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2024.03.04

恋に狂った娘の末路★「情炎お七恋唄」（1972年　日活）

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

こんばんは、映画狂のモイラでございます。

今宵は、歌舞伎や浄瑠璃で有名な八百屋お七の物語を官能的に味付けした
日活ロマンポルノ作品「情炎お七恋唄」をお届けします！

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江戸は本郷で八百屋を営む善助（長弘）の一人娘お七（小川節子）は、
本郷小町と呼ばれる器量良しの娘……
お七は両親から、大金持ちの質屋の跡取り作兵衛（浜口竜哉）との縁談を押し付けられ、
憂鬱になっていた。
そんな時、江戸に大嵐が襲いかかり、人々は吉祥寺に避難し、お七の一家もしばし吉祥寺で寝泊りすることになった。
そこでお七は寺小姓の吉三郎（森竜二）に会って一目惚れ、
吉三郎も美しいお七に心を奪われ、やがて二人は密かに結ばれるのだったが……

初恋の人・吉三郎に恋焦がれ、もう一度彼に会いたいという思いから家に火をつけ、
江戸が大火となり、最後は火あぶりの刑に処せられるお七を、
ロマンポルノ時代劇スター・小川節子がそれは美しく、官能的に演じていましたね。
この小川節子という女優さん、本当に日本髪がよく似合うんですよ……
デビュー作「色暦大奥秘話」では、初恋の下級武士との仲を引き裂かれ、泣く泣く大奥にあがる悲劇の武家娘を演じてましたが、
お七のような悲劇の町娘も、実に上手に演じていました。
所作がとにかく無駄がなくて美しいんですよね！
あの所作のうまさは、ずいぶん監督からうるさく言われて、時に怒鳴られて生み出したものだと思います。
それに何と言いますか……美しい顔立ちだけど、どこか幸せ薄い翳のある目元と口元がいいんですよ！
声もなかなかにきれいだし、何より通るし……
ロマンポルノの枠におさまらず、一般時代劇映画でも立派に通用する女優さんでした。
（事実、テレビ版「子連れ狼」にゲスト出演してました）
早くに結婚、出産して女優を引退してしまったことが、実に名残惜しいです……

吉三郎役は、う～ん……もう少し甘い感じのハンサムな俳優のほうが良かったな……
当時の日活には、鬘の似合う色白で美しい俳優さんは、いなかったんでしょうかねえ……

ともあれ、この映画は、ロマンポルノという枠を超えた、上質な時代劇に仕上がってます！
のちに「桃尻娘」シリーズを手掛ける小原宏裕監督のデビュー作なんですよね！
デビュー作とは思えないほど、格調高いきめ細かな演出をしております。
小原監督はおじい様も日活の監督をしていらして、
子どもの頃から年に200本（！）もの映画を観てきたというのですからすごい！
モイラも映画人の娘ですが、さすがに年200本は観ていませんでしたよ……
上には上がいるものです……

ではまた、映画ファンの皆様、ごきげんよう！

★小原宏裕監督作品あれこれ！★