★モイラの名画座★

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2007.07.14

なるほど、確かに美男子ですが‥★「血と砂」（'22年）

(9)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

1895年、イタリア南部で生まれ、1913年に渡米、
'17年にハリウッド映画界にデビュー、
輝くばかりの美貌で、多くの女性を虜にし、
サイレント映画期の大スタアの座を獲得するも、
絶頂期に病に倒れ、わずか31年の生涯を閉じ、
活躍したのがトーキー以前の時代ゆえ、観客は誰も彼の声を聞いたことがないという
伝説の映画俳優ルドルフ・ヴァレンティノ‥‥
そんなヴァレンティノの主演作のひとつで、
'22年の公開以後、何度もリメイクされている名作が、これです！

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スペインの田舎生まれのファン・ガラルド（ヴァレンティノ）は、
名闘牛士になるべく努力を重ね、同郷の清純な女性カルメン（ライラ・リー）とも結婚、
大都市ヴァルセロナの大闘牛場の花形スターにまで昇りつめた。
ところが‥‥妖艶な悪女ドンナ・ソル（ニタ・ナルディ）との出会いが、
彼の運命を根底から狂わせるのだった‥‥

社会的な成功をおさめ、家庭にも問題がなかったのに、
近づいてはいけない危険な女に近づいて、
その色香に溺れ、気がついたら女に棄てられ、何もかも失っていた‥‥
古今東西の作家が、戯曲や小説などで何度となく取り上げた題材でもあり、
巷でもよく耳にする話です。
「血と砂」は男の愚かさ、弱さを、象徴的に描いた名作ですね。
年月を経て劣化したフィルムは、赤く変色していましたが、
それが却って主人公の痛みや、闘牛場で流す血を表現しているようでした。

この作品を図書館の上映で観る前、モイラは伝説の美男俳優ヴァレンティノは、
写真、それもバストショットでしか知りませんでした。
なるほど‥‥ 涼しげな目もと、高い鼻筋、美しい黒髪と、
写真を見る限り、「世の女性たちを虜にしたのもわかるなあ‥」と頷きました。
だから映画を観る前、それはそれは胸ときめかせていました。
「あの美しい人が、いったいどんな演技をするんだろう。さぞ色気があるんだろうなあ、ワクワク‥」
しかし‥‥嗚呼、映画が始まるや、もうアゴがはずれるほど口あんぐり状態になってしまいました！
ヴァレンティノは確かに顔は美しい！なるほど、美男子です‥‥だ・け・ど‥‥！
顔ばっかり大きくて、体型が五頭身!!
モイラは図書館の視聴覚室の椅子から、マジで転げ落ちそうになりました。
「大正時代は、こういう男性が絶世の美男子ともてはやされたのか?!」
ものすごく新鮮な驚きでした。
演技のほうも、無声映画だから仕方ないんだけど、ちょっとオーバーすぎ。
今ならきっと体型や演技力で、オーディションの一次選考落ちでしょう。
ヴァレンティノ氏には申し訳ないけど、トーキーになる前に亡くなってて正解ですね。
あの大きすぎる顔と五頭身とオーバーな演技じゃ、トーキー時代を生き残れず、
スタアの座から滑り落ちていたでしょう。

★傑作無声映画★