賢い離婚
小さい目をクリクリさせながら、６歳の男の子は言った。
・・・おっとっと。
小さい子って、何の計算もせず、何でも言うから、思わず、家庭の事情がバレバレなのである。
でも、その子は、そのことがすごく楽しいように話した。
「ダディのアパートは海の真横にあるんだよ。だから、お部屋から海が見えるんだ。でね、ダディのアパートにはバーカウンターがあるんだよ。すっごくクールでしょ？で、僕のバイクをお家の中に置いてもいいんだ。僕はすごくダディの新しいところ、好きなんだよ！ Ｓｏ ｍｕｃｈ ｆｕｎ！！」
「僕はダディとマムと同じくらい時間を過ごすようにしなきゃいけないんだ。そうじゃないと、フェアじゃないでしょ？だって、ダディもマムも両方とも僕と一緒にいたいからさ。」
「ダディとマムはまだ仲良しで、よく一緒にお茶とかしてるんだよ。でも、他のお家に住んでいた方が、もっと仲良しになれるんだって。」
そして、週末はどうすごしたかを延々に語ってくれた。
話している姿が、すごく嬉しそうだった。
一生、一緒にいるつもりで結婚したって、やっぱり別れたいって思う事はある。
どうしても違う方向に行ってしまうことがある。
幸せなことよりイライラしたり悲しい事の方が結婚生活において多いんだったら、別れて、きれいさっぱり、次の人生を歩んだ方がお互いのためだ。
人生一度きりだしね。
子供がいない夫婦だったら、財産の分与などだけで離婚は出来る。
うちの場合、ワンコの相続で相当もめそうだけど。
でも、子供がいると、子供の気持ちを考えてしまう・・・。
あたしがまだ小さかった時、二階で寝ているフリをして本を読んでいると、下で大ケンカの声が聞こえた。
あたしは廊下にそっとでて、ケンカの内容を盗み聞きした。
父は「別れる！」と大騒ぎしていた。
あたしは、思わず、階段を駆け降り「お父さん、そんな事言わないで！お父さんは世界でたった一人のお父さんなんだから！！！」と叫んだ（そうだ）。
それにはっとしたのか、両親はケンカをやめた（そうだ）。
そして、あたしは、わざとガンガン歩きながら、２階に戻り、自分の部屋のドアをバッターンと閉めた（そうだ）。
あたしはその夜、本当に両親が離婚しちゃったら、どうしようって、すごくすごく考えた。（これは覚えている）
まあ、うちの両親は別れていないから、分かった口はきけないけど。
お父さん、お母さんのどっちかのことを子供も好きじゃなくって、別れてもらって大正解って思うこともあると思う。
子供の目にも耐えられないとか、そういうのってきっとあると思う。
でも、お父さん、お母さん、どっちも大好きでたまらない場合、両親がケンカをし、別れるって、子供にとって辛いことだ。
だからって、そのためだけに夫婦生活を続け、どんどん夫婦間がひどくなることだってあるはず。
そうしたら、別れる道を選ぶのって、賢いことだと思う。
だって、子供にとって、両親がケンカをしているのを見るのは、とっても悲しいことだから。
別れて両親が幸せになれるんだったら、幸せな両親を見ている方が幸せになれるはずだから。
ただし、子供がきちんと納得ができるように説明することが、大事だと思う。
うちの旦那の家族の場合、両親がそれぞれ、子供の愛を勝ち取ろうと、必死になっていた。
よって、旦那とお姉さんは混乱したと思う。
それによって、人を信用することが難しくなったり、お姉さんの方は、お父さんに取り入ろうとしたり、旦那の方は、変にママばっかりをかばうようになってしまったんだと思う。
この子の場合、そこがものすごく上手にケアされていたんだと思う。
子供もセラピストに通ってたらしいし。
だから、両親の別居で、この子は打撃を全然受けていない。
素晴らしいって思ったよ。
この子の純粋な心。
キラキラ光る目を、失わすことなく、上手に事を運んでいると思う。
自分たちは、離婚騒動で、間違いなく心を痛めているだろうに。
ご両親を心から尊敬します。
（そういや、ここのお父さん、相当やんちゃそうなんだ 笑）
もし、あたしの子供が、あたしや旦那を好きで好きで仕方ないのに、あたしたちが別れると決めた場合。
お互いにお互いの悪口を、子供の前で絶対に言わない。
悪口どころか、お互いを子供の前で誉める。
子供が相手にしてもらったことで喜んでいても、嫉妬しない。
別れているけど、お互いはまだ愛し合っていてるっていうことを子供に分からせておく。
それぞれに別のパートナーが出来たら、それを子供が納得いくように上手に説明をする。
子供の前で決して悲しい顔を見せない。
家庭それぞれ違うから、離婚に対する考えもそれぞれ違うだろう。
だけど、うちは、相当難しいとは思うけど、そういう事に気をつけて、上手に賢く離婚をしよう。
あたしはそう固く決意した。
おいおい？？
一応、あたし、新婚さん？？
© Rakuten Group, Inc.
