南風一の世界

南風一の世界

2021/05/03
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カテゴリ:
  裁定の難しさ・道理が先か細部が先か?   南風一



担任は理科教諭の50代前半の先生だった。
私が自宅で理科の勉強をしていて
どうしても理解できないところがあると
夜10時過ぎに母親に頼んで、
先生の家に電話をしたときでも、
先生は嫌な素振り一つせずに、
懇切丁寧に回答してくれるような先生だった。

中学校1年の三学期のある日、

そのとき学級委員だった私は、立場上、
その友だちに掃除をするように注意した。

その友だちは、
私が雑巾がけをした廊下を指さして、
「そこにテープが貼り付いたままなのに、
 掃除をしたと言えるのか?」
と反発してきた。

そのとき
私がテープを剥がしてから
「さあ、俺がテープを剥がしたから、
 きみも掃除せよ」と言えば良かったのに

「そんな屁理屈を言わずに、さっさと掃除しろ」
と怒鳴りつけた。

級友の方は、「お前が先に、掃除しろ」と言って、
お互いに睨み合いの喧嘩になった。

そこをちょうど担任の先生が通りかかって、

言った言葉が、
級友に対して「南風くんは雑巾がけをしたのだろう。
 きみはテープを剥がせと反発する前に、
 先に掃除をするのが道理だろう」
と級友を諭した。

当然級友の方も 自分が悪いのは分かっていた。
その上で
私がテープの剥がし残しがあるにもかかわらず、
「掃除は終わった」と
言っているところが
気に障っていたのだった。

その時の先生の裁定は、
多分正しかったのだろうが、
当時の級友からすれば
大きな「ひいき」に映ったことだろう。

級友の方は、自分の言い分を先生は十分理解する
けれども、
そこは道理の方が勝る
と懇切丁寧に説明していれば、
旧友の納得度も違っていたのかも知れない。

あれから50年になるが、
その級友は、クラスの同窓会には
一度も顔を出さない。

今でも、道理が先か細部が先か
折にふれ思い出す苦い思い出だ。


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Last updated  2021/05/03 10:27:32 AM
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