翻訳学者犬徒然草

嵐の日

週末に家主が帰ってくると相方に電話があった。小生は昨夜の嵐が心配であった。イギリスでは大変な被害を与え、フランスでも地方によっては時速180キロの暴風が吹き荒れたそうである。こちらでもかなり強い風で、老母と外にでかけても、小生は風雨が強いのですぐに家にもどるのだが、老母はいつもの習慣を変えず、林の中の小屋の周辺でハリネズミや野鼠、リスなどの匂い跡を調査しつづけるのである。家主の機嫌の良い時はそのまま自由に外の散策を続けられるのだが、虫の居所が悪いと大きな声で老母をどなりつけることになる。しかし老母は耳が遠くなっているため、あるいは聞こえないふりをして小屋の周りの散策を続けるのである。

小生はこのような老母の独立心を尊敬しているのだが、家主の手前、さも老母を連れ帰しに行くような態度で入り口のところで老母の方を心配そうに眺める。家主の「つれて来い」との命令に、小生はとぼとぼと小屋の方に向かい老母に「そろそろ帰りますか?」と言うと「今日は機嫌が悪そうやから、もう1回呼んだら帰ろう」との返事が返ってくるのである。

2雪



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