潜水艦という恐怖の密室★「Ｕ・ボート」

2007.07.02

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「眼下の敵」「原子力潜水艦浮上せず」「潜水艦イ－57降伏せず」など、
潜水艦を舞台にした傑作はいろいろありますが、
中でも臨場感にあふれ、息つまるサスペンスの連続で観客を恐怖に陥れた傑作が、
'81年の西ドイツの「Ｕ・ボート」でしょう‥‥

ユルゲン・プロホノフ／Uボート　ディレクターズ・カット

英国首相チャーチルも恐れた、ナチス･ドイツが誇る潜水艦Ｕ・ボート。
1941年、記者のヴェルナー（ヘルベルト・グリューネマイヤー）は取材のため、
そのＵ・ボートに艦長（ユルゲン・プロホノフ）に乗り込んだ。
水深160メートルまで潜れるＵ・ボートは、フランスの港町ラ・ロシェルをあとにし、
連合軍の艦隊を攻撃するため、ジブラルタル海峡へと向かった。
ところが、敵の艦隊から激しい攻撃を受け、
艦はみるみる水深200メートル、230メートルと海の奥深くに沈んでいった。
これ以上沈んだら、艦が水圧で破戒される！
ヴェルナーもクルー達の顔も恐怖にひきつり‥‥

潜水艦という逃げ場のない密室で起こるサスペンスと、
常に死と隣あわせの中で繰り広げられる人間ドラマが、
うまく融合している戦争映画の大傑作ですね。
舞台はほとんど狭い潜水艦の中だけ。
だから本当に臨場感にあふれていて、観ていて息がつまるほどでした。
砲台が敵に飛ばされ、プレッシャーバルブもきかなくなり、
艦が海の底へ底へと沈んでいき、ついに水深200メートルを超え、
クルーがレッドゾーンをぶち切った水深メーターを、恐怖に慄きながら見入り、
艦体がメリメリッ、ミシミシッ、ガーンと音をたて、
いつ水圧で壊れるかわからない状態になった場面では、
モイラはもう亀のように首を縮めていました。
「200メートル‥‥に、230メートル！」メーターを読み上げるクルーも声が震えていましたね。
（モイラはこの映画を観て、ドイツもメートル法を使うことを知りました）
ついに艦体は水深280メートルの海底にまで達し、
やーっと浮上し、危機を乗り越えたぞお！と、思ったら‥‥

ヴォルフガング・ペーターゼン監督は、戦争の悲惨さ、虚しさをも見事に描いていますね。
同じ戦争大作映画でも、ハリウッドのそれとは、テイストが全然違います。
世界大戦に二度負けた国と、ベトナム戦争以外は圧勝の国の違いでしょうね。
モイラが思うに、第二次大戦はもう戦艦や潜水艦の時代じゃなかったということでしょうね。

★潜水艦が舞台の映画！★