レムリアからの転生旅行者

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神坂俊一郎

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Jul 1, 2019
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カテゴリ: 人生について
宴会の後、二人だけになった優佳さんと一郎君、一郎君が「今晩は、僕の側を離れるな。」と、聞きようによってはロマンチックな言葉をかけてくれたのに、優佳さん、何を思ったのか、つい出来心というのが一番真実に近かったようなのですが、よし、彼をまいて逃げてやろうと考えたのです。
そこで優佳さんが何をしたかというと、祇園の宴会場から四条通りを西に向かって歩いて、四条大橋を渡ったところで、人ごみに紛れて走り出したのです。
元々このカップル、手さえつないだことがありませんでしたから、優佳さんが逃げ出すこと自体は自由にできたのです。
でも、優佳さんが運動がそれほど得意ではなかったのに対し、一郎君、京大生とは思えない運動能力の持ち主で、特に鍛えたわけでもないのに100メートル12秒台で走れましたし、視力も後輩が落としたコンタクトレンズを10メートルぐらい離れていて見つけたことがあるぐらいで、恐らく3.0は楽にあったと思われるほど驚異的だったのです。
ですから、逃げ切れるわけはないと、逃げた優佳さんも高をくくっていたふしがあり、彼女、絶対つかまえてくれるだろうとの安心感があったのか、いたずら心を起こして、まっすぐ四条河原町方面に向かうと見せかけてフェイントかけて高瀬川近くの小道に入り、しかも曲がり角から数メートルの位置にあった喫茶店に飛び込んだのです。
対する一郎君、一瞬何が起こったのか判断ができませんでした。
彼が命じたことに、優佳さんが反抗するということ自体頭になかったのです。
その上、運動能力と視力を過信し、絶対に彼女を見失うはずはないと思ってしまったのです。
ですから、追いかけるのがワンテンポ遅れ、彼女が小道に逸れてから猛然と追いかけたため、喫茶店に飛び込んだのが見えず、彼女が店内に入った次の瞬間店の前を猛スピードで通過していったのです。


あれ、私、本当に一郎さんをまいてしまったのかしら。
そんなつもりじゃなかったのに。
その後約30分間、優佳さん、喫茶店でぼーっとしていました。
一郎君、両親と自分の板挟みで鬱加減の優佳さんを心配していたのですが、当人は全く意識が無く、自分が何をしているのかもよくわかっていなかったのです。

一郎君は、優佳さんが心配でしばらく探し回ったのですが、そのあたりは冷静かつ現実的で、彼女の下宿の前で待っていれば会えるだろうと考え、バスで北白川近くに戻りました。
それからが、運命のすれ違いになりました。
優佳さん、落ち着いて我に返ると、あっ、これは彼にひどいことをした、謝りに行かなくてはと考え、タクシーで一郎君の下宿に向かったのです。
そして、一郎君の下宿の前でタクシーを降りたものの、窓に明かりはないし、ピンポンを押しても応答がないのでまだ帰っていないことを確かめると、彼が自分を置いて帰ってしまうような人ではないと思いなおしました。
それからの彼女が、不用心かつ不注意で、人と車の通りが多く街灯も多い御影通りを歩いていけばよかったのに、大して近道でもないのに、人通りの少ない暗い裏道を通って自分の下宿に向かったのです。
夜道であり、しかも彼女、スタイル抜群の女子大生なのですから、襲ってくださいと言っているようなものだったことに、本人全く気付いていませんでした。
しばらく歩いていくと、誰かが後ろから追いかけてきました。

そこでようやく、もしかして、私襲われてるのかしら、と気づくところが彼女の抜けたところで、悲鳴を上げる前に、お腹をなぐられて、気が遠くなってしまいましたから、どんな男に襲われたのか、全くわかりませんでした。
そして、抵抗できないうちにジーンズを脱がされてしまったのですが、幸運だったのは、男が彼女の下着を脱がせにかかったあわやという時に、一郎君の友人で、身長180センチ、スリムながら怪力の持ち主の中野孝一君が近くを通りかかったのです。
笑えたことに、中野君は全く二人に気づかなかったのですが、酔っ払って大声でわめいていましたから、優佳さんを襲った男、あわてて逃げ去りました。
優佳さん、しばらく倒れたままでしたが、どうやら怪我もなさそうだし、体が動くことを確かめると、座ったまま服装を整えました。
それでも、ショックでしばらく立ち上がれませんでした。

「今夜は僕の側から離れるな。」
そうだった。彼、予知能力者と言われるぐらい危険を察知するんだった。
今頃になって気づいた自分のバカさ加減を呪いながら、優佳さん、何とか立ち上がってよろよろと下宿に向かって歩き出しました。
泣きっ面に蜂で、雨まで降ってきました。
この雨もすれ違いの元で、彼女の下宿の前で待っていた一郎君、濡れたままでも待っていれば会えたのに、もしかしたら自分の下宿に行ったかなと考え、すれ違いにならないようにと、明るい御影通りを通って北白川の下宿に向かったのです。
結果的に、裏通りから帰ってきた優佳さんと、ほんの何十メートルかの差で、行き違いになってしまったのですが、彼、途中で何度も振り返って、彼女の下宿の部屋の窓を確かめていたのです。
そして、4度目ぐらいに窓が明るくなりましたから、ああ、よかった無事帰ってきたようだと安心して下宿に戻ったのです。

優佳さん、下宿にたどりついてから確認したのですが、お腹と一緒に顔もなぐられたようで、顔の左側が少し腫れていましたし、押し倒されたときに膝を軽くすりむいていましたが、それ以上のことはなかったようでした。
しかし、男に襲われたというショックでしばらく何も考えられませんでした。
どうやら何もなかったとはいえ、顔もわからない男に触られたことを思い出し、きれいになりたいと、風呂屋に出かけることにしました。

お風呂の中で同じ下宿の女子大生の里中妙子に会ってしまいましたから、こそこそと隠れようとしましたが、彼女、明るく声をかけてきたのです。
「あら、優佳、どうしたのその傷。」
顔ではなく膝の擦り傷だと気づいて少しほっとしましたが、何食わぬ顔で答えました。
「私ドジだから、下宿の階段踏み外したのよ。」
すると妙子、笑った後で彼女の体を見て感心していました。
「優佳って、素晴らしいスタイルなのね。何時もジーンズにスウェットだから、わからなかったけど、8頭身で足も長いし、細いかと思ったら意外に胸も豊かだし、腰もきれいにくびれてるし、羨ましいわ。女の私でも、ふるいつきたくなるわ。」
「もう、そんなええもんやないわよ。」
答えながらも、そうか、女子大生の彼女がそう言うぐらいだから、男に襲われたのも不思議はないのかと思った優佳でした。
「ありゃ、優佳今夜デートやなかったの。」
妙子が思い出して聞いて来たので、優佳、何食わぬ顔で答えました。
「彼と一緒に京大生たちの宴会に出て、帰ってきたとこよ。」
「ふーん、彼もうらやましいわ。」
「何が。」
「あんたみたいなナイスバディー独り占めできるやなんて、ほんま、目の保養になるわ。」
「彼には見せたことないわ。」
すると妙子、素っ頓狂な声を出しました。
「えーっ、うっそー。」
周りの人に振り向かれたので、二人とも恥ずかしくて赤くなりました。
優佳、小さな声で答えました。
「嘘やないわ。まだ見せてないわ。」
「あれ、夏、琵琶湖に行ったんやなかったかしら。水着姿披露しなかったの。」
確かに他の京大生たちも一緒に琵琶湖に海水浴ならぬ湖水浴に行ったのですが、実家から水着が届いたのが翌日だったので、水着姿を披露できなかったのです。
「ああ、彼とボートには乗ったけど、私、その時水着がなかったからTシャツジーンズ姿で、水着姿は見せてないの。」
「もったいない。」
「何がよ。」
「優佳のスタイルって、ほんまに魅力的やもん。男、悩殺できるわよ。」
そうかもしれないけど、そんな男はいらないのが本音で、その点でも、理性の塊一郎君は理想的だったのです。
「そんなんで悩殺できるような男なんかいらへんわ。」
妙子、優佳らしいなと笑いました。
「あはは、そうやね。神坂さんって、フェアレディ―に乗ってるのに、何時も静かにゆっくり現れるし、優しそうやし、あんたにゃぴったしね。」
うーん、両親は一郎君はやめろと言ってるし、逆に姉は、彼の顔見て、少し話して、21歳であんなに落ち着いたいい人はいないから、色仕掛けで落とせと言ってくるし、それで悩んでいるのも事実なので、ごまかしました。
「うん。ゆっくり進めるわ。」
「そう。もし飽きたら私に頂戴。」
妙子、冗談だったのですが、優佳は悲鳴をあげました。
「きゃー、駄目よ。とらないで。」
またも周囲の注目を浴びて、赤くなる二人でした。
「もう、冗談に決まってるやないの。あんたと一緒に居たら注目されて恥ずかしいから、私、もうあがるわ。」
「じゃあ、またね。」
妙子が居なくなると、優佳はもう一度湯船に浸かってからあがりました。

夜一人になると、襲われたことを思い出して、また怖くなりました。
あの時、中野さんがとおりかからなかったら、どうなったのかしら。
男と女のやることぐらいは理解していた優佳でしたが、無理やりやられてしまったらと考えるだけで、体が震えました。
彼が注意したことは、ちゃんと守らないとだめなんだわ、もう一度肝に銘じて、明日改めて謝りに行こうと決心した優佳でした。

続く。

画像は庭のホタルブクロです。
周囲の森がどんどん切り開かれて、一時絶滅しそうになったので、我が家の庭に移植して大事にしたら庭のあちこちがホタルブクロだらけになりました。
皮肉なことに、昔は庭でちょこちょこ見かけた蛍の方が、見かけることがなくなりました。





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Last updated  Aug 4, 2023 09:54:19 PM
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Yoko@ Re:ヤマトタケル異聞8(10/04) 記紀とは違うヤマトタケルを興味深く拝読…
Yoko@ Re:ヤマトタケル異聞1(09/21) ずうずうしくリクエストをしたYokoです。 …
Yoko@ Re:ヤマトタケル?2(04/19) 21日のご返信に気が付かず、ご返信せずに…
神坂俊一郎 @ Re[1]:ヤマトタケル?2(04/19) YOKOさんへ アメーバブログも確認したら全…
神坂俊一郎 @ Re[1]:ヤマトタケル?2(04/19) YOKOさんへ 既に発見されたかも知れません…

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