しばらくして、家主は小生の答えの「ウーゥ」に満足したのであろうか、ボンジュールと発音させるのはあきらめたようである。Bonjourはフランス語の中でも小生達には大変発音が難しいのである。だいたいBonはボンではなく、Boの後に鼻音がつづくのである。鼻音といってもよく言われているように鼻から声を通すのではなく、殆どは口から声がで、わずかな部分が鼻にかかる程度で、そのあとのJouは舌先の三分の一あたりを上口に軽くつけるようにして、口を少し突き出して、息をだすと摩擦する空気の流れの音がでる。Rのフランス語の発音は地域によって違うが、標準のフランス語では喉の奥を空気でかするように、鳩の鳴き声のようにだすのである。これらの発音をマスターするのは特に母音や子音が少ない言語の人たちには最初は難しい。それを家主は小生に教えようとしていたのである。小生が口をとがらせることや、舌先を上口にどうしてつけることができるのか?最近はやっと家主も分かったようで、毎朝の挨拶には「ウーゥ」というと「トレビエン(よっしゃ)」が返ってくる。家主もボンジュールを同じ人に一日何回も言わないことが分かってきたのであろう。