若い頃 南風一
俺の申し出にあっさりOKと言ってくれたとき
「さすが転校して来たばかりの娘は違うな」と思った
ところが喜んだのも束の間
授業が終わって帰る時間になって
約束した体育館の横で待っていると
きみがやって来た
鞄を持っていなかったので悪い予感がした
「友だちに誤解されるので、すみません。一緒に帰れません。」
「分かった。それじゃあ」
私は背を向けて校門へ向かった
そんなことはあったけれど
それからも通学途中で会えば挨拶もしたし
一緒に学校へ歩いて行くこともあった
男の方は結論を急いで
すぐにすぐにと焦る
女の方は本能がそうさせるのかな
慌てず未来をしっかり見据えている
俺ももっと長い目で
まず大学へ入って将来の勉強をしっかりして
きみとの関係は「その後に」というくらいの余裕を持っていたら
長丁場となってもうまく乗り切ることができたのかも知れない
若い頃の俺は本当に近視眼的だったなあと後悔している
近視眼的でなかった男など
男ではないとも思うけれど ね
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