ただのメロドラマじゃない！★「ある愛の詩」

2007.08.26

(6)

フランシス・レイ
名家の御曹司と貧しいイタリア移民の娘の悲恋物語‥‥
こう書けば、映画ファンの方々はもうおわかりですね。
'70年、世界中の女性たちが泣いたアメリカ映画「ある愛の詩」です。

■■映画パンフレット『ある愛の詩』

ハーバード大生のエドワード（ライアン･オニール）は、大学の図書館の職員ジェニー（アリ・マッグロー）と出会い、
最初は自分を「プレッピー（お坊ちゃま、のような意？）」と呼ぶジェニーにカチンとくるけど、
彼女の聡明さに徐々に惹かれ、やがて二人は恋に落ちた。
ところがエドワードは大変な名家の長男で、かたやジェニーはイタリア移民の娘。
当然、２人の結婚にエドワードの父は猛反対し、仕送りをストップ。
それでも２人は結婚し、ジェニーは教職を得て、弁護士を目指すエドワードを支えるが、
彼女は重い病に冒されるのだった‥‥

ハーバード大学の教員だったエリック･シーガルが、
ある学生の恋と結婚、その挫折の話を聞き、シナリオにしたてたのが本作品。
「なんだ、悲恋ものの上に難病ものか。典型的なメロドラマじゃん‥‥」
なんて声が聞こえてきそうですが（実際、このモイラも名画座で観る前は、そう決め付けてました）、いえいえ、ただのお涙ちょうだい物語じゃありません！
さまざまな障害、困難を乗り越え、自分たちの愛を貫いた若い聡明な男女の
実に毅然とした美しい姿を描いた、まことに凛とした物語です。
日本のドラマや映画だと、しめっぽく、安手になりがちな題材なのですが、
極力しめっぽさを廃したシナリオと演出が、冴え渡っています。
なんといっても、エドワードとジェニーのウイットとインテリジェンスに富んだ
会話のキャッチボールが素晴らしい！
果たして今の若い日本の男女に、この２人のような気のきいた会話ができるだろうか、
否、自分自身、愛する男性とこんなやりとりができるだろうかと、
モイラは深く考え込み、ため息をついてしまいました。「できそうもないなあ‥‥」と。
「愛とは決して後悔しないこと」
あまりにも有名なセリフで、いまさらとりあげるのも恥ずかしいくらいですが、
「なるほど‥‥」と唸らせる一言でした。

この作品のアリ・マッグロー、知性とみずみずしさに溢れてましたね。
高校生でこの映画にはじめて触れたモイラは、こういう知的な女性になりたいものだと、強く憧れました。