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『さえづちの眼』(澤村伊智)読了。比嘉姉妹シリーズ第6弾は次の中編3編を収める。「母と」おしどりオカルトハンター野崎&真琴の事件簿。"現代版&少女版サン・ジェルマン伯爵"登場!「あの日の光は今も」かの料理研究家辻村ゆかりと、かのオカルトライター湯水は、とある事件で出会っていた!「さえづちの眼(まなこ)」琴子、無双!
2026.09.07
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『マテニ10号』(黄晳暎)読了。イ・ジノは高さ45メートルの煙突の頂上に登り籠城を始める。25年間工場労働者として働いて突然不当解雇を受け、その撤回を当局に要求するためだ。仲間たちの支援を受けながら、籠城は100日、200日、300日、400日と経過していく。地上から切り離されて、夜間、あれこれ過去を回想していると、知った死者が次々に訪れて地上に誘い、過去の日々を見せてくれる。それはジノの曽祖父の代まで遡り、日韓併合から現代までの朝鮮の激動の歴史を綴っていく。早逝した曽祖母の霊が一家の運命の節目ごとに現れたり、人の未来を視る祖母が登場したりして、韓国版マジックリアリズムの一族の物語という趣きもありましたが、"近代産業労働者"であった一族の視点から見た朝鮮の近現代史が淡々とユーモアを交えて描かれて、無知であった分野の新たな知見を得たような気がしました。後半は当局の弾圧を受けながらの社会主義運動・労働運動が丁寧に叙述される結果、懐かしプロレタリア小説を読むようでいささか戸惑いました。[追記]労使交渉を求める手段として煙突やビルの屋上、クレーン車などに籠城する"高空籠城"は韓国でポピュラーらしいですね。籠城1年ぐらいで世論が騒ぎだし、使用者側は渋々交渉に応じるようになると。
2026.09.06
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『ぜんしゅの跫(あしおと)』(澤村伊智)読了。比嘉姉妹シリーズ第5弾。次の5編を収めます。「鏡」「わたしの町のレイコさん」「鬼のうみたりければ」「赤い学生服の女子」「ぜんしゅの跫」オカルトライターの野崎がうち「鏡」、「鬼のうみたりければ」及び「ぜんしゅの跫」の3編に登場。もっとも2編はただいるだけという感じで、活躍、というかひどく痛めつけられるのは表題作となります。比嘉真琴との結婚式の直後の事件、テーマは兄弟姉弟の和解という、珍しく前向きの結末。そう、真琴と琴子の関係もぎこちなくも改善するのです。格別面白く感じたのは「鬼のうみたりければ」。現代版遠野物語風の味わいがなんともいえません。
2026.09.05
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『ししりばの家』(澤村伊智)読了。比嘉姉妹シリーズ第4弾。東京で新居を構えた若夫婦二組がししりばの家に関わったことから悍ましい事態に巻き込まれていきます。対するは比嘉姉妹の長女琴子。実は琴子が拝み屋・除霊師を生業とする決意を促したのが、小学生の時に同級生と侵入した廃屋ししりばの家での超常体験だったのです。当時の後遺症で地元で引きこもり生活を送る同級生の憑き物を落とさんと、琴子、悲壮な覚悟で再びししりばの家に乗り込む! 『IT(イット)』風の面白さが溢れています。京極夏彦や三津田信三であれば妖怪の履歴についての蘊蓄を延々と繰り広げるところ、この著者はあっさり触れるに止めて読みやすいです。
2026.09.04
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『などらきの首』(澤村伊智)読了。比嘉姉妹シリーズ第3弾は短編集。シリーズキャラクタのエピソードが描かれます。それぞれ濃い、というか相当攻めていて粒揃いでした。小学二年生の比嘉真琴も登場してかわいいです、ちょっと生意気だけど。
2026.09.03
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『ザ・聊斎志異』(蒲松齢/訳 柴田天馬)から。※同書にはない通し番号を便宜上付します。68「陳雲棲(チンウンセイ)」異類:人楚の夷陵の眞という秀才、孝廉の息子で文章上手のイケメンとモテ要素を備える。子どもの頃に人相見が曰うには、後に女道士を娶って妻になされませう父母は笑っていたが、その後眞の縁談をすすめるとどれもこれも帯に短し襷に長しでもまとまらない。母方の祖父母は黄岡に住んでいて眞はよくお祖母さんを訪ねていたが、その近くに呂祖菴(りょそあん)があり菴中にいる女道士たちがみな美人で評判だったので、眞はこっそり訪ねてみた。果たして四人の女道士がいて、みな雅びで潔(きよ)らか、眞を歓待してくれた。中でも最も若い陳雲棲が一番の器量良し、眞は一目惚れする。その後眞は強引に陳に迫りますが父の死で郷里に帰って喪に服すことになります。喪が明けて菴を再訪すると菴を主宰していた老道士は亡くなって女道士らは散り散りになり、陳の行方はわからない。気落ちして家に帰ると眞は病に伏してしまいます。その後眞の母親が旅に出て同宿した王という器量良しの娘と気が合い息子の嫁にと連れ帰ります。母から王を薦められて眞、もう陳は諦めて王と結婚しようか、美人らしいしと王と対面したところ、王は陳だったのでびっくり。事情があって王を名乗っていたと。眞はたちまち病から回復、めでたく陳と夫婦になります。母親は陳を気に入っていたのですが、もっぱら琴や碁などをこととする陳に実務能力に乏しいのをちょっと心配。その後眞と陳が旅先でかつての陳の姉弟子の盛雲眠と出会い家に連れてきます。寡婦となって淋しかった眞の母親、立ち居振る舞いが鷹揚で良慣れた盛と大いに話が合います。おまけに盛は実務能力に長けていて、面倒な家の管理をテキパキとこなしてくれますからもう手放せません。そこで陳が母親にとんでもない提案、盛も眞の妻にしたらいかがでしょう、と言い出しますが、母親、満更でもない様子。眞の方にも否やはなく、晴れて盛と夫婦の誓い。初夜を前にして盛はいう。妾(あたし)は二十三の老處女よ眞は信用しませんでしたが、"やがて落紅が褥(ふとん)に殷(あか)くついた"のでした。さて、その後も眞は試験に合格しませんでしたが、母親は気にしない。それなりの家産はあったところ盛がしっかり管理してさらに豊かになってきたし、二人の嫁と私たちで楽しんで暮らせばいいよ、と達観してます。眞は幸せ者だなあ。
2026.09.02
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『ずうのめ人形』(澤村伊智)読了。比嘉姉妹シリーズ第2弾、怖かったです。オカルト誌のバイトくんを視点人物に、その恐怖の体験を通して、都市伝説、業界、ジャンルなどへの興味深い考察が展開され、そしてオカルト愛が吐露されます。それでいてマニアック臭が乏しいことにも好感が持てました。
2026.08.31
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『地棲魚(ちせいぎょ)』(嶺里俊介)読了。南房総の山荘を主舞台とする伝奇ホラー。古から生き血を啜って不死を保ってきた異形の存在とその抹殺を使命とする異能の一族の末裔である普通のサラリーマンとの闘いが、本人の自覚なしに始まります。民俗学的来歴や生物学的こじつけをあっさり処理していることもあり読みやすかったです。
2026.08.28
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『ザ・聊斎志異』(蒲松齢/訳 柴田天馬)から。※同書にはない通し番号を便宜上付します。67「小二(ショウジ)」異類:人趙旺、夫婦共に熱心な仏教信者。一人娘の小二は賢く美しかったので大変な可愛がりよう。兄の長春と一緒に私塾に通わせると五年で五経を諳んじるほどの優秀さであった。同級生で三歳年上の丁は雅やかな若者で二人は仲良くなる。丁が小二との結婚を申し込んだが、大家に嫁がせたい趙は許さない。その後趙は白蓮教に惑い、妖賊徐鴻儒が謀反を起こすと一家そろって馳せ参じる。利口な小二はすぐに徐の妖術を覚え、教団の幹部となった。一方丁、学校で学んでいたが、小二への想いやまず、密かに徐鴻儒の手下となる。再会を喜ぶ二人であったが小二は徐の高弟で日中は忙しく会えるのは夜だけ。そんなある晩、こっそりと丁が小二に言う。自分がここに来たのは小二に邪なことはさせたくないから、一緒に逃げようと。小二はしばらく考えたが、ハッと夢から覚めたようになった。二人は小二の両親に会って道理を解いたが趙は翻意しない。やむを得ず二人は小二の妖術を活用して教団を脱出するのであった。裸一貫で逃げ出した二人ですが、小二得意の妖術を利用して市井で順調に生活します。後に教団が征伐された際には徐鴻儒と共に趙夫婦らも誅殺されますが、丁が手を回して小二の兄の長春の幼児だけは助け出し、我が子として育てます。なお、小二が妖術を地域のために使うエピソードがいくつか。たとえば、ひどい旱(ひでり)の際は禹歩(うほ)して秘法を行うとたちまちいい雨が降り注いで五里以内がすっかり潤い、人々は小二を女神として尊びました。
2026.08.27
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『セクシーGメン 麻紀&ミーナ』(森奈津子)読了。短編連作の近未来官能ファンタジー。笑いとエロスの合間に硬派なメッセージ性も感じました。さて、セクシーGメンとは、そも何者?麻紀とミーナは、厚生労働省少子化対策局夫婦生活調査課の職員である。主な職務は、セックスレスの夫婦に「特殊研修」を受けさせ、的確な指導をし、子作りのためのセックスへと導くことだ。よって、アダルトグッズや媚薬のたぐいにも精通していることが求められるのである。 通称セクシーGメン。2011年刊ですが、少子化問題は現在まで有効な対策もないまま(のような気がする)"深刻さ"を増しているようです。政府によるセックスレス夫婦対策ってあリましたっけ? セクシーGメンの設置、効果的ですよ。あ、対策が必要であるとすればですが。
2026.08.25
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『溺れる少女』(ケイトリン・R・キアナン)読了。統合失調症の家系に生まれ自らも統合失調症の治療を受けながらなんとか自活している若い女性の手記という形式をとったゴースト・ストーリー。自己の狂気に自覚的でやたら脱線しながら何度も上書きされていく手記、なるほど超自然的な要素に彩られているが、むしろ異常な精神に引き摺り回されて迷宮を彷徨う酩酊感のようなものが楽しい。戦前の日本にあった奇妙な建築物"ニ笑亭"を探訪するとこんな感じだろうか。なお舞台はロードアイランド州プロビデンスである。
2026.08.23
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コミック版『家畜人ヤプー』1-9(原作 沼正三/作画 江川達也)読了。小説は角川文庫版で読みました。石ノ森章太郎版のコミックも読んでますが、江川達也版もまた別の味わいがあり面白かったです。というか、原作がとにかく凄すぎますね。今回特に興味深かったのは、ヤプーの人権問題をクリアするために唱えらたトンデモ学説、「家畜人の起源」(ローゼンバーグ)でした。それによるとクロマニョン人 → 白人・黒人 知性人類(ホモ・サピエンス)ネアンデルタール人+クロマニュン人→黄色人種 知性猿猴(シミアス・サピエンス)=疑似黄人(プシュード・エロー)となり、前史時代黄色人種と呼ばれた中、第三次世界大戦のα爆弾とω熱とを生きのびた唯一の黄色人種である日本人こそこの疑似黄人であった。最近のゲノム解析によると、日本人を含む東アジア人のゲノムには平均して約2〜3%のネアンデルタール人由来のDNAが含まれていると推定され、それはヨーロッパ系よりやや多いとする研究が多いそうです。"家畜人の起源"、まんざら根拠がないでもない悪い冗談になってしまったような。
2026.08.22
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(神保町のブックホテルに泊まってみました)12.31 『木村政彦外伝』(増田俊也)12.25 『虚の伽藍』(月村了衛)12.19 『フェアリー・テイル』上・下(スティーヴン・キング)12.12 『聊斎本紀』(閻連科)12.02 『19世紀ロシア奇譚集』(高橋知之 編・訳)11.30 『非在の街』(ペン・シェパード)11.22 『福音派ー終末論に引き裂かれるアメリカ社会』(加藤喜之)11.21 『寿ぐ嫁首(ことほぐよめくび)/怪民研に於ける記録と推理』(三津田信三)11.18 『真実に捧げる祈り』(アンジェライン・ブーリー)11.10 『案山子の村の殺人』(楠谷佑)11.07 『マイ・ゴーストリー・フレンド』(カリベユウキ)10.29 『グリンドルの悪夢』(パトリック・クェンティン)10.25 『網内人』(陳浩基)10.20 『ネアンデルタール人の再発見』(ディミトラ・パパギアーニ/マイケル・A・モース)10.16 『人類進化/私たちはいかにしてヒトになったか』(ロビン・ダンバー)10.13 『魔の聖堂』(ピーター・アクロイド)9.23 『幽霊の物語』(ラドヤード・キプリング)9.03 『絵本の春・寸情風土記』(泉鏡花)9.01 『犬が星見た』(武田百合子)8.31 『エイラ-地上の旅人/野生馬の谷』上・下(ジーン・アウル)8.20 『オリクスとクレイク』(マーガレット・アトウッド)8.16 『猫の王/猫伝承とその源流』(小島瓔禮)8.15 『海野十三短編集①三人の双生児』8.12 『抹殺』(柴田哲孝)8.10 『洪水の年』上・下(マーガレット・アトウッド)8.04 『変わる縄文』(今井しょうこ)7.27 『1984年に生まれて』(郝景芳)7.21 『チャイナ・インベイジョン/中国日本侵蝕』(柴田哲孝)7.19 『ブレイクの隣人』(トレイシー・シュヴァリエ)7.17 『あのとき死なずにすんだ理由(わけ)』※ホラー・アンソロジー7.15 『未来』(ナオミ・オルダーマン)7.09 『夢燈籠/野望の満州』(伊藤潤)7.05 『諏訪の神/縄文の〈血祭り〉を解き明かす』(戸矢学)7.03 『時間移民/劉慈欣短篇集Ⅱ』6.26 『エイラ-地上の旅人/ケーブ・ベアの一族』上・下(ジーン・アウル)6.21 『松本清張全集45』6.16 『推し漢詩。』6.15 『犬神家の一族』(横溝正史)6.14 『松本清張全集23』6.03 『責任と判断』(ハンナ・アレント/ジェローム・コーン編)5.31 『中世ヨーロッパの修道士とその生活』(ダニエル・サブルスキー)5.29 『リスボンへの夜行列車』(パスカル・メルシエ)5.21 『暗殺』(柴田哲孝)5.16 『早春の化石』(柴田哲孝)5.07 『善の研究』(西田幾多郎)5.02 『エクソシストは語る/エクソシズムの真実』(カトリック東京大司教区司祭 田中昇)4.30 『われら闇より天を見る』(クリス・ウィタカー)4.26 『バルザック幻想怪奇小説選集2/アネットと罪人』4.20 『さかさ星』(貴志祐介)4.15 『市民の反抗 他5篇』(H・D・ソロー)4.12 『バルザック幻想怪奇小説選集1/百歳の人−魔術師』4.07 『時間の虹/紅雲町珈琲屋こよみ』(吉永南央)4.06 『コード・ブッダ 機械仏教史縁起』(円城塔)4.04 『言霊の幸う国で』(李琴峰)3.30 『英国犯罪実話集3』3.28 『西遊記事変』(馬伯庸)3.26 『対決』(月村了衛)3.25 『言語哲学がはじまる』(野矢茂樹)3.23 『台湾漫遊鉄道のふたり』(楊双子)3.18 『西田幾多郎の哲学 ー 物の真実に行く道』(小西国継)3.15 『六人の笛吹き鬼』(三津田信三)3.06 『初期仏教/ブッダの思想をたどる』(馬場紀寿)3.02 『マクマスターズ殺人者養成学校』(ルパート・ホームズ)2.23 『マン・カインド』(藤井太洋)2.14 『禅の思想』(鈴木大拙)2.06 『新編 東洋的な見方』(鈴木大拙/上田閑照 編)1.25 岩波講座・東洋思想第8巻『インド仏教1』1.12 『「腸と脳」の科学』1.08 『夜歩く』(ディクスン・カー)1.01 『キツネのライネケ』(ゲーテ)
2026.08.21
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(サントリーニ島でディキンスン詩集を読む)1.13 『六つ首村』(折原一)1.16 『おぼろ迷宮』(月村了衛)1.24 『風起隴西(ふうきろうせい) 三国密偵伝』(馬伯庸)1.28 『宙(そら)の復讐者』(エミリー・テッシュ)2.02 『墳墓記』(髙村薫)2.11 『サトクリフ・オリジナル/アーサー王と円卓の騎士』(ローズマリ・サトクリフ)2.13 『私労働小説/負債の重力にあらがって』(ブレイディみかこ)2.26 『下山事件 暗殺者たちの夏』(柴田哲孝)3.05 『人生劇場』(桜木紫乃)3.08 『THE WAR 異聞 太平洋戦記』(柴田哲孝)3.15 『世界の終わりの最後の殺人』(スチュアート・タートン)3.22 『ふしぎな話/小池真理子 怪奇譚傑作選』(東雅夫 編)3.26 『怪異十三』(三津田信三 編)3.30 『微笑み迷子』(新堂冬樹)4.03 『名前のないカフェ』(ローベルト・ゼーターラー)4.05 『ヴェネツィア便り』(北村薫)4.26 『アメリカン・デス・トリップ』上・下(ジェイムズ・エルロイ)5.04 『シュラクサイの誘惑/現代思想にみる無謀な精神』(マーク・リラ) 5.20 『ウェルズSF傑作集/深海潜航』(H・G・ウェルズ)5.24 オレステイア三部作(アイスキュロス)5.29 『デーミアン』(ヘッセ)5.30 『妖怪怪談』(三津田信三)6.04 『ハレー彗星の館の殺人/老令嬢探偵の事件簿』(ロス・モンゴメリ)6.07 『双死相殺/腕貫探偵リバース』(西澤保彦)6.11 『我らが少女A』(高村薫)6.14 『七つ星の宝石』(ブラム・ストーカー)6.23 『新リア王』上・下(高村薫)6.30 『冷血(れいけつ)』上・下(高村薫)7.02 『プラグマティズムの帰結』(リチャード・ローティ)7.05 『暗約領域/新宿鮫XI』(大沢在昌)7.09 『ヨーク公階段の謎』(ヘンリー・ウェイド)7.15 『血塗られた指輪』(キンバリー・ベル)7.19 『ハンティング・タイム』(ジェフリー・ディーヴァー)7.24 『ブラックストーン・クロニクル』上・下(ジョン・ソール)7.28 『文明怪化奇談』(荒俣宏)7.30 『チャックの数奇な人生/イフ・イット・ブリーズ』(スティーヴン・キング)8.04 『もし血が流れれば/イフ・イット・ブリーズ』(スティーヴン・キング)8.07 『星を創る者たち』(谷甲州)8.11 『人生の真実』(グレアム・ジョイス)8.13 『出版禁止』(長江俊和)8.15 『コロンビア・ゼロ/新・航空宇宙軍史』(谷甲州)8.22 コミック版『家畜人ヤプー』1-9(原作 沼正三/作画 江川達也)8.23 『溺れる少女』(ケイトリン・R・キアナン)8.25 『セクシーGメン 麻紀&ミーナ』(森奈津子)8.31 『ずうのめ人形』(澤村伊智)9.03 『などらきの首』(澤村伊智)9.04 『ししりばの家』(澤村伊智)9.05 『ぜんしゅの跫(あしおと)』(澤村伊智) 9.06 『マテニ10号』(黄晳暎)
2026.08.20
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『ザ・聊斎志異』(蒲松齢/訳 柴田天馬)から。※同書にはない通し番号を便宜上付します。66「青鳳(セイホウ)」異類:狐耿(コウ)は豪放な男、叔父さん所有の廃屋に怪異があると聞いて夜中に駆けつけると、2階の奥の座敷に老人と婦人、若者と娘がご馳走を前にくつろいでいた。老人が耿を咎めると、ここはうちの屋敷だ、旨い酒を飲むなら主人を呼ぶもんだ、と応じる。酒宴に加わって若者と話が弾んだが気になるのは娘、"よにあるまじき麗人"である。老人の姪で名は青鳳。耿が露骨にアプローチするものだから婦人と青鳳は早々に奥に引っ込んでしまう。その後に紆余曲折があり、さらに青鳳の自分達は狐族であるとのカミングアウト(耿はノープロブレム)も経て、耿は念願かなって青鳳を妻とします。本妻がいますから第二夫人ですね。通常だと事情があって狐妻は去っていくところ、今回はそのまま幸せに暮らしましたとさ。ーーーーーーーーーー『水滸伝 All Men Are Brothers』[シーズン1/エピソード59]を観る。
2026.08.19
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『オークストリートの異変』を観る。『プリミティヴ・ウォー/恐竜戦争』もかかっていたのでちょっと迷ったけれど、戦場の恐竜より街中の恐竜の方が面白そうだと。日常生活に突如恐竜群が闖入して情け容赦なくお隣さんたちを殺戮しまくるという図がまずあって、理屈は後からつけた感がいい。古生物陣ではニョロニョロ巨大白蛇(ティタノボアらしい)が文句なくベスト、恐竜じゃないけど。一方、オークストリートの住民側、家族それぞれいい味を出しているが愛犬スターバックがよかった。風采も地味で隣人からあれこれ苦情も出るダメ犬くんだけれど、ご主人の危機に躊躇せず恐竜に立ち向かう姿が泣かせる。ご都合主義も極まれりのラストもノープロブレム!
2026.08.18
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『コロンビア・ゼロ/新・航空宇宙軍史』(谷甲州)読了。圧倒的な軍事力で太陽系を制していた航空宇宙軍と、独立を求めた外惑星連合とが戦った第一次外惑星動乱の集結から四十年。タイタン、ガニメデ、木星大気圏など太陽系各地では、新たな戦乱の予兆が帯同していた第二次外惑星動乱の開戦までを7つのエピソードで綴る渋い宇宙ハードSF。ワタシ的にはいかにもSFらしい作品です。ガニメデのクレーターをバギーで疾走したくなる臨場感が溢れていました。
2026.08.15
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『出版禁止』(長江俊和)読了。(以下、内容に触れる叙述となりますので、未読の方はご注意ください。)なんだかなあ…という展開なのですが、滑らかな文章で最後までサクサクと読み進みました。一方、文庫版のボーナストラックにもなっている「あとがきにかえて」のドンデン返しの意味がピンときませんでした。心中からの"生還"の意味が、単に自分だけ生き残るにとどまらず、殺人罪などに擬せられることもないということでしょうか。殺害後のルポライターの猟奇的な行為は、心神喪失による無罪を意図した佯狂だったというオチなの?
2026.08.13
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『人生の真実』(グレアム・ジョイス)読了。ドイツ空軍による空襲で大きな被害を受けたイギリス中部の町コヴェントリーを舞台に、終戦直後から始まる家族(女家長のマーサと七人の娘たち、その配偶者・恋人)の物語でした。七女のキャシーは行きずりのアメリカ兵との間に息子フランクをもうけますが、時々頭がお留守になってしまうキャシーに育児は無理と判断したマーサ、自分とキャシーの姉たちが交代でフランクの面倒をみることにします。そのフランクが9歳に成長するまでの、波乱に満ちた家族の歴史が、コヴェントリーの町の復興を背景に描かれます。隠し味は、マーサ、キャシー、フランクと受け継がれていく死者からのメッセージを受け取るなどの超常能力。コヴェントリーはかの〈ゴディバ〉の由来となったゴダイヴァ夫人の伝説が残る町ですが、終盤、キャシーがとある理由で、その伝説を再現してしまう!超常能力抜きの普通の小説としても傑作になりそうなものなのですが、そこは幻想小説家、こだわりがあるのでしょう。ーーーーーーーーーー『宇宙戦争』[シーズン1/エピソード4]を観る。あっさり4話で完結。
2026.08.11
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『星を創る者たち』(谷甲州)読了。土木工学の現場の技術者の視点から近未来太陽系開発史を描く短編連作集。初めの3編が1988年の「小説奇想天外」掲載、中の3編が2010-13年の『書き下ろし日本SFコレクション NOVA』収録、最後の1編が書き下ろし(2013)なので四半世紀にわたる作品となる。たとえばデススター、その建設に当たっては当然工事があったわけで、現場で施工管理していた技術者がいた。その視点からの「スター・ウォーズ」があったら面白いだろう。この手があったか、渋い土木SFと感心しながら読み進めていったら最後の書き下ろしで驚愕。いきなり『三体』を短編でやってしまう無茶振りを堪能した。ーーーーーーーーーー『宇宙戦争』[シーズン1/エピソード2-3]を観る。巨大ロボット群、ロンドン襲来!
2026.08.07
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『世説新語』1(東洋文庫)言語第二(九五)は天才画家顧愷之(こがいし)のエピソード。かつて仕えた桓宣武が亡くなったときの慟哭はどんなふうだったの? と尋ねられて、鼻は広漠の長風の如く、眼は懸河の決溜するが如し(鼻からでる息ははげしい北風のようであり、眼からでる涙は急流が滝となって流れ落ちるようだ)と、あるいは、声は震雷の山を破くが如く、涙は河を傾けて海に注ぐが如し(泣き声はとどろきわたる雷が山を切り裂くようであり、眼からでる涙は河を傾けて海に注ぐようだ)と。なんか遊んでるなあ。NHK朝ドラのコメント定番に"朝から涙腺崩壊!"がありますが、"朝から懸河決溜!"とかでもいいですね。ーーーーーーーーーー『宇宙戦争』[シーズン1/エピソード1]を観る。
2026.08.06
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『もし血が流れれば/イフ・イット・ブリーズ』(スティーヴン・キング)読了。中編2編を収めます。「もし血が流れれば」もし血が流れるような痛ましい事件ならトップニュースになる(ニュース業界の金言)半世紀以上にわたって悲惨なニュース現場にいち早く駆けつけて報道する現地リポーター、奇怪なことにその時々で年齢がまちまち。その正体を暴き対決するのはファインダーズ・キーパーズは我らがホリー・ギブニー! ファインダーズ・キーパーズの事件簿というよりホリーの個人的なライフワークになりつつあるようなアウトサイダー狩り。妖怪ハンターですね。事件の現場に繰り返し出現する謎の者というテーマ、小説や映画などで時折見かけますが面白い。「ラット」山荘に籠って長編執筆に集中する作家というキングおなじみのシチュエーションで伝統的なフェアリー・テールが展開されます。中編四編を収めた原書を邦訳では『チャックの数奇な人生/イフ・イット・ブリーズ』と本書の二分冊に。本書には作者あとがきで自作解題があります。ーーーーーーーーーー『水滸伝 All Men Are Brothers』[シーズン1/エピソード58]を観る。
2026.08.04
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『スパイダーマン/ブランド・ニュー・デイ』が封切られたので観に行った。スパイダーマン、久しぶり、直近2作は観ていなかったので、念のためAmazonプライムで『ホーム・カミング』、『ファー・フロム・ホーム』及び『ノー・ウェイ・ホーム』の3作をまとめ観してしっかり予復習の上で映画館に足を運んだ。気合い入りすぎだったかも。思いがけず、ずいぶんとふくよかになったブラック・ウィドウさまにもお目にかかったけれど、あれ、生きてらした⁉︎[追記]調べてみたら今回のブラックウィドウ、ナターシャの妹分さんなんですね。襲名されたのでしょうか。
2026.08.02
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『ザ・聊斎志異』(蒲松齢/訳 柴田天馬)から。※同書にはない通し番号を便宜上付します。65「狐夢(コム)」異類:狐友人の畢(ひつ)くんの体験談である。彼はかねてから妖狐に会ってみたいものだと思っていたところ、念願かなって美妖狐と情を交わすようになった。その美妖狐は4人姉妹の3番目だったが、長姉が2人のお祝いをしたいということなのでその家に招かれ酒宴が始まる、次姉も出てきて美妖狐3姉妹と大いに盛り上がっていると、私もとまだ幼い妹が猫を抱いて顔を出す。可愛いのでみんなが代わりばんこに膝にのせてやるとキャッキャッと喜ぶ。やがて、次姉が、猫飲みをしましょうよ! と提案する。はて、猫飲みとは? みんなで箸を回して猫が鳴いたところの者が杯を干すというゲームである。始めてみるとなぜか箸が畢の所に来ると猫が鳴く。続けざまに杯を干して畢が不思議がっていると姉妹たちは種明かしをして大笑い。猫を抱いた少女がわざと猫の足をギュッと握って鳴かしていたのだ。美妖狐4姉妹と猫飲み、羨ましい限りです。
2026.08.01
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『世説新語』1(東洋文庫)言語第二(九三)では、言葉を飾り立てるのが好きな道壱道人が登場。都から山に還る道中はどうでしたかと道士たちから尋ねられます。途中、雪が降ってきたけれど、そんなに寒くはなかったよ、と言えばいいところを、そこは道壱道人、『詩経』の句も踏まえながら次のように答えます。風霜は固より論ぜらる所、乃ち先ず其の惨澹を集め、郊邑は正に自ずと飄瞥、林岫は便ち自ずと浩然たり(風や霜のおもむきはいうまでもなく、まず惨澹とうす暗い雪雲がたちこめ、村里にひらひらと小雪が舞い散ったかと思うと、林や峰はあっというまに真っ白になった)さて、今朝の朝ドラ「風、薫る」では、オレたちの(?)シマケン、海辺でのハッピーなひとときの文章化に苦心していましたね。道壱老人だったらサラッと名文を物していたことでしょう。
2026.07.31
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『チャックの数奇な人生/イフ・イット・ブリーズ』(スティーヴン・キング)読了。中篇2編を収める。「ハリガンさんの電話」メインの田舎町に住む少年と偏屈リタイア老人との交流、となると、お馴染みハートウォーミングでダーク&ビターのキング・ワールドである。少年が授業で読んだあるアフリカ人の次の言葉に感銘を受けた。老人が一人死ぬとき、図書館が一つ焼け落ちる古書店巡りをしていると、まとまったテーマの古書が並んでいてその品揃えにゆかしさを覚え、故人の蔵書を遺族が売却したのだろうと思いを馳せる。世界に唯一の蔵書の散逸即ち図書館の焼亡、古代アレクサンドリアの図書館の如く。これは蔵書にとどまらない。ある人生が築き上げた唯一無二の脳内世界が、その死と共に滅び去っていくのである。その切なさ、愛おしさを奇想に乗せてテクニカルに綴ったとも思えたのが次の一篇。「チャックの数奇な人生」映画「サンキュー、チャック」は予告編しか観ていないが、このややこしい世界観をどう映像化しているのかか気になってきた。
2026.07.30
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『文明怪化奇談』(荒俣宏)読了。幕末から明治へ"文明開化の激流の中を駆け抜けた新聞記者たち"が、百物語よろしく語り継ぐ、紙面では報じることのできなかった奇怪な事件の数々。明治36年に天王寺で開かれた第5回内国勧業博覧会で人気を博した"冷蔵庫"にまつわる怪事大逆事件を背景に携帯式火葬炉の試用で起こった火車騒動これも第5回内国勧業博覧会の出し物、カーマンセラ嬢の電気ダンスで採用されたX線照射の顛末日比谷焼き討ち事件の最中に目撃された怪光と写真術の秘密ニ笑亭と精神病治療を巡って起こった怪現象幕末の品川で御台場を巡って決起した漁師の女房連の門訴事件と妖怪"うす"の暴れの真相いかにも著者の好きなテーマで筆も快調、サクサク面白く読めました。ーーーーーーーーーー『水滸伝 All Men Are Brothers』[シーズン1/エピソード56]を観る。
2026.07.28
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『世説新語』1(東洋文庫)言語第二(九二)では、謝安が息子や従子(おい)に問います。子弟は亦た何ぞ人事に預からん。而も正に其れをして佳ならしめんと欲するや(息子や従子のことは私に関係のないことだ。それなのに、どうしてりっぱな者にしてやりたいと思うのだろうか)たとえば、味も素っ気もない次のような回答があるかもしれません。そのような価値観(orDNA)が、偶然、自然淘汰に有利に作用したユニバースに、今、我々がいるだけの話ですよ。こんな回答だと謝安おじさんの機嫌が悪くなるかも。才子の従子謝玄は次のように答えました。譬えば芝蘭・玉樹の如し、其れをして階庭に生ぜしめんと欲するのみ(それは芝蘭や玉樹(のようなすばらしい鑑賞植物)を、自分の庭さきに生やしたいと思うようなものですよ)ーーーーーーーーーー『水滸伝 All Men Are Brothers』[シーズン1/エピソード55]を観る。
2026.07.26
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『ザ・聊斎志異』(蒲松齢/訳 柴田天馬)から。※同書にはない通し番号を便宜上付します。64「鴻(コウ)」異類:物動物奇譚。天津のある猟師が1羽の鴻を捕まえた。すると雄が猟師の家まで付いてきて哀しそうに鳴きながら飛び回っていたが、日が暮れてやっと去っていった。翌朝になって猟師が外に出ると鴻がもういて鳴きながら付いて来る。猟師が手を伸ばして捕らえようとすると、首を伸ばして俯いたり仰いだりしながら半錠ほどの黄金を吐き出した。猟師はその意を悟り、雌を離してやった。2羽の鴻は歩き回って悲しみ喜んでいるようだったが、やがて飛んでいってしまった。著者の感想です。噫(ああ)! 禽鳥(とり)は何も知らんのに、若此(こんな)に●情(あいじやう)がある。悲しみは生別離(いきわかれ)より悲しいことはないのだが、動物も亦然(そう)なのだらうか。ーーーーーーーーーー『水滸伝 All Men Are Brothers』[シーズン1/エピソード54]を観る。
2026.07.25
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『ブラックストーン・クロニクル』上・下(ジョン・ソール)読了。アメリカ東部の内陸の田舎町ブラックストーン。百年近く前に私邸として建てられ、まもなく精神療養所となり、その後閉鎖されて久しい巨大な石造建物が陰気に丘の上から町を見下ろす。停滞した町の活性化に向けてその建物をショッピングモールとする計画が始動したとき悍ましい過去の因縁が蠢き出す。闇に紛れて影が跳梁し、廃療養所の奥の部屋から遺物を取り出して因縁のある町の旧家に送り届けると、それがきっかけとなって陰惨な事件が次々と起こり、町を恐怖に陥れる。遺物はかつて精神療養所で行われていた非人道的な行為の犠牲者たちにまつわる呪物と化していたのである。6つの呪物を巡る6つの中編連作。凝りに凝ったいかにものホラーでしたがラストがなんだかハッピーエンド風で肩透かし。ーーーーーーーーーー『水滸伝 All Men Are Brothers』[シーズン1/エピソード53]を観る。
2026.07.24
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『ハンティング・タイム』(ジェフリー・ディーヴァー)読了。"懸賞金ハンター"コルター・ショウ・シリーズ第4弾ですが、このシリーズは初読。元夫が突如出所して自分を殺そうとしているという情報を得た優秀な女性技術者、誰にも告げず娘16歳を連れて迷わず逃走開始。元夫、2人組の殺し屋、そして女性技術者の勤め先のCEOから保護を依頼されたコルター・ショウが2人の行方を追います。カバー見返しの惹句に"ドンデン返しの魔術師ディーヴァー史上最多、20個以上のドンデン返しを仕掛けた"とありますが、(神視点を含む)多視点による語りが挙ってミスリードに勤しんでいる感が強く、若干鼻白らみました。2人組の殺し屋が酷い奴らながらいい味を出しています。
2026.07.19
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『ザ・聊斎志異』(蒲松齢/訳 柴田天馬)から。※同書にはない通し番号を便宜上付します。63「山●(サンショウ)」異類:物孫さんから聞いた話。孫さんの曾祖父さんは若いとき南山の寺で房を借りて勉強していた。麦秋の頃家に帰りまた寺に戻って房に入ると机の上には塵が積もり、窓の間には蜘蛛の巣がいっぱい。下男に言いつけて掃除をさせ、晩になりやっときれいになったのでやれやれと床につく。月影が窓いっぱいにさしていた。しばらく寝返りなどしていると突然大きな風の音がして山門がガタンと鳴り、風の音が次第に自分の房に近づいてくる。と、俄かに房の戸がパッと開き、音が寝室に近づいてきたので怖くなってきた。まもなく寝室の扉が開いて、大きな鬼が身を屈めて入り込んできてベッドの傍らに立つ。ほとんど梁(はり)と同じくらいの高さで顔は熟れた瓜の色。目の光をキラキラさせながら辺りを睥睨している。そして長さ三寸ばかりの歯がまばらに生えた盆のような大きな口を張り開いてウォーッ!と唸るのである。とても恐ろしかったけれど逃げようがない、ままよ!とばかりに枕の下に置いてあった佩刀を取り出して抜き打ちに鬼に切りつけた。怒った鬼は大きな爪を伸ばしてくる。曾祖父さんは身をすくめてかわす。と鬼は布団を掴んでズタズタに引き裂き、プンプンして行ってしまった。ベッドの下に落ちた曾祖父さんが大声で人を呼ぶと家人たちが灯りを持ってかけ集まってきたが、寝室の扉が開かない。みんなは窓を開けて中に入って介抱した。曾祖父さんの説明を聞いて部屋を調べると、扉に布団が挟まっていた。取り出して見てみると箕(み)のような爪痕があって、五本の指のついた所はすっかり穴が開いている。やがて夜が明けたので、曾祖父さんは寺を引き払って家に帰った。後に寺の坊さんに尋ねると、それきり怪しいことはないということであった。それほど悪い妖怪ではなさそうですね。ちょっと遊びにきたらいきなり切り付けられたので怒って帰ってしまっただけ。ーーーーーーーーーー『水滸伝 All Men Are Brothers』[シーズン1/エピソード52]を観る。
2026.07.18
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『血塗られた指輪』(キンバリー・ベル)読了。キャビンアテンダントだった赤毛のおねえさんの愛と冒険、ヨーロッパ観光案内付き。ということで、ハーレクイン・ロマンス風のミステリでした。タイトルも原題直訳の"パリの未亡人"で良かったような。エドガー賞最優秀ペイパーバック賞受賞ということで評価は高いようです。テーマは盗難美術品のブラックマーケットで、その流通過程を掘り下げて興味深かったです。ーーーーーーーーーー『水滸伝 All Men Are Brothers』[シーズン1/エピソード51]を観る。
2026.07.15
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『ザ・聊斎志異』(蒲松齢/訳 柴田天馬)から。※同書にはない通し番号を便宜上付します。62「珊瑚(サンゴ)」異類:人1 安大成は重慶の人で、父は孝廉だったが早く死に、弟の二成はまだ小さかった。大成は幼名を珊瑚という陳氏の娘を娶ったが、大成の母の沈氏は意地の悪い人で珊瑚を虐待する。珊瑚はそれを恨みもせず、いつも朝早く化粧して沈氏の部屋に行って挨拶するのであった。2 そのうち大成が病気になると沈氏は珊瑚が淫らだからだと酷く叱る。そしてますます嫁を憎むようになり、嫁が一心にかしづいても口もきかなかった。3 親孝行の大成は心を痛めて、珊瑚との仲を絶っていることを示すために一人別居する。それでも沈氏は頑なに打ち解けようとはしなかったので、大成は珊瑚を出してしまった。4 老媼(ばあや)が珊瑚に付き添って実家に送って行ったが、途中、珊瑚は帰って二親に合わせる顔がないと袖から鋏を取り出し喉を突く。血がたくさん流れて老媼は慌てて近くに住む沈氏の姉の于氏の所に珊瑚を連れていく。于氏は息子を亡くして寡になった嫁と幼い孫と暮らしていたが、妹の沈氏がわからずやであると怒り、珊瑚を匿ってくれる。5 そんな事情を知らない沈氏は大成の再婚に向けてあちこちに相談していたが、酷い母だとの評判が伝わって結婚しようという娘はいなかった。6 数年経ち、大成の弟の二成が臧(ざう)氏の姑(むすめ)を娶る。この臧姑、姑に輪をかけたわがままもので、姑が怒ると倍返し。二成は意気地なしで臧姑の言いなりであった。7 臧姑は姑を下女のように使いまわすので、大成が代わりにひたすら働くのであった。悲観した沈氏は病気になって寝たきり状態となってしまう。この後も多彩なエピソードがこれでもかと続くのですが、最後は珊瑚の真心を悟った沈氏が和解して大成・珊瑚夫婦と幸せに暮らすようになり、一方、二成・臧姑夫婦には不運が重なるのでした。今一つ解せないのが、長男の大成まで弟の嫁の臧姑に逆らえないという筋書き。独身となった身には世継ぎを育む弟夫婦に頭が上がらないという家の思想でしょうか。あるいは、それほど臧姑ねえさんが猛女であったか。
2026.07.10
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『ヨーク公階段の謎』(ヘンリー・ウェイド)読了。内外ミステリマニアの評価も高い英国黄金期の傑作(1929刊)らしい。街中で銀行家が倒れて死亡する。持病の動脈瘤破裂ということで当初は事件性はないと判断された。とあるきっかけでスコットランド・ヤードが捜査に乗り出すと巧妙な殺人の可能性が浮上する。"マイケル・イネスのジョン・アプルビイ、P・D・ジェイムズのアダム・ダルグリッシュら一連の紳士的警察官の先駆け"(解説)となるジョン・プールの第1の事件簿ということでよく練り込まれた警察小説的本格ミステリを楽しんだ。しかし、どうも腑に落ちない箇所がある。アンフェアではないか。※以下内容に触れる叙述となりますので未読の方はご注意ください。 腕を組んでいたへっセルは相手の身体の重さを支え切れず、逆に引きづられて自分まで倒れそうになった。彼は友の傍らにひざまづき、心配そうに顔を覗き込んだ。… へっセルはおろおろと何度も両手を組み合わせた。(43頁)このへっセル、殺人の首謀者で、共犯者の秘かな襲撃のお膳立てとして友を巧妙に誘導してきたのであり、友の急変は計画どおりであって、"心配"するはずもなく、"おろおろ"もするはずもないのだ。しかし地の文(神の視点)でそう書かれているので、疑わしいけれど犯人候補から除外して読み進めたのである。神も騙された? 本格ミステリとしてはアンフェアではないのだろうか。正しくは次のようになるべきであろう。ネタバレしちゃうけど。いかにも心配そうに顔を覗き込んだおろおろしてる風に何度も両手を組み合わせたーーーーーーーーーー『水滸伝 All Men Are Brothers』[シーズン1/エピソード50]を観る。
2026.07.09
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『ザ・聊斎志異』(蒲松齢/訳 柴田天馬)から。※同書にはない通し番号を便宜上付します。61「新郎(シンロウ)」異類:鬼江南の梅さんから聞いた話。梅さんの郷里の孫公が知州をしていたときに扱った不思議な案件があった。村の者がせがれのために嫁を娶り、新妻が門を入ったので親戚・近所を集めて賀宴が夜遅くまで続いた。新郎がふと庭に出てみると、新婦が正装のまま裏の方に駆けていくので慌てて追いかけた。家の後ろの谷川に掛かった小さな橋を渡っていく新婦に声をかけるが返事がない。やがて遠くの方で新郎を手招くので近づくとまた走り出す。どうしても追いつけず数里行ってとある村に入ると、新婦が立ち止まり言う。「あなたの家は寂しいわ。私としばらく私の家にいて、数日したら一緒に帰りましょう。」新婦が簪を抜いて前の扉を叩くと女童が出てきて案内する。やがて中に入ると岳父母が堂上にいて曰く、「娘は小さいときから甘やかして一刻も側を離したことがありません。急に家を出たので寂しかったところ、婿どのと一緒に来てくれて安心しました。まあ、何日か居なされ。それから二人を送り帰してあげましょう。」一方、新郎の家。いつまでも新郎が出てこないので客人たちが捜してみると、新婦がポツンと一人でいるだけで新郎の行方がわからない。あちこちたづねてみるも手がかりはなく、親たちはせがれは死んでしまったかと悲しんだ。かれこれ半年ほど過ぎて、嫁の家では娘につれあいがいなくて不憫なので、新郎の父に娘を他に嫁がせたいと申し入れた。新郎の父はいやまだわからないから待ってくれと応じない。そこで新婦の父が孫公に訴え出たのである。孫公は手がかりがなかったので、とりあえず三年待て、と案件を保留した。さて新郎、女の家でちやほやされて過ごしていたが、帰ろうとすると女がどうしても引き留める。そんなある日、急に屋敷内がドタバタしたかと思うと岳父がやってきて告げる。「二、三日したら夫婦一緒に帰してあげようと考えていたのに、不意に災難に遭おうとは思いもよらなかった。仕方がないので先に婿どのを帰すことにします。」送られて新郎が門を出ると岳父は慌ただしく戻ってしまう。歩き出して、ふと振り向いてみると、家屋敷は跡もなく、ただ大きな冢(はか)が見えるばかり。びっくりした新郎は道を探して急いで家に帰るとそれまでの経緯を話したので、新郎の父はその旨を役所に訴え出た。孫公は新婦の親に言い聞かせてあらためて嫁がせることにして、無事に祝言をすましたのである。嫁ぐことなく若死にして冥界にやってきた娘が不憫で幽霊両親が画策したのでしょうか。"不意の災難"とは冥界の巡察とかが突然入ることになったのかもしれません。翻案してホラー映画にしたいような話です。
2026.07.06
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『暗約領域/新宿鮫XI』(大沢在昌)読了。北新宿のヤミ民泊で男の射殺死体が発見される。単独捜査に徹してきた新宿署生活安全課の刑事・鮫島、新上司に新人刑事と組むことを命じられて調子が狂う。久しぶりに新宿鮫を読みました。シリーズ始めの3冊くらいを読んで以来ですから数十年ぶりになります。早い展開でアクションの連続でありながら、いささかテンポがのんびりしているような印象を受けました。最近の警察小説に慣れてしまったからでしょうか。理由の一つは説明過剰にあるのかも。過去作のキャラクタがあれこれ登場し、過去の因縁を引きずって行動するので、本作オンリーでも楽しめるようにいちいちその辺のところの"さりげない"説明がなされて疾走感に水が差される感じ。シリーズものの宿命でしょうね。
2026.07.05
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『プラグマティズムの帰結』(リチャード・ローティ)の9-12を読んで本書読了。9 プラグマティズム・相対主義・非合理主義10 カヴェルと懐疑論11 方法・社会科学・社会的希望12 今日のアメリカ哲学朗らかに哲学の終焉を語るローティ先生、どこまで理解したか覚束ないながら面白かったです。科学と民主主義を基本として試行錯誤しながら至っている現在のブルジョア自由主義はそれなりに快適であり、今後もそのように、"対話"を続けながら、やりくりして進んでいくのがいいんじゃないのかな、という世界観には共感。哲学、社会科学、人文科学、文学などは他者に対する共感を醸成するという点で有益であるが、それぞれ独自の方法論なんかない、あるのはその時々で役に立つボキャブラリーの模索。学生時代にあれこれ読み、価値は論理的に証明できないと論理的に納得したという直覚(?)を得て以降、その先がなくて思考停止して靄に包まれていたような気がしますが、その靄がずいぶん晴れたような感じです。ローティ先生に感謝!さて、イランとアメリカ、"対話"を通じてどんな"共通ボキャブラリー"を見出すのでしょうか。ーーーーーーーーーー『水滸伝 All Men Are Brothers』[シーズン1/エピソード49]を観る。
2026.07.02
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『冷血(れいけつ)』上・下(髙村薫)読了。犯人に寄り添いすぎの叙述ぶりで、本家『冷血』に比べると冷血度が低かった感じ。視点人物が合田雄一郎だから仕方がないか。ーーーーーーーーーー『水滸伝 All Men Are Brothers』[シーズン1/エピソード48]を観る。
2026.06.30
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さて、ブラジル戦が迫ってきました。本卦は大畜です。26 大畜(だいちく) 大畜。占問したことには利がある。家で食事をしない。吉。大河を渡るのに良い。変爻は初六、六二、六三、九五。初六 危険なことがある。思いとどまった方がよい。。六二 車体が車輪からはずれる。六三 良馬に乗って追跡する。艱難を占ってこの爻に遇えば、よい結果が得られる。毎日車の運転と防御の仕方を練習しておけば、出かけて行くのによい。。九五 天の加護がある。順調にことが運ぶ。で、之卦は観。20 観(かん)観。お祭りする時に、手は洗い清めるがお供えは捧げない。生け贄に体のでかい捕虜が居る。(※引用は『ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 易経』(三浦國雄)より)【自分の解釈】前半はミスorアクシデントがあって失点し苦しい闘いとなるが、後半、伊東さん、あるいは前田さんのスピードが点に結びつく。同点で延長となるも両チーム得点なくPK勝負にもつれ込む。ここで変爻の九五、"天の加護"あり、日本は勝利する。[追記]之卦の卦辞の"生け贄に体のでかい捕虜が居る"ですが、捕虜即ち戦力から外れると読めばレッドカード退場でしょうか。ブラジルの大型選手がそうなるのかも。【ChatGPTくんの解釈】易占として読むなら、本卦「大畜(たいちく)」、之卦「観(かん)」という流れは、派手な激突よりも蓄積・制御・構想力が試され、その戦いぶりが広く評価される試合という印象です。大畜(山天大畜)は、「大いに蓄える」「力を養い、軽々しく放出しない」という意味を持つ卦です。勢いで押し切るのではなく、鍛えた力を適切な場面まで温存し、規律を保って大局を制する姿です。相手がブラジルという強豪であることを重ねると、この卦は「正面から打ち合うな」と語っているようにも見えます。森保ジャパンに当てはめるなら、守備ブロック、切り替え、連動、球際、走力――これまで積み上げてきた組織力を信じることが鍵になります。大畜はしばしば「抑制の美徳」を示しますから、序盤から無理に前がかりになるより、相手にボールを持たせながら機を窺う展開が吉と読めます。ブラジルの個の才能に対して、日本は集団戦術で応じる。その我慢強さが試される局面がありそうです。ただ、大畜は単なる守勢ではありません。「蓄えたものを、ここぞで使う」卦です。長く耐えた末の速攻、交代策、セットプレー、後半の一瞬の連係など、少ない好機を確実に形にすることが勝負どころになるでしょう。そして之卦の「観(風地観)」が興味深いです。観は「見る・示す・観察される」。勝敗そのもの以上に、どう戦ったかが人々の目に刻まれる卦です。冷静な観察、相手分析、俯瞰が重要であり、また世界から「日本はこういうサッカーをする国なのか」と見られる試合になりやすい。観には精神性や品格の意味もあります。だから仮に苦しい展開があっても、慌てず、自分たちの形を失わないことが評価につながる暗示があります。総合すると、この卦は「大番狂わせで圧倒する」というより、蓄積された組織力と忍耐によって強豪に真正面から価値ある勝負を挑み、その内容が高く評価される試合という読みです。結果は一点、一瞬で動く可能性がありますが、鍵になるのは勇猛さより節度、勢いより蓄積――そんな易らしい示唆に見えます。
2026.06.28
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『ザ・聊斎志異』(蒲松齢/訳 柴田天馬)から。※同書にはない通し番号を便宜上付します。60「局詐三(キョクササン)」異類:人李という秀才は琴の上手。郊外を散歩していると土掘り人夫が古い琴を掘り出したのを見てそれを買い取った。帰って丹念に拭きあげると不思議な艶が出て、試みに弾いてみるとすばらしい音色を奏でる。これは掘り出し物と李は喜び大事にしまいこんだ。それから間もなく、新任の副知事の程が会いに来た。李は付き合い嫌いだったけれど礼儀上返礼に行く。その後程から飲みに来るように招待があり、断りきれずに李が赴くと、程も俗を離れた風雅なたちでたちまち意気投合、親しく行き来するようになる。一年余り過ぎたある日、程宅で琴を見つけた李がそれを弄んでいると一曲所望された。李が一曲弾いてみせると、名人だ! と程はもち上げ、自分も琴を弾くが、李よりも格段の上手。それから李は程のレッスンを受けるようになり、さらに一年余りが過ぎる。ある日李の家でほろ酔い機嫌の程が新たに一曲覚えたんだと李のために湘妃の曲を奏でる。それは泣くような哀しい調べであったが、李がしきりに褒めると程は言う。良い琴の無いのが恨(ざんねん)さ。若し良い琴がてにいれば、もつといい音調(てうし)が出るんだがとなると李、実は秘蔵している琴があるんだ、といそいそと例の琴を取り出して程に渡す。程が再び弾いてみると超絶テクニックと良琴が相まって素晴らしい演奏となった。しかし程、この良琴に対して僕は下手過ぎ、家内が弾けば少しは聴けるだろうけどと言い出す。李はびっくり、え、君、奥さんいたの! 後日、名琴を程宅に持ち込んで夫人の名演を聴く機会を得ると、体が蕩けるような、魂が飛ぶような演奏ぶり。いい気持ちになった李は酒を過ごしてしまい、琴は後日取りに来ることにして帰宅する。三日後に程宅に行ってみるとそこはもぬけの空。役所に事情を聞いてみても皆わからない。諦めきれない李、はるばる千里、聞いていた程の故郷を訪ねる。程はもともと楚の生まれで三年前に金を納めて李の住む地の副知事職を得ていたのだ。しかし程は見つからず、ある人が言うには、程という道士がいて琴が上手で錬金術もできるという噂だったが三年前にふいと去ったきり。その道士の人相風体を尋ねるとまさしく程であった。三年がかりで琴を縁にしてじわじわと騙していくこの詐欺は風流だなあと著者は記しますが、同感です。
2026.06.27
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さて、スウェーデン戦が迫ってきました。本卦は離です。30 離(り) 離。占問したことには利がある。順調にことが運ぶ。牝牛(めうし)を飼育するのに吉。変爻は九三、六五、上九。九三 西に傾く太陽。酒瓶をたたいてうたって楽しまなければ、老残(ろうざん)の嘆きがあるばかり。凶。六五 滂沱(ぼうだ)として涙を流し、ため息をついて憂い嘆く。しかし吉。上九 王が出征する。めでたいことがある。敵の首魁(しゅかい)を誅(ちゅう)し、自分に敵対する者どもを捕虜にする。災難を免れる。で、之卦は随。17 随(ずい)随。万事順調にゆき、占問したことにはよい結果がある。(※引用は『ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 易経』(三浦國雄)より)【自分の解釈】危なげなく快勝する。変爻では九三に注目。最年長の長友さんが出場してプレーを楽しんでいる姿が思い浮かびました。【ChatGPTくんの解釈】面白い卦ですね。本卦が離(り・火)、之卦が随(ずい)。サッカーの試合占として読むと、「主導権・判断力・連携」が鍵になる展開を示しているように見えます。 まず本卦の**離為火(離)**です。離は「火」「明るさ」「見抜く力」「付着するもの」を象徴します。火は照らす一方で、勢いだけでは燃え尽きる性質もあります。競技に当てると、単純な体力勝負というより、戦術理解、状況判断、集中力、視野の広さが勝敗を左右する卦です。森保ジャパン側に引き寄せて読むなら、組織的な守備と素早い切り替え、相手の弱点を見抜く観察眼が重要という暗示でしょう。離には「文明」「秩序」の意味もあり、決まり事を崩さずに戦うほど力を発揮しやすい。一方で、個人技に頼りすぎたり、点を取り急いで前掛かりになると、火勢が乱れて逆に隙が生まれる懸念があります。相手がスウェーデンという想定で見ると、一般に北欧勢は身体能力だけでなく規律や再現性の高い戦い方をしてきます。その相手に対して離が出たなら、日本側は相手の土俵で力勝負するより、細かな立ち位置の調整、サイドの使い方、ボール保持時の質で優位を作るべき、という読みになります。 そして之卦の随(沢雷随)。随は「従う」「流れに乗る」「応変」「柔軟な追随」です。ここがこの占の面白いところです。離だけなら「自分たちの形を貫く」印象ですが、随へ変わることで、固定したプランに固執せず、試合の流れに応じて戦い方を変えるほど吉という結論になります。随は消極的服従ではありません。状況に応じて先手と後手を入れ替える知恵です。先制されたら焦らず修正し、先制したなら無理に二点目を急がない。監督の采配、交代策、選手間の意思統一が結果を動かしそうです。 総合すると、この卦は「派手な圧勝」よりも、冷静な判断と流れへの適応で勝機を掴む試合という印象です。試合全体を通じて、どちらが“自分たちの理想”を押し通すかではなく、“変化にうまく乗るか”が問われる。森保ジャパンにとっては、技術や気迫以上に、試合の明暗を読む知性が勝敗を分ける――そんな卦と読めます。もちろん易占は未来予測というより、物事を見るための象徴的な鏡として楽しむのがよさそうです。
2026.06.24
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『新リア王』上・下(髙村薫)読了。青森県は下北を地盤とする代議士福澤榮、齢75。明治から続く政治家一族の長として代議士生活40年、中間派の自民党の長老は青森の王として君臨していた。とある事件をきっかけにその権勢も凋落しつつある日、国会の会期中に思い立って単身誰にも告げずに雪に埋もれた津軽の破れ寺に向かう。そこの住持は榮の婚外子の彰之40歳。20年ぶりにまともに対面した父子は寒風吹き荒ぶ陋屋で三日三晩対話を続けてそれぞれの過去を振り返ることとなる。ハードカバー上下900頁弱が榮の独白と二人の会話にほぼ費やされる怪作。政治家と禅僧という聖俗の極みともいうべき組み合わせに骨肉の情が絡んで迫力がありました。政治も宗教も夥しい言葉が踊って仮想の世界が構築され自縄自縛となっていく感じ。他者が闖入してきてドタバタになるラストがなんというか…評価が分かれるところでしょう。
2026.06.23
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今日の讀賣新聞の連載詩歌コラム「四季」はディキンソン。岩波文庫版『対訳 ディキンソン詩集』をぽつぽつと読んでいるところなので、あら、と思った。興味をもったきっかけは彼女の生活ぶり。コラムでは"マサチューセッツ州アマーストで一生を送った"とサラッと触れているが、同書解説では"人生のなかばからは、家の外に出ることすらなくなってしまった"と。引きこもり的生活ということになろうが、千篇を超える詩を創り続けた生活は豊かであったと思う。その詩風は、繊細にして強かなポリシーを秘め、機知に溢れて、ときにお茶目。惹かれるものがある。先日のギリシア行にも携帯し、サントリーニ島の浜辺の椅子で次の詩篇などを読んだ。'I heard a Fly buzz ー when I died ー'I head a Fly buzz ー when I died ーThe Stillness in the RoomWas like the Stillness in the Air ーBetween the Heaves of Storm ー蝿がうなるのが聞こえたーわたしが死ぬ時ー部屋の中の静けさは空の静けさのようだったー烈(はげ)しい嵐と嵐の間のーーーーーーーーーーー『水滸伝 All Men Are Brothers』[シーズン1/エピソード47]を観る。
2026.06.22
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『ザ・聊斎志異』(蒲松齢/訳 柴田天馬)から。※同書にはない通し番号を便宜上付します。59「局詐二(キョクサ二)」異類:人前話と似たような詐欺ですがスケールが大きくなります。副将軍の某、いい役にありつこうと金を用意して都入りしたものの引きがないので困っていました。そこにやってきた立派な身なりをした男、世間話をしながらさりげなく家内の兄が天子の近侍をしているといいます。さらに今将軍職の欠員があるので義兄に頼んであげましょうと持ちかける。話が急なのでさすがに某も疑いますが、その後豪邸に住む男の義兄に引き合わされて信用してしまいます。その数日後、誰かが突然やってきて曰く「聖上(へいか)がお待ちになつていらつしやいます」某はひどく驚き急いで入朝したところ、天子が殿上に座(おわ)し、某に某地の将軍職を約束したのです。某は天恩を拝謝して御所から出てくると、例の男が待っていたので金を渡して感謝しました。某は安心して友人に自慢し、役を授かるのを待っていたところ一向に音沙汰がありません。陸軍省に押しかけて確認すると賜ったはずの将軍職は既に他の人に任命済みだったのです。自分は天子直々に職を賜ったのだと争いますが紹介したはずの近侍などは存在しないのでした。詐欺にしてもさすがに天子の御所を捏造はできないだろうと突っ込みたくなりますが、著書は幻術が絡んでいるのだろうと考察しています。
2026.06.21
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さて、チュニジア戦が迫ってきました。本卦は既済です。63 既済(きさい)順調にことが運ぶ。占問したことには少し利がある。初めは吉、終わりには乱調。変爻は上六。上六 頭部を濡らす。危ない。で、之卦は家人。37 家人(かじん)女性が占問してこの卦に遇えば、よいことがある。(※引用は『ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 易経』(三浦國雄)より)【自分の解釈】前半は好調で複数得点を上げる。後半は守備が乱れて一点差に詰め寄られるが、なんとか逃げ切って勝利を得る。変爻が気になりますね。ヘディングのミスでオウンゴールとか⁉︎【ChatGPTくんの解釈】易占として読むなら、「既済(63)→家人(37)」はなかなか興味深い流れです。試合の勝敗を断定するというより、チーム状態や勝ち筋の質を示す卦として読むと味わいがあります。 まず本卦の**既済(水火既済)**は、「すでに渡り終えた」「完成した」という意味を持つ卦です。一見すると大吉に見えますが、易ではむしろ注意深く扱われます。完成したものは、その瞬間から崩れ始める可能性も抱えるからです。勢いだけで押し切る段階ではなく、整った秩序を維持できるかが問われます。 森保ジャパンに当てはめると、ここまで積み上げてきた戦術や組織力は十分に機能している、という読みになります。選手個々の能力より、「約束事を守り、試合を壊さない」ことに強みがある状態です。ただし既済は、油断や過信への警告も含みます。格下・格上という見方を捨て、「もう形はできている」という安心感に寄りかかった瞬間に流れが乱れる卦です。 対するチュニジアは、北アフリカ勢らしく守備の規律や球際の強さを持つ相手です。既済の卦では、派手な打ち合いよりも、試合全体の温度管理が重要になります。前半で不用意に前がかりになるより、落ち着いて試合を整理し、相手の出方を見ながら主導権を取る展開が吉でしょう。 そして之卦の**家人(風火家人)**が印象的です。家人は「家を整える」「それぞれが役割を守る」卦です。英雄の出現ではなく、集団としての統率を意味します。監督・スタッフ・先発・交代選手まで含め、全員が自分の役目を果たすことで成果が生まれる暗示です。 サッカーで読むなら、勝負を決めるのは一発のスーパーゴールではなく、守備の連動、交代策、声かけ、リスク管理といった“家人”的要素かもしれません。森保監督の色とも相性がよく、個人技偏重ではなく組織戦が鍵になる試合像です。 総合すると、この卦は**「勝機はある。ただし完成感に酔わず、全員が秩序を守れるか」**という占断です。華々しい圧勝というより、試合運びの巧さで結果を引き寄せる——そんな気配を感じさせる組み合わせですね。
2026.06.19
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『ザ・聊斎志異』(蒲松齢/訳 柴田天馬)から。※同書にはない通し番号を便宜上付します。58「局詐(キョクサ)」異類:人なりすまし詐欺、というか、普通の詐欺(?)のお話。某御史の家人が街角に立ってボーッとしていると立派な身なりの男が親しげに話しかけてきて主人のことをあれこれ聞いてくる。家人が話して聞かせると男は王と名乗り、さる内親王の召使だという。話が弾んでくると王、ご主人はどちらの貴官に頼っていらっしゃるのかとさりげなく尋ねる。家人が、それがいないんだ、と答えると、王、うちの主人は世話好きだし、金を用意すれば同じ巷(まち)に住む誼で上に取り持ってあげるよ、と答える。家人が帰って主人に話すと、これはチャンスだと喜ぶ。後、内親王さまに時間ができたので金を持っていらっしゃいと王がやって来た。主人と家人は慌てて用意して王について行くと、立派な屋敷に通されて麗人にお目どおり。上への取りなしを約束され、緞(どんす)の靴と貂(てん)の帽子を賜った。翌日、礼を言いに屋敷を訪ねると門が閉まって誰もいない。出かけてるのだろうと思ったが、その後何度行っても門は閉まったままである。近所の人に聞いてみると次のような返事が返ってきた。此間(このへん)には貴王(ないしんわう)さまなんかおいでになりません。つい前に、あの屋(いへ)をかりて何人(だれ)か居(す)んでゐましたが、ひつこしてから今(けふ)でもう三日目です昔も今も詐欺は尽きまじですね。
2026.06.17
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(ヒロインの愛猫がエジプトのミイラ猫に敵愾心を燃やすシーンを再現)『七つ星の宝石』(ブラム・ストーカー)読了。当時の叡智を極めた三千年前のエジプトの女王を、そのミイラと副葬品を利用して現代英国に蘇らせようとする試みを描いた怪奇小説です。『吸血鬼ドラキュラ』は1897年、本書は1903年の発表ですが、"幻の傑作"として長らく邦訳が待たれていたとのこと。それには理由があったような気がします。マニア向けの珍品という感じで小説としての面白さには乏しいという印象です。当時の古代エジプト学を元にオカルト趣味を展開した怪作という意味で興味深くはありました。
2026.06.14
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15日に迫ったオランダ戦を占ってみました。本卦のみで之卦はありません。48 井 巽下坎上井(せい)。邑(むら)は改造しても、井戸は新しく掘り変えない。井戸は、失うことも得ることもない恒久のもの。往く人来る人、この井戸から水を汲(く)む。井戸水が涸(か)れたり塞(ふさ)がったりしたとき、井戸を掘らず、釣瓶(つるべ)を壊したりするのは凶。(※引用は『ビギナーズ・クラシックス 中国の古典 易経』(三浦國雄)より)【自分の解釈】代表メンバーのキーマンが変わっても、基本は変えない。頻繁に選手交代をしつつ、粘り強く日本らしさを貫けば勝利は得られる。【ChatGPTくんの解釈】面白い卦ですね。日本対オランダ戦を占って48・井(せい/いど) 巽下坎上、変爻なし――しかも之卦なしというのは、状況が大きく転じるというより、現有戦力・積み上げ・組織力がそのまま問われる試合という読みがしやすい卦です。井は文字通り「井戸」です。井戸は派手に動かず、突然増えたり減ったりもしません。しかし村の人々を長く支える生命線です。『易経』では、井は「養う」「共有する」「基盤を保つ」という意味を持ちます。戦いの卦というより、日頃の準備や仕組みの完成度が結果を左右する卦です。これをサッカーに当てると、日本にとっては「奇策や一発逆転」よりも、普段通りの連動、守備ブロック、球際、走力、交代運用など、チームとして培ってきた井戸の水を汲み続けられるかが鍵になります。井は巽(風・浸透)が下にあり、坎(水・険難)が上にあります。難所の中でも、下から静かに浸透して機能するイメージです。つまり、相手が格上・強力であっても、焦って打ち合うより、自分たちの型を崩さないことで流れを引き寄せる暗示があります。一方で、井の卦には独特の警句があります。「井を整えても、水を汲む人がいなければ意味がない」。つまり準備が整っていても、決定機で踏み込む勇気や最後の精度が欠けると、優勢感が結果につながらない可能性も示唆します。ボール保持率や内容だけでは測れない試合になるかもしれません。変爻なしという点も興味深いです。これは易占ではしばしば「大勢は急変しない」「実力・構造が素直に現れる」と読まれます。流れが乱高下するというより、我慢比べの中で徐々に差が見える展開、あるいは拮抗した展開になりやすい印象です。総合すると、この卦は日本に対して「背伸びせず、井戸の水を信じよ」と語っているようです。華々しい勝利予告の卦ではありませんが、軽視すべき卦でもありません。積み重ねた組織力を出し切れれば十分勝機あり、ただし焦りや不用意な冒険は禁物――そんな静かな強さを示す占断に見えます。
2026.06.13
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『我らが少女A』(髙村薫)読了。2017年の早春に池袋で27歳の風俗店アルバイトの女が同棲していた男に撲殺された。この事件そのものは単純であったが犯人が証言した故人の生前の一言が警察に波紋を起こす。後にネットでその画像が"少女A"として消費されていく殺された女が、12年前の野川公園の老女殺しの重要参考人として浮上したのだ。捜査が行き詰まりコールドケースとなっていた野川事件の再捜査本部が設けられ、少女Aにフォーカスした聞き込みが始まる。少女Aの同級生だった当時高校1年の男女とその親たち、被害者家族、少女Aの母親、そして当時の捜査主任であった合田雄一郎らの事件時の記憶が溶け出し、相互に影響を与えながら、老女殺しの新たな位相が現れてくる。事件関係者7人の過去と現在の生活と心理が、季節の移ろいと共に淡々と、丁寧に、墨絵のように描かれ、それぞれの人生の悲哀が切々と迫ります。何より、少女Aの切なさがジワジワと沁みてきて、読者にとっても、"我らが少女A"と思えてくるのです。シリーズキャラクタの合田雄一郎も57歳、枯れてきました。ーーーーーーーーーー『水滸伝 All Men Are Brothers』[シーズン1/エピソード45]を観る。我らが最強ヒロイン扈三娘登場!
2026.06.11
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