ごめんね、エース・・・
ハンティントンビーチというところにドッグビーチというものがあります。
何かというと、犬をリーシュから放して自由にさせてやっていい、というビーチです。
ここらへんって犬を自由に出来るビーチが少ないせいか、たくさんの犬とその家族が来ています。
一番最初に連れて行ったのは一年以上も前。
エースは浮かれて、どんな犬にも自分からあいさつの行ける子でした。
ピットブルとかロットワイラーにも平気でこんにちはってするから、ダディとマミーもひやひや。
ところがある時、茶色い大型犬にいきなりうしろから襲われたんです。
多分、その子はでかかったけどパピー。
エースは怪我なかったので、その子はおふざけのつもりだったのでしょう。
でも、エースは「ダディ、マミー、助けて！」と必死の泣き声を出しました。
それ以来、エースは弱虫になってしまったのです。
でも、私はハンティントンビーチが好きでした。
だって、犬も一緒に行けるから、家族全員でいられるんです。
私は日焼けするの、好きだし、旦那もハンティントンビーチなら一緒に来てくれたから。
でも、エースのあの事件以来、旦那はあんまり行きたくない様子でした。
確かに、エースはビクビクしてたしね。
だけど、私としては、エースにもまた強くなって欲しかった。
小型犬にはなんとか「こんにちは」できたエースだから、いつか、前のように勇敢な子に戻ってくれるはず。
しかし、私は甘かった・・・
今日、3人で行った時、ダックスフンドともちっちゃめのテリアとも少し仲良くできていて、大型犬が寄ってきてもなんとなく普通でいられたエース。
浮かれていたその時・・・
ピットブルのパピーが来たのです。
その飼い主は、見かけでジャッジしちゃ悪いけど、若いヒスパニック系の男女で、二人とも、ギャング系の映画に出てきそうな格好をしている。
ＤＭＸとかにあこがれて、ピットブルを飼ったはいいけど、しつけが出来てるのかなって不安でした。
ピットブルはもともと性格が荒い。
闘犬ですからね。
ピットブルには責任がない。
だから、きちんとしつけてあげないといけない。
でも実際、それが出来ていないで、いろいろな人が命を落としているのです。ニュースでもありましたよね。
それは、飼い主の責任。
それができないなら、飼う資格はないのです。
その、ピットブルのパピーが、我が息子、エースを襲ったのです！
パピーといっても、エースより、もうすでに大きかった。
その子がいきなり、エースの方に走ってきて（走りかたもパピー）、エースの上にまたがったのです。
そして、ウーウー言いながら、エースの首に噛み付いたのです。
多分ね、遊びのつもりだったんだと思う。
エースの体を調べても、傷はなかったから。
でも、エースはもう本当に恐怖におののいていました。
それより恐怖だったのは私と旦那。
エースが襲われているというのに、情けないことに、私は叫ぶことしかできなかった・・・。
こんなにエースを愛しているのに。
私はピットブルに立ち向かうことができなかった。
うちの旦那はピットブルをどかそうとした。
なんども振り払おうとしたのに、その子はどかなかった。
多分、そんな事をしているうちに、ピットブルだって興奮しちゃったんでしょうね。
どんどん、恐ろしい声を張り上げて、エースを襲っている。
もう、恐怖でした。私も何も覚えていないけど頭が真っ白でした。
そんな時、旦那は無我夢中でエースを抱え上げました。
ピットブルに旦那だって殺される可能性だってあるのに。
我が息子が襲われて、旦那も危険だっていうのに、私は体がすくんで叫ぶことしか出来なかった・・・・
本当に情けなかったです。
私が3人でビーチに行きたかったばっかりに。
愛する二人の命を危険にさらして・・・
やっといちゃいちゃしていた飼い主が騒ぎに気付き、男性の方が犬を押さえてくれました。
「I am sorry. Is she okay??」とさすがに焦っていました。
ＨＥなんだけどね。エースは。
旦那は「怪我しているか、チェックして」と私に言い、その飼い主に「You need to put him on the leash， man.」とだけ言いました。
旦那も息がぜーぜーいっていました。
周りの他の飼い主はみんな、はらはらして自分の犬を抱いていました。
みんな、大丈夫かと声をかけてくれました。
そして、みんな、帰る準備を始めました。
そういえば、以前、ラブラドールを飼っている男性が、ロットワイラーが近づいてきた時（このロットワイラーはトレインされていたらしく、全然襲ったりしていませんでしたが）「Please go. Please leave us alone!!」と自分のラブちゃんを抱いて、叫んでました。
それをふっと思い出した。
エースが着ていたコビーのジャージーは、ピットブルのせいで何箇所も破けました。
ジャージーはまた買えばいい。
だけど、エースの心はもう治らない・・・
もう、絶対ハンティントンビーチに行くのはやめます。
これ以上、うちの子にトラウマを与えたくないから。
ごめんね、エース。
本当に、ごめんね。
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