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