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2021.05.18

良きかな、大殺陣！★「子連れ狼　冥府魔道」（1973年　勝プロダクション）

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

こんにちは、映画狂のモイラでございます。

今日お届けするのは、「またかよ」と言われそうですが、
モイラが愛してやまぬ「子連れ狼」シリーズの第５弾
「子連れ狼　冥府魔道」です！

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柳生の陰謀で妻を殺され、公儀介錯人の地位を追われ、
刺客となって一子大五郎（富川晶宏）と修羅の旅を続ける拝一刀（若山富三郎）……
そんな一刀はある夏の日、筑前黒田藩から刺客の依頼を受けた。
聞けば、現黒田藩主は隠居した黒田斉隆（加藤嘉）の愛妾の子で、
公には男児松丸君と名乗っていたが、実はその松丸君は女児だった。
その秘密を、黒田家菩提寺の住持・慈恵、実は公儀探索方・黒鍬衆の頭目（大滝秀治）に知られ、
松丸君は女児という事実を暴く密書が、慈恵の手により、江戸に届けられようとしていた。
そこで、黒田藩の安泰を願う藩士たちが、慈恵の殺害と密書の奪還を依頼したのだった。
一方その頃、大五郎は宿場町の夏祭りの賑わいに心惹かれ、
父とはぐれて祭りを見物していた時、
役人に追われる凄腕の女スリ・早変わりのお葉（佐藤友美）から紙入れを手渡され、
「この紙入れのことは誰にも言うんじゃないよ」と念を押されるのだったが……

この５作目の殺陣も、実に素晴らしかったですね。
一刀の刀や箱車に仕込まれた小柄や槍ひと振りで、敵がばっさばっさと斬られるのですが、
血は噴水のように飛びまくるわ、首は胴体から落とされるわ、
いやはや、すごいスプラッターです！
特に中盤、一刀が大勢の柳生の護衛がついた慈恵の命を狙うシーンは、
まったく手に汗を握りましたよ……（未見の方のために詳しくは書きません）

慈恵和上になりすました黒鍬衆の頭目役の大滝さん、実に良い芝居をしてました。
ひょんなことから大五郎と関わりを持つ女スリ・お葉役の佐藤友美も、
江戸弁の台詞まわしが上手なうえに、色気がありました。
黒田藩のくノ一・不知火を演じた安田道代（現・大楠道代）も
きりりとしながらも、妖気を感じさせましたね。
そして今回の大五郎役の富川晶宏クン、紙入れを託された女スリを庇うなど、
このシリーズでは初めてと言っていいくらい、芝居らしい芝居をしてました。
ただ、柳生烈堂役が大木実だったのは、
少々ミスキャストかなあと思いました。
天下の柳生新陰流の名手中の名手で、超がつくほどの悪役なのだから、
もっと格が上の役者が演じたほうが良かったかと思います。
まあたぶん、製作者も兼ねた若山富さんが、
自分より格上の役者を使いたくなかったのでしょう……

殺陣のシーンも素晴らしいのですが、
日本の夏を感じさせる風物（川のめだかの群れやカエルなど）や、
賑やかな夏祭りの様子、紅い夕陽をバックにして旅に出る一刀親子の遠景なども、
それはもう、絵になりきってましたね！
さすがは名匠・三隅研次監督の名演出と、
名カメラマン・森田富士郎のカメラワークのすごさです。

脚本は原作者の小池一雄と中村努。

未見の方は今すぐレンタル店へGO!! ……と言いたいのですが、
この「子連れ狼」シリーズ、なかなかお店に置いてないんですよね。
あのQ・タランティーノ監督が絶賛してるシリーズなのに……(T_T)

ではまた明日！ごきげんよう！

★こちらはテレビ版「子連れ狼」！★