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2021.04.28

緒形拳の名演光る！★「薄化粧」（1985年　松竹＝五社プロダクション＝映像京都）

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

こんにちは、映画狂のモイラでございます♪

今日は邦画界きっての名優・緒形拳主演の「薄化粧」をご紹介します。

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昭和27年、四国の田舎町の警察署で、鉱夫の坂根藤吉（緒形拳）は、
妻子殺害等の容疑で、真壁（川谷拓三）、松井（大村崑）両刑事から、
執拗に自白を迫られていたが、何もしゃべらなかった。
坂根は留置場内で、隠し持っていた剃刀で頸動脈を切って自殺しようとするが、失敗。
そして数日後、留置場の床を掘ってそこから脱出し、見事脱獄に成功。
以後は偽名で、全国各地の石切り場の飯場を転々とした。
そんなある時、坂根は亭主に逃げられた一杯飲み屋の女将・内藤ちえ（藤真利子）と、出会うのだが……

緒形拳という役者は、凶悪犯や脱獄囚を演じたら、ピカイチでしたね。
今村昌平監督の「復讐するは我にあり」のサイコパス連続殺人鬼役しかり。
NHKの名作ドラマ「破獄」の脱獄王・佐久間役しかり。
この「薄化粧」でも、寡黙で薄気味悪いけど、どこか憎めない凶悪犯+脱獄囚を
それは見事に演じています。

刑事役の川谷拓三、大村崑も、いい演技をしていましたね。
特に定年間近の叩き上げ老刑事役の崑ちゃんの演技は、なかなかシブいものでした。

それと、驚いたのが、薄幸の女ちえを演じた藤真利子の演技力……！
モイラ、リアルタイムでこの映画を観た時までは、
藤真利子は顔がちょっといいだけの、どちらかといえば大根女優だと思ってました。
けれど、この映画では、坂根を指名手配中の凶悪犯とわかっていながら、
彼に惹かれてゆく女を、本当に上手に演じてましたね。
緒形拳との濡れ場がまた、エロくて悲しいんだなあ……
真利子さん、きれいなヌードを披露してましたよ。

他の女優陣（浅利香津代、浅野温子、宮下順子、松本伊代）も
それぞれいい持ち味を出していました。
浅利香津代と浅野温子が、緒形拳をめぐって、映画館の裏手でつかみ合いの喧嘩をするシーンは秀逸でしたね。

この映画のあちこちで、「啼くな小鳩よ」「憧れのハワイ航路」といった、
昭和20年代の流行歌が流れているのも印象的でした。
昭和歌謡好きには、たまらない映画でしょう……

監督は、「極道の妻たち」「吉原炎上」などの五社英雄。
脚本は、「ダイナマイトどんどん」「疑惑」などの古田求。

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