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| * | 第35回熊野古道近野山間マラソン大会 は3月20日(祝)、春分の日に開催された。だからもう2ヶ月も経つ。報告が後回しになってしまった理由は3つある。 1つは、3月後半に大会参加が集中したこと。本大会4日前の塩飽本島マイペースマラソンに出て、そのレポートを書いていた真っ最中だったので、終わってすぐに手をつけられなかった。また塩飽本島マイペースマラソンでは、歴史を切り口に紹介することに力を入れた。そのあとの『熊野古道』である。日本一歴史をもつ道といっても過言ではない。しかも地元である。自宅から百メートルほど行ったところが熊野古道なのである。 走った区間は中辺路のほんの一部の10キロだけであっても、歴史的な面においては、熊野古道全体を捉えて紹介したいと思った。というわけで、熊野古道について学べる本を図書館に借りにいったら、さすが世界遺産、観光案内から歴史探訪まで沢山あるわあるわ。資料がありすぎて逆に掴みどころを探しあぐねていた、というのが2つめの理由。 3つめは、そうこうしているうちに翠明湖・チャレンジ登山大会と走って一ヶ月近くが過ぎてしまい、ここまで遅れたらもう今さらという気になって、怠慢に拍車がかかったのである。3つの理由はこの1点に集約されるのではないか、との見方もある。 千年ほど昔の平安時代。信仰心厚い上皇(譲位後の天皇)が、熊野権現へ何度も参られた。熊野は紀伊半島南部にあり、みやこ京都から往復に一月近くかかる長旅であった。 熊野までの路は数通りあった。紀伊半島を大回りする度合いによってか、大辺路(おおへち)、中辺路(なかへち)、小辺路(こへち)と呼びわけられている。大辺路は海岸沿いをまわる路で、今のJR紀勢本線や国道42号線のルートに同じである。ただし往時は、海路を多く利用する路であったようだ。中辺路は、大辺路の途中「田辺」から山間に入り、半島を横断して熊野奥社へと向かう路で、現在、観光的な意味で熊野古道といえば、この中辺路が目抜きにあたる。小辺路は海岸に出ず、紀伊半島中心部を南下する路で、1000m超の山が幾重にも連なる果無(はてなし)山脈、いわゆる熊野三千六百峯に真っ向から挑む路である。ほかに伊勢神宮から紀伊半島の東側を南下する伊勢路。紀伊半島の背骨にあたる大峯山脈を縦走する修験の道「奥駈(おくがけ)」も熊野への路である。 ![]() 会場は「田辺市立近野(ちかの)小学校」の運動場で、ここがスタート兼ゴールとなる。新年に信太山クロスカントリーを走ったMさんと一緒に車で来た。 受付は8:00~9:25。10:00から競技開始で2キロと5キロの部門からスタートする。当大会は教育委員会が執り行なっていて、2キロと5キロは地元の小中学生が主な参加者である。10キロのスタートは一番最後で11:35。 受付後に2時間以上待つのは退屈だから、受付締切時間をあえて30分ほど遅刻しようと遅めに大阪を発ったのだが、白浜バイパスに繋がるところまで延びた阪和道は予想以上に所要時間を短縮してくれて、着いてみれば遅刻になっていなかった。 広く綺麗な体育館が選手控え室に開放されていて、この日あいにくの雨でありがたみひとしお。ストレッチをしつつ、また床に寝転んでの休憩しつつ、スタートまでの時間を潰した。 熊野古道の定番の写真といえば、鬱蒼とした山林のなかの石畳の道である。山奥というイメージを抱いてしまうが、熊野古道は思いのほか広範囲に及んでいる。淀川を舟で下って天満橋から陸路をとって大阪を縦断していく路も熊野古道で、大方のガイドブックは天満橋にある「 八軒家浜船着場 」の石碑を北の起点として紹介している。そこから谷町筋の一本西を南へと下る。「くまのこどう」の石碑がオフィス街のなか、ひっそりと道路脇に佇んでいる。毎日通勤に或いはオフィスからコンビニまでの買い物に、前を何度も通っていても関心がなければ眼に入らない、小さな石の塔である。5年ほど前の自分には見えていなかった、歴史の道しるべ。 ![]() スタートしてしばらく上り坂が続いた。コースはスタートして、311号線より北側の山間の道を東へ、つまり奥社へむかって走る。「一方杉」という熊野古道の名所を過ぎて、すこし行くと折り返し。この折り返し地点までゆるゆると登る道が続く。戻りはほぼ並行して通る片側1車線の道を使う。途中「野中の清水」という名所がある。カーブの連続する道は行きと反対で、ゆるゆると下る。スタートした小学校が右に見えるが、まだゴールはしない。ここから近野のまちなかを一周する。近露王子とよばれる旧跡をまわって、最後は「心臓破りの坂」をあがって小学校へと戻る。 ![]() 走ったのち判ったことだが「心臓破りの坂」は名前ほど過酷な坂ではない。走り通すことが出来たほどだから。おそらくこの坂は、登校する小学生たちを悩ませる坂なのだろう。町から見ると小学校は一段高いところに位置する。遅刻寸前で、最後に坂を駆け上らなければならなくなる。こういうロケーションでは大げさな呼び名が付されるものである。 急な坂こそないものの、コースの大半は緩い傾斜のある道で、手ごたえというか足ごたえのある10キロといえるだろう。「山間マラソン」という呼び名は本大会にぴったりだと思う。 |
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