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2008年01月30日

映画よりずっと面白かった★「白昼の死角」

(14)

カテゴリ：嗚呼なつかしのテレビドラマ♪

もうかなり昔ですが、角川映画が、
「狼は生きろ、豚は死ね！」という過激なキャッチコピーで観客をつろうとした
「白昼の死角」という作品を公開しました。
モイラは過激なキャッチコピーにつられて、劇場まで足を運びましたが、
どーしよーもなくつまらない映画でした。
シナリオはなっちゃいない、演出は稚拙、
もっとひどいのはキャスティング。夏八木勲が主演（しかもアウトロー役）ってのが、もうダメダメです。

しかーし‥‥映画公開からほぼ半年後に放映されたドラマ版は、
なかなか見応えがありました！

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原作は高木彬光。戦後まもなく、現役東大生たちが立ち上げた「光クラブ」という金融業者の残党が、
手形のパクリ屋として悪事を働くピカレスク。
主役の鶴岡は渡瀬恒彦。自殺した元東大生社長に山本圭、仲間に岸部シロー、小倉一郎、
鶴岡たちをかぎ回る東大OBのキレモノ検事役に、天知茂。
鶴岡といい仲になる年上女房のような芸者に浜木綿子。
敗戦後の混乱の中でも、その気になれば合法的な手段でいくらでも金儲けができたであろう
飛びぬけて優秀な頭脳を持つ東大生たちが、どうして非合法な商売に打って出たのか‥‥
また、どうしてそこまで金というものに執着したのか‥‥
そこが今ひとつ不明ですが、それが時代というものでしょう。
良くも悪くも戦前戦中の価値観がすべてペケになり、
東大生と言えども道徳観を見失ってしまったのか‥‥
「自分たちは頭脳が極めて優秀だから、悪の世界でも超エリートになれる！」とでも錯覚したのか‥‥
なるほど、ヤクザと違って、刃物も拳銃も使わず、他人の身体、生命を損ねず、
ただお金だけを非合法に頂戴するパクリ屋の手口には、舌を巻きました。
とあるオフィスビル内の会社に、「保健所の者です。事務所を消毒に来ました」と言って
社員たちを残らず外に出させ、かわりに手下のヤクザどもとその情婦が乗り込み、
社長や社員、秘書になりすまして、取引先の手形をパクるのですから、すごい！
（ヤクザの親分役は、今はなき藤木悠さん、情婦役は宮下順子さんでした。）
あこぎな金儲けについては天才肌で、それゆえ人間的にはひどく冷酷な山本圭、
金のためなら手段を選ばないけど、山本ほど冷酷にはなれない渡瀬、
悪に手を染めてもどこかトボけて憎めない岸部、
いかにも両親の期待を一身に背負って東大に入ったけど、山本の強引さに負けて、渋々悪の仲間に入った、温室育ちの秀才くんの小倉。
それぞれの個性がまた面白かったです。

このドラマ、ぜひDVD化してほしいんですけどねえ‥‥
無理かなあ‥‥

★ワルが主人公の名作映画★