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2023.04.28

たとえ身上つぶしても…★「小原庄助さん」（1949年　新東宝）

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

こんばんは、映画狂のモイラでございます♪

今宵は、かなり古い映画ですが、上質なヒューマンドラマをお届けします。
その名も…… 「小原庄助さん」です！

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とある村に、杉本佐平太（大河内傳次郎）という、由緒正しき旧家の大金持ちがいた。
彼は村一番の大きな立派な屋敷に住み、広大な田地を持っていたが、
村人は誰も彼のことを佐平太とは呼ばず、「小原庄助さん」と呼んでいた。
なぜなら、彼は福島民謡「会津磐梯山」のお囃子に登場する小原庄助さんのように
朝寝、朝湯、朝酒が大好きだからだ。
それだけならまだしも、彼は人からものを頼まれたら厭と言えない超お人好しで、
村人がなんだかんだと理由をつけて、次々と寄附金等の名目で彼にお金をせびるが、
彼は惜しむことなく、村人にお金をくれてやるのだった。
しかしいくら大金持ちでも、こんな生活は長続きせず、
女房のおのぶ（風見章子）は、着物を売るようになり、
彼自身も高利貸しから金を借りるはめになるのだった……

モイラはこの映画を日芸の学生だった頃に名画座で観たのですが、
主人公のお人好しぶりもここまでくればご立派だと、つくづく思ったものです。

おわかりにならない方のために、民謡「会津磐梯山」のお囃子のくだりを挙げてみますね。

♪小原庄助さん　なーんで身上（しんしょう）つーぶした
朝寝、朝酒、朝湯が大好きで　そーれで身上つーぶした
ハアー　もっともだー　もっともだー

身上つぶしたとは、「破産した」という意味。
この歌の小原庄助さんにはモデルがいるようで、
幕末の同姓同名の志士だったという説、
江戸時代に材木で大儲けした商人だったという説、
会津漆器の塗り師で大の酒好きの久五郎という男だったという説があるそうです。

閑話休題。
モイラはこの作品に出遭う前までは、大河内傳次郎といえば、
かの「丹下左膳」のイメージしかなかったので、
現代劇、しかも究極のお人好し道楽男を飄々と演じることができる役者と知った時は、
大いに驚いたものです。
「丹下左膳」では台詞がちっともはっきりしなかったのに、
この作品では、台詞回しがかなり明瞭です。

女房おのぶを演じた風見章子さんが、かなりの美人なのにも驚きました。
主人公の親の時代から奉公している下女のおせき婆役の飯田蝶子さんも、
いい味出していましたね。さすが昭和の名バイプレイヤー！
それと、ダンサー（？）のマーガレット中田役の清川虹子さん、
華やかな洋装と長めのパーマヘアがとてもきれいでした！
この映画の主題歌を歌った名妓・赤坂小梅姐さんも特別出演していて、
主人公が酔い痴れる宴会の席で、自慢の喉を披露していました。
小梅姐さんはほんっとに歌がうまいです。聞き惚れちゃいますよ。

監督は清水宏。
脚本は清水宏＆岸松雄
音楽は大巨匠の古関裕而。

心がほろりとしたい時に観ると良い映画ですよ！

★清水宏監督作品あれこれ★