★モイラの名画座★

< 新しい記事

新着記事一覧(全1143件)

過去の記事 >

2007.12.09

役者魂のかたまり★宇野重吉

カテゴリ：素晴らしき銀幕のバイプレイヤーたち

宇野重吉‥‥ 劇団民芸の名役者にして、名演出家‥‥
演劇界では重鎮中の重鎮だった方ですが、
スクリーンでは、主にバイプレイヤーとして活躍。
「天下の宇野先生をバイプレイヤーとは！」と、お叱りを受けるかもしれませんが、
あえて彼をバイプレーヤーのカテゴリーに入れますね。

このモイラが印象に残っているのは、まだ宇野氏が若い頃の主演作品「愛妻物語」。
９０歳を過ぎて今なお現役の新藤兼人監督の、栄えある第一回監督作品でもあります。

愛妻物語(DVD) ◆20%OFF！

献身的な妻に支えられて世に出ようと切磋琢磨する、貧しいシナリオライター志望の青年を、
宇野氏がそれは秀逸な演技力で、力まず、自然体に演じています。
モイラが最初、この映画を観た時は、まだ10代でしたが、
宇野氏演じる主人公を見ながら、
「自分の夢を実現させるために、妻に苦しい生活を強いて、なんて男だ！」と、ちょっと憤慨したものです。
しかし‥‥自分がシナリオ書きの修行に没頭する中、質屋通いや手内職をする妻に、
口には出さねど、心の底から「申し訳ない‥‥！」と思っている様子は、
眉や頬骨の出た頬の動き、目線などで、よ～く伝わってきました。

そうそう、初めてこの映画を観た時、
ちょうど宇野氏のご子息寺尾聡氏の歌・「ルビーの指環」が大ヒットしてて、
若き宇野氏が、寺尾さんに瓜二つなのに、びっくりしました。
余談ですが、宇野センセ、ご子息が「ルビーの指環」でレコード大賞とった時、
ご子息を怒鳴りつけたらしいですね。
「聡、お前、役者を選ぶのか、歌手を選ぶのか、どっちかにしろッ!!」と。
レコ大とって親に怒られた人って、あんまりいないんじゃないかなあ？
まあそれだけ、役者というものに、ものすごい思い入れがあったんでしょうね。
末期ガンを押して、舞台に立ったほどの人ですからね。

宇野重吉氏は、記念館ができてもいいような役者さんだと思います。（あ、もうあるのかな、記念館？）
いま、演技力で彼と同じくらいのレベルの役者さんって、
思いつくのは‥‥そう‥‥緒形拳、山崎努、市村正親‥‥そのくらいでしょうかね。

宇野先生が出ている名作映画