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2024.01.23

舛田天皇の力作★「太陽への脱出」（1963年　日活）

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

こんばんは。映画狂のモイラでございます。

本日お届けする名画は、バンコクで大々的にロケを敢行した
石原裕次郎主演、舛田利雄監督作品
その名も…… 「太陽への脱出」でございます！

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新聞記者の佐伯正平（二谷英明）は、ベトナム戦争真っ只中の東南アジアで、
日本製の武器が密かに流れているという噂を聞き、
その真偽を確かめるため、デスク（宇野重吉）の反対を押し切って、
単身、パン・アメリカン機でタイの首都バンコクに飛んだ。
そこで、貝塚製作所という大手機械メーカーの技師・速水志郎（石原裕次郎）と
杉浦利明（梅野泰晴）が１年半前に謎の失踪をしたが、
実は二人とも、貝塚製作所の命令で南北ベトナムに銃器などを売りさばいていることを聞きつけた。
速水は当局の追及をかわすため、夜でさえサングラスをかけて顔を見せず、
日本語すら話さなくなり、表向きは劉という名でバンコク市内でナイトクラブを経営し、
いざという時のために拳銃を常に携帯している、武器の売り手のいわゆる「死の商人」であったが、
杉浦のほうは望郷の思いが強く、また当局の追及にひどく怯え、酒に溺れていた。
佐伯は速水と杉浦に、日本に帰るよう説得するが……

この映画で裕次郎は、わりと上手な英語を話していましたね。
きっと猛練習したんでしょう……
逆に、同志社大学英文学科に在籍していたダンプガイこと二谷英明のほうが、
英語が下手でしたよ。

映画の85％が、バンコクを舞台にしてましたが、
町中に流れるチャオプラヤー川、その上を小舟で行き交う現地の行商人たち、
川沿いの壮麗な仏教寺院など、
バンコクならではの風景を、それは上手に撮っていました。
表向きはナイトクラブの経営者である裕次郎が、店のグランドピアノに向かい、
天才詩人・中原中也の有名な詩「骨」を即興の歌にして、
あの独特なシブい声で歌うシーンには、このモイラ、グッときましたね。
名優・宇野重吉は無論のこと、旧日本兵で今はバンコクの暗黒街の使い走り役の殿山泰司や
バンコク警察の警部役の高品格、
現地の街娼（たぶん）役の香月美奈子などが、
なかなか良い脇役として、良い仕事をしていました。
山田信夫・山崎巌といった日活アクションには欠かせない名シナリオライター（お二方とも、モイラの映画人だった亡父の友人）のシナリオ構成も
しっかり決まっていて、何よりハラハラドキドキのサスペンスが効いてました。
そして何より冴えわたっていたのが、名匠・舛田利雄監督の素晴らしい演出！
日活アクションの名作を次々と撮った舛田監督は、「舛田天皇」と言われていたそうです。

ただ、不満だったのは、裕次郎と恋仲になる楊愛蓮役の岩崎加根子。
失礼だけど、なんでこんな地味な女優さんを、ヒロイン役に選んだんでしょう……？
浅丘ルリ子じゃダメだったのかしら？
あるいは、笹森礼子とか……
岩崎加根子さんは確かに演技が上手だけど、裕次郎の恋人役には似合いませんよ。

まあ、なんだかんだ好き勝手なことを書いたけど、
この映画、一見、いや二見、三見の価値はあります！
ではまた……

★永遠の石原裕次郎★