レムリアからの転生旅行者

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神坂俊一郎

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Jun 21, 2025
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テーマ: 源氏物語(11)
カテゴリ: 人生について



私自身は、高校生の時にちょこっと読んだだけですから、光源氏は、単なる好色親父だと思い込んでいたのですが、夫が私に注いでくれた膨大な教養の一環として、源氏物語の概略や登場人物を教えてくれていましたし、私のことを、光源氏の紫の上になぞらえていたことも思い出して聞いて見ました。
「俊一郎さん、私は、源氏物語の紫の上なんですか。」
脈絡のないことを突然問われれば、いくら頭の良い夫でも、何のことかわかりません。
「何じゃ、それは。」
「いや、あなたは結構源氏物語も読んでいるし、いろいいろ教えてくれたし、大分昔というか、私と付き合い始めた頃に、私は紫の上と言ったことがあったのを思い出したの。」
そう言われてみれば、そんなこともあったと、彼は思い出してくれました。
「そうだなあ、そんなこともあった。」
「本当はどうなの。」

「うーむ、時代も違えば、境遇も違うし、無理はあるな。」
私は、少し落胆しました。
「そうよね。あなたは、家柄も良いし、能力もあったから、光源氏になぞらえることはできそうだけど、私は、東北の田舎の、家柄も何にもない高卒の女だったものね。」
しかし、夫は、それでも私は紫の上だと考えていました。
「いろいろ無理はあるが、僕が美奈子にやろうとしたことは、光源氏が紫の上にしようとしたことと共通する。」
「というと。」
「美奈子は、素晴らしい素質を持っていたから、その素質を開花させることで、理想の女性に近づけようとした、それは共通する。」
嬉しい言葉です。
確かに夫は、学のない私を、一生懸命教育してくれました。
「そうね。本当にいろんなことを教えてくれたわ。だから、確かに私は、あなたによって、教養豊かな女性になれた。」
夫は、私が単に教養豊かな女性になっただけでなく、気品のある女性にも変身したと思っていました。

確かに彼の言うとおりなのですが、一目ぼれとは違うのですが、私を一目見て、未来の妻だと見抜くなんて芸当、普通の人間にはできません。
しかも、生まれも育ちも大きく違う相手だったのですから。
しかし、自分にふさわしい相手にしようと、教育してくれたことは確かでした。
「だから、私の結婚前提の交際申し込みにあっさり同意して、結婚して、磨いてくれたんだ。」
交際を始める時の、私の要求も、今考えると赤面ものだったのですが、私は、当然断られるか、あわよくば、お友達からと言ってもらえればラッキーだったのですが、彼は、私が出した条件、結婚前提の交際、とりあえずは清い交際、姉にもあってちゃんと挨拶してくれること、を即答に近い形でOKしてくれたのですから、私にしてみれば、願ったり叶ったり、だったのです。

ただ、彼もそう思ってくれたからこそ、今の私が居るわけで、そのために、お妃教育ならぬ、紫の上シミュレーションがあったのでしょう。
「そう。座敷童が上品な奥様になれた。」
彼の言葉は笑えますが、実は、私は以前、本当に座敷童と呼ばれていましたから、吹き出しました。
「あはは、私、ほんとに座敷童って言われていたのよ。私って、あなたと付き合う前というか、あなたが入社してくる前は、ほんとに座敷童みたいだったのよ。おかっぱ頭で、ほっぺが赤くて、垢ぬけなくて、もろ田舎娘だったの。だから、今でも不思議に思うのよ。どうして、私に目を付けてくれたのか。」
実は私は、夫にとっては前々世に因縁のあった女中れんの転生で、彼は子供の頃に、当時の茨木の大邸宅の一角にあった物置小屋で、時を遡って、れんの怨霊に出会っていたのです。
首に細い帯を巻いて、口と足の間から血を流している赤い襦袢の少女を見たといいますから、大変不気味だったと思うのですが、彼、過去を幻視する能力で、れんの境遇と悲劇まで見てしまいましたから、全く怖がらずに、「悲しいね。巡り合えたら幸せにするよ。」と約束していたのです。
しかし、そんな悲劇の前々世の話を持ち出して交際に持ち込むわけには行かないと思ったらしく、OK擦る時は、ごまかしたのです。
「そりゃ、美奈子は、凄く気が利くし、家事は、今時(もう45年前ですが)の娘としては珍しく全てちゃんとできたし、学歴はなくても頭はいいし、これは磨けば光ると思ったし、未来はこうなる運命だと幻視したからだよ。」
何度も聞いたセリフでしたが、いまだに信じられないのが実感なのです。
どう考えても、超一流大卒でエリートの彼には、私よりも条件のいい相手が、いくらでもいたはずだと思いましたから。
「本当に。」
実は、彼が、私を選んでくれた理由は、合理的なものだったのです。
「僕は、サヴァン症候群の超越思考により、何百どころか、何千、何万通りかの未来をシミュレートした結果、途中いろいろな紆余曲折があっても、美奈子と結婚する今のこの人生が、一番よいと判断した。それだからだ。」
そのことも、何度も聞きました。
「私にはそうだったろうけど、あなたには、絶対もっといい人生があったと思うんだけど。」
このことも、真実は、彼がそのシミュレーションで重視したというか、絶対の条件としたのは、私も子供たちも、全員そこそこ幸せに、生きていることだったのです。
そして、それができた組み合わせは、何と現在につながる一つだけだったというのです。
「いや、僕一人だけ生きていてもつまらないから、家族全員がそろってそこそこ幸せにずっと生きていることを条件にしたら、それに合致したのは、この人生だけだったから、迷うこともなかった。」
この辺が、夫の不思議なところなのです。
夫には、サヴァン症候群の副作用なのか、自分自身の、普通のというか、本当のというか、感情がないのです。
彼の感情は、小学校1~3年生の時の担任の先生が、ベテランの女教諭で、勉強はむちゃくちゃにできるくせに、人間的には余りにも変な反応を示す彼に、困ると同時に興味を覚えて、目も素晴らしく良かったのに、彼の指定席を一番前の教卓に近い位置にして、勉強では正解を即座に連発する彼を利用するとともに、個人的なこともいろいろ質問したのです。
そこで、感情が欠けていることを発見した彼女は、普通の人間の感情では、物事を、こんな風に感じ、こんな風に反応するものなのよと、一から教え込んだのです。
ですから彼は、先生の説明を記憶して、感情とはそんなものなのだと理解した、それだけだったのです。
その先生のお蔭で、一般的な感情は記憶したものの、彼個人の感情は、いまだにないのです。
それは大変なメリットでもあって、感情が無い分、超越的な分析能力を、フルに使えるのです。
普通ならそれだけの思考能力があれば、利己的な考えをしそうなものなのですが、そんな考え自体がないのです。
言い方を変えると、純粋に、最善を思考できるのです。
「自分一人だけでも、もっといい人生送ろうとは思わなかったの。」
普通の感情があれば、利己的にそう考えそうなものです。
「いや、全く思わない。僕は強い。弱いものが犠牲になる人生は、自分の誇りにかけても否定する。」
そう言われると、美奈子にも理解できました。
夫俊一郎は、超人的といってよいほど、あらゆる面に強いのです。
だから、他人に喧嘩を売ったりはしません。
彼の真の強さんの一つは、全ての暴力を、悪意を、鏡の様はね返すことができることなのです。
そして、彼の心には、まともな感情がありませんが、悪意というものも存在しないのです。
「そうね。でなきゃ、31年前に絶対別れているわね。」
31年前に、私は、既に3人の子供も居たのに、若い男と浮気をして、と言うよりは、横恋慕して言い寄ってきたその男を利用して、俊一郎と離婚して逃げようとしたのですが、彼は、浮気相手の子供を妊娠したから別れてと告白したら、一瞬考えた末、表情をほとんど変えずに、「別れない。」と答えたのでした。
これも、俊一郎自身と言うか、普通の利己的な心情ではなかったと思われました。
じっと顔を見つめると、照れくさそうに答えました。
「未完成の紫の上を、捨てることはできなかったからね。」
「もったいないと思ったの。」
「当然。僕の作品を、心の貧しい人間には、絶対譲れない。」
浮気相手は、一見紳士でしたが、実は何人もの人妻に声をかけて、手も出していた下衆男だったのです。
しかも、夫が「猿の手男」と名付けたように、彼が望んだ相手は、不思議に手に入りましたし、手に入らないと、偶然のように死んだり怪我をしたりしていたのです。
「あの時、私と別れていれば、六条の御息所が手に入ったかも知れなかったのに。」
実は、彼の元カノ摩耶美紀は、西都大学同期の令嬢で、彼が脱帽するほどの頭脳も持っていたのですが、何と彼は、私と交際するからと、あっさり別れていたのです。
そして、彼と別れた8か月後、私と結婚する2か月前のことだったのですが、彼女、生霊になって京丹波の家に一人で泊まっていた彼の前に現れて、絞め殺そうとしたのです。
ですから、リアル六条の御息所なのです。
首絞められた本人は、本当に苦しくなりましたから、生霊は、物理的な影響を与えることができるんだと、首を絞められながらも、冷静に状況を分析して感心していたのです。
今の危険な状態を不思議だなあと思いつつも、自分が彼女を一方的に振って傷つけてしまったことは客観的事実でしたから、彼女の気が済むなら、死んでもいいかと、あっけらかんと考えていたといいます。
しかし、彼女は、夫のことを、憎んでも恨んでもいなかったのです。
ましてや、殺意なぞありません。
生霊になって彼にまたがって、寝顔を眺めていたら、目を開けたので、驚いたのか焦ったのか、つい首を絞めてしまったというのが真相だったようです。
そして、自分が彼の首を思いっきり絞めていることに気付くと、これは夢だと考えて、消えたのです。
被害者といえる俊一郎も、これは夢だと思っていたのですが、翌朝鏡を見ると、何と、彼の首の周りには、縊死死体みたいにくっきりと、首を絞められた紫色の跡が着いていたのです。
ですから、彼は、当然驚きましたが、絞めた相手が、神様のおかげで超人的に丈夫な体を持っている彼でしたから、死なずに済みましたが、自分でなかったら、死んだかもしれないと認めていました。
これも不思議なのですが、夫は、2歳にもならない時に実の母に殺されかけて、あの世の一歩手前の中間世まで行って帰ってきたというのです。
そして、その臨死体験で応対してくれた神様?が、彼は当時、母から毎晩のように殴る蹴るの虐待に遭っていましたから、このまま帰したら、また直ぐに舞い戻ってきそうだと、特別製の体をくれたんだそうです。
事実彼、その後も続いた母の虐待にも、その跡すらつかなかったそうですし、タクシーに轢かれても、馬に蹴られても、馬の下敷きになっても、無傷だったのです。
美紀さん、彼の首から手を放したところで一度目覚めて、変な夢を見たと思って再度眠ったのですが、翌朝起きると、両手が肩まで痛かったのです。
何だこの痛みと筋肉痛はと、自分の手を見ると、両手の爪から指まで紫に変色していたのです。
ですから彼女、自分が生霊になって夫を殺しかけたことを自覚し、その後1週間ぐらい、京都で殺人事件がなかったか、戦々恐々と過ごしたのだそうです。
幸い夫は生きていましたし、超人的に丈夫なことは彼女も良く知っていましたから、大丈夫だったんだろうと思い直すと、自分は夫以上の男と結婚してやると、思い直したのです。
それで、夫は、亡くなった今でも、摩耶美紀のことを、六条の御息所と呼んでいるのです。
そして、私の浮気事件は、生霊事件の10年後ぐらいになるのですが、その当時、何と彼女は理想的な相手と結婚して、子供が二人生まれたのに破局して、夫と二人の子供と別居しており、離婚はしなかったものの、その後45歳で死ぬまで一人暮らしだったと言いますから、その時点で夫と巡り合っていれば、私から上手く乗り換えて幸せになったかも知れなかったのです。
私には幸いなことに、その時は二人が再会することはなったのですが、その8年後、死の3年前に、何と彼女の父親の幽霊が、夫の夢に現れて、娘を助けてくれと頼んだのです。
そして、幽霊に頼まれた半年後、夫は偶然のように美紀と再会したのです。
当時美紀は、余命1か月何時死んでも不思議はないと診断されていたほど衰弱しており、死を覚悟していたのですが、はからずも夫と再会できたことは、天の助けだ、最後のチャンスだと、真剣に考えたのです。
そしてなんと、妻子ある同士だったのに、夫に、「私は唯一あなたに恋をした。憧れていた。」と大変なカミングアウトまでしたのです。
幸いと言ってよいのかどうかわかりませんが、夫、ガリガリに痩せた女性は生理的に受け付けず、相手が彼女でなかったら、側にも寄りたくなかったと言いました。
彼女は彼女で、夫をセックスの相手とは考えられなかったそうで、不倫にならずに済んだのです。
それでも彼は、罪滅ぼしのつもりなのか、私に断ったうえで、その後の3年間、手紙のやり取りを続け、たった3回だけでしたが、ただひたすら話し合うだけの、デートもしたのです。
彼女とプラトニックな付き合いを続けた夫が、今どう思っているか、確かめました。
「あなたは、六条の御息所の美紀さんを、今、どう思っているの。」
彼は、さらっと、重大なことを答えました。
「正直なことを言うと、彼女だけは惜しかったと思う。生きていて欲しかった。僕が、いや彼女にとっても、お互いに、まともに会話できて、知的好奇心を満たし合える唯一の存在だったからな。」
確かに、再会した後で二人が話した内容を、少し聞かせてもらいましたが、少しは紫の上に近づいていたであろう私にも、全く理解不能の異次元の知識でした。
「それなら何故、私が悪いことして死にかけた時に、私を見捨てて、彼女と復縁しなかったの。しかも、私は、あなだの警告無視して、関係引きずったのに。」
私は、浮気した時に、流産と子宮外妊娠で、二度も死にかけていたのです。
不思議なことに、2回とも、仕事を放り出して夫が帰宅して、即座に病院に運んでくれて、命が助かったのですが、彼が帰って来なかったら、本当に危なかったのです。
「由美には話したが、単純に人道的見地からの選択だ。」
3人の子供の内で、当時小学生だった次女の由美だけが、私の浮気に気付いていたのです。
それで、彼女は大学生になった時に、夫に単刀直入に聞いたのです。
「何故、あの時、お母さんと別れなかったの。」
すると、そんな奇妙な答えが返ってきたのです。
当時聞けなかったことを、聞いて見ました。
「私と別れなかったのは、単純に人道的見地からの選択だったって、どういう意味。」
怖い答えが返ってきました。
「あの時、僕が美奈子を見捨てたら、死者が少なくとも3人は出た。一人救えたかもしれないとしても、割に合わない。」
救えたかもしれない一人は、摩耶美紀さんだとすると、後の三人とは、誰のことなのか。
「3人って、誰なの。」
「そりゃ、お前と、由美と、猿の手男だよ。」
猿の手男というのが私の浮気相手のことで、彼は、他人の恋人や女房に横恋慕しては、手に入らないと見るや、無意識にその相手を偶然のように死に至らしめたり重傷を負わせたりしていたため、夫が命名したのです。
面白いことに、夫は、本当に記憶から消し去ったとかで、猿の手男としか呼びませんし、今会っても絶対誰かわからないと言います。
超人的な記憶力を誇る夫ですから、不思議なものです。
3人はわかりましたが、我が家は5人家族ですから、長男長女と夫がその数に含まれていません。
「紀一郎と綾は。そしてあなたは。」
「あの二人は、霊的に大変強いから、呪われても大丈夫だ。僕は、鏡だから呪えば呪われるだけだ。」
家族二人以外に浮気相手の猿の手男まで人数に含めたところが、人道的見地なのはわかりましたが、感情欠陥の夫俊一郎だったからこそ可能だったとも言えました。
彼は、意識の鏡、大学の後輩の女性が「イージス」と名付けたと言う、無敵の防御兼攻撃システムを持っているのです。
イージスと言うと、イージス艦をイメージするかと思いますが、元々は、ギリシャ神話の女神アテナが持っている、全ての攻撃をはねかえすといわれる盾の名前なのです。
現代風に言えば、エヴァンゲリオンに出て来るATフィールドに近いかもしれません。
「何故、最初から鏡を見せなかったの。」
私は、それが疑問だったのです。
最初からイージスを出せば、猿の手男がころっと死んでお終いだったように思いましたから。
「誰に見せるのだ。」
「当然、猿の手男。」
夫は、苦笑しました。
「僕が警告したのに、彼を誘った上に、流産した時に、僕がお前と猿の手男二人に更に警告して、彼が諦めかけたところを、更に引き留めて死にかけたのは、美奈子だろう。猿の手男ではない。」
そのとおりなのです。
「そうよね。私と一緒に死んでもらえば良かったのに。」
「イージスを持ち出すと、僕が鏡を見せるべき相手は、美奈子になってしまうのではないか。」
言われてみると、そのとおりです。
それをしたら、死ぬのは私です。
「そうね。私を殺す気はなかったのよね。」
「当然だ。だから、急がなかった。」
「何故、急がなかったの。」
「まだわからないのか。」
彼は、普段の生活の知恵では、絶対私の方が上に思えるほど抜けたところもあるのですが、頭脳のポテンシャルでいえば、全く比較にならないレベルなのです。
「私、あなたと違って、超人的な頭脳はないもの。」
「猿の手男と関わると、どうなると警告した。」
「横恋慕して手に入らなかった女は、偶然のように死んだり大怪我したりすると。」
「猿の手男は、美奈子をどうしたかった。」
「あいつ、シスコンだったから、姉のように甘えられる妻にしたがった。」
「お前を妻にしたがったのには、もう一つ欲しかったものがあっただろう。」
「何よ。私だけじゃなかったの。」
当時の私は、私を自分の理想の姉のような妻にすることしか思い当たりませんでしたが、今考えてみると、猿の手男は、源氏が自分の母の代わりに父の妃であった藤壷の宮を寝取ったことに共通するものがありました。
彼は、シスコンプラスマザコンだったのでしょう。
「あの時、猿の手男が由美だけを欲しがったのは何故か、考えてみろ。」
夫にそう言われると、思い当たるフシがありました。
「自分の子供は流産したから、てっとりばやく、私の子供が欲しかったのね。」
「そうだな。その点では、意図したわけではないが、猿の手男が諦める条件を作ることができてしまった。」
そこまで言われて、私は気付いた。
「子宮外妊娠で、私は子供が産めない体になった。それで、彼は、私を諦めたんだ。」
「そうだ。だから、穏便にお引き取り願うことができた。」
つまり、彼と私の子供二人が犠牲になったのです。
「でも、犠牲が二人出たのね。」
「僕が、流産した子供を自分の子供として育てると言った時に、もう一つ何と言った。」
彼は、子供は、自分の子供として育てるが、この子は、私を守ってくれると言ったんだ。
「子供が、私を守ってくれると言ったわ。あっ、そうだったんだ。」
夫は呆れていました。
「今まで気付かなかったのか。」
「うん。私、あなたほど頭良くないもの。」
「都合が悪い時だけ、自分が頭良くないせいにするな。お前は十分頭はいい。」
「だって、あなたは確かに私よりも頭いいもの。嘘じゃないわ。」
「それだから、穏便に別れられたし、猿の手男の捨て台詞も、お前が彼を見限るきっかけになってくれた。」
そうだった。
あの猿の手男、せこいことに、私の入院費として、十万円を慰謝料代わりによこしただけで済ませたうえに、私にこう言ったのです。
「息子が非行に走るのは、水子の祟りだ。水子供養は、美奈子がやってくれ。」
この一言に、私は激怒した。
水子というが、私とお前の子供だろうが。
供養は私がしろとは、どういう了見だ。
その上に、私以外に人妻3人に迫っていたことを夫が教えてくれたのとで、愛想が尽きたのは事実でしたが、実は、猿の手男の一言に、一番腹を立てたのは夫の方だったのです。
「母親を守ろうと、自分の命を投げ出したのは、水子になった子供だろう。その子は誰の子供だ。入院費の百倍の慰謝料一千万円をとってもよかったところだが、手切れ金として十万円を受け取って置こう。」
そうぼそっと答えて穏便に済ませた夫でしたが、我が家のお墓の有る勝尾寺で水子供養をしてくれたのは、夫だったのです。
私は、最大の疑問を投げかけた。
「どうして、私を何も言わずに許したの。」
変な答えが返ってきた。
「彼が、猿の手男だったからだ。」
「もう。私にもわかるように答えてよ。」
そうとしか言いようがありません。
「猿の手男は、そうだな、今はやりの異世界もの漫画風に言えば、一種の魅了魔術が使えるんだよ。」
そう言われると、思い当たるフシはいっぱいありました。
私は、自分を貞淑な妻と信じて疑ったことはありませんでしたが、猿の手男にだけは、心も体も許してしまったのです。
「そう言われると、そのとおりね。絶対に貞淑な人妻だと自分で思っていたのに、彼には、心も体も許してしまったから。」
「だから、できの悪い私だと注意したのだ。」
それも、夫の言うとおりです。
夫は、猿の手男は絶対横恋慕してきてお前を欲しがるから、絶対近寄せるなとまで注意していたのです。
夫も、一目で私を魅了していましたし、本当にその気になれば、どんな女性でも口説くことができそうでしたが、絶対に人のものを取ることは考えませんから、私にしか使いませんでしたし、ひたすら誠実に責任とってくれましたし、猿の手男は、大変できの悪い夫だったのです。
「そのとおりね。」
「だから、美奈子を許したし、人の命が一番大切だから、鏡も使わなかった。そう言えば、わかるかな。」
分かり切ったことを、聞き返しました。
「私が、大切だったのね。」
「当然だ。僕の妻は、美奈子しかいない。」
安心した私は、美紀さんのことで、一番気になっていたことを確かめました。
「ところで、六条の御息所の摩耶美紀さん、すんなり成仏してくれたの。」
生霊になって夫の首を絞めほどの彼女でしたから、成仏したのか気になっていました。
「成仏したよ。」
「生霊にまでなったぐらい、あなたには執着があったんじゃなかったの。」
「美紀さんね、18年ぶりに再会した時に、1か月で死ぬ気になってたから、思い切って自分の心の中を全てカミングアウトしたんだよ。」
夫に恋をしていた、憧れていたと言えたのは凄いと思いましたし、半ば強制的に、彼に「好きでした。」と言わせたのも凄い度胸だと、私は感心したものでした。
「そうよね。四十過ぎの子持ち人妻が言える言葉じゃないと、私なら思うけど。」
「人間、死ぬ気になれば、本音しか言わないんだよ。」
これはこれで、美奈子にはショックでした。
「じゃあ、本当にあなたに恋をしていたんだ。」
「そう。もっと凄いおまけがつく。」
「なあに。」
「あなたにだけは、夫にも与えなかった、愛情と尊敬を与えますだって。」
私は、美紀の頭の中がわからなくなりました。
夫を超える大天才摩耶美紀は、正常な考えの持ち主とは思えませんでした。
「理解不能。」
「それは、理解できる。」
私より絶対優秀な夫が、真面目な顔でうなずいたので、思わず笑ってしまいました。
彼は、自分がしていたブレスレットを彼女にプレゼントして、それを通して、遠隔でエナジー補給をしたというのです。
常識では信じられないことでしたが、余命1ヶ月だった彼女がその後3年間生き続けることができたのは真実ですから、夫と彼女の言うことを信じざるを得ません。
「ところで、あなたが供給していたエナジーって、どこから出てたの。」
本当に食うや食わずで彼女は3年間生き永らえたのですから、素朴な疑問です。
「そりゃ、僕自身の体からだ。」
それでは、大変なエナジーを必要としたのではないか。
「どうやって、そのエナジーまかなったの。」
「当時、1年のうち300日出張していただろう。」
そうだったのです。
当時夫は、出張で全国を巡回する、大変ブラックな仕事をしていたのです。
「それで、各地の激安スーパーを巡って、半額弁当の日々を送って、毎日二人分ぐらいのエナジーを確保していたわけだ。」
当然それだけ食べたであろうことは想像していましたが、方法が半額弁当だったのには笑ってしまいました。
「なるほどね。それで、浮いたお金で、私や子供たちにお土産買って来てくれていたのね。」
それで、美紀さんは、笑えるような、いや、相手が我が家でなければ、笑えなかったであろうミスを犯したのです。
「それで、六花亭が、トラピストのガレットに変わったわけだ。」
摩耶美紀さん、夫が遠隔エナジー補充以外にも、何か少しでも食べてもらおうと、帯広から六花亭のお菓子の詰め合わせを送ったら、留守宅の我が家に電話してきて、出た次女の由美に、「トラピスト修道院のガレットいただきました。ありがとうございました。」と感謝したのです。
由美も、彼女から聞いた私も、頭の中がはてなになりました。
夫は今、帯広に居るはずです。
トラピスト修道院は、確か函館にあるはずだ。
もしかして、二人は函館で逢引きしていたのか。
同じ道内でも、函館と帯広は移動に丸一日かかるところですし、ブラック企業なみにこき使われてい夫ですから、とてもそんな余裕はないなと思い直し、ちくっと皮肉をこねて、こう言うに止めました。
「美紀さんに注意しときなさいよ。絶対、他人の家庭に波風立ててるわよ。」
すると夫が、実は彼女、しばしば取引先のお偉いさんの奥さんに怒鳴り込まれていて、「私は何もしていない。下衆の勘繰りだ。」と怒って言い返していることを教えてくれたのです。
つまり、彼女悪気なくそんなミスを繰り返していたのです。
そして、彼女の死後、夫が急に太った理由もわかりました。
ついつい、以前のように食べてしまった結果で、食べる量の修正に、半年以上かかったのですが、それだけのエナジーを遠隔で送り続けていたわけです。

私が紫の上で、彼女が六条の御息所なら、夫は、源氏物語の世界をどう思っているのか、聞くことにしました。
「俊一郎さん、あなたが光源氏なら、源氏物語の世界の女性で、誰を選ぶ。」
当然紫の上と答えると思っていたら、彼の答えは違いました。
「現実としては、彼も僕も、紫の上の美奈子を選んだわけだが、単純に物語だけを読んで考えるならば、僕が光源氏だったら、六条の御息所を選ぶな。」
夫には、六条の御息所になぞらえた摩耶美紀に対する気持ちがないことは百も承知ですから、理由を尋ねました。
「どうしてかしら。紫の上こそ、光源氏が自分好みに育てた女だったのでしょう。」
すると、彼、笑い出しました。
「僕は、光源氏が馬鹿だったと思う。」
「と言うと。」
「彼、理想の女性を育てると、紫の上を事実上拉致してきて育てたくせに、その陰では、父の妃だった藤壷の女御に手を出したり、朧月夜の君に手出したり、思い人はあなただけと紫の上に手紙を送って置いて、明石の君に子供を産ませたり、いい加減落ち着いたかと紫の上が安心したところに、身分の高い皇女が欲しいと女三宮にスケベ心を起こして、自分が今までしてきたこと全てを、柏木にされて、結果的に紫の上を失い、自身の破滅を招いた。冷静に見ると、彼の相手として一番適当だったのは、元東宮妃だった、身分が高く、かつ教養も文句のつけようのない女性だった六条の御息所の方だったはずだ。彼女を、正式な妃に選んで満足しておけば、紫の上も必要が無かっただろうし、彼女に家柄やなんやで劣等感を持たせるようなことはしないで済んだはずだし、彼女と六条の御息所の二人を嫉妬に狂わせることにもならなかっただろうし、妻として大切にしていれば、生霊を出させるような事態にもならなかっただろう。」
流石、感情抜きで考えることができる男と感心しますが、他の女性はどうだっただろう。
「藤壷の女御は。」
「僕は、マザコンではないし、他人の物を取る気はない。」
「朧月夜の君は。」
「最初は少々無茶だが、その後はむしろ彼女の方がその気だったようだから、楽しんでくれたのならいいかな。」
「明石の君は。」
「源氏の周囲の女性の中では、一番まともだったんじゃないかな。六条御殿の事実上の管理者は、紫の上ではなく、彼女だったと、僕は思う。」
「他の女性は、どうかしら。例えば、末摘花とかは。」
「問題外だ。まあ、源氏が、完全にボランティアで、生活の面倒を見てあげたことだけは評価しよう。」
源氏に絡んだ女性で、場違いな老女が居たことを思い出したので、ついでに聞いて見た。
「源典侍は。」
「問題外というよりも、老人にまでスケベ心を抱くことの方が理解できない。自分の姿見て、釣り合う女性を選んでこそ、まともな男だ。」
それを言われると、自分は問題ではと、美奈子は疑った。
「じゃあ、俊一郎さん、どうして私を選んだの。釣り合う女ではなかったはずだけど。」
何度も同じことを持ち出すので、俊一郎は、呆れながら答えた。
「最初はどうあれ、未来を幻視して、美奈子しかいないと思ったし、美奈子は、自分が僕に釣り合う女になるように努力しただろう。それこそ、紫の上のように。」
それは真実で、俊一郎と付き合うようになってから、急速に上品になって、容姿もついて来たのです。
「そうね。それにあなた、私にいいものを貢ぎ続けたものね。」
俊一郎、私には、それまで縁がなかった、指輪等の宝飾品、着物、毛皮などを買い与えたのです。
「釣った魚に餌をあげないと、噛みつかれるからな。」
「そうよ。面白かったのよ。あなたが私にいろいろ買ってくれると、周りの奥さんたちが、羨んで、夫にねだるようになったのよ。大体、旦那様方いろいろちょろまかしていたのが、あなたのお蔭で、というか、私がばらしたから、酒飲みの旦那様方は、お小遣いなくなって大変だったみたいよ。」
給料ちょろまかして飲み代に充てる、そういうところも、彼には理解できないところだったのです。
「飲みに行く金があるなら、奥さんに指輪ぐらい買ってあげろと言いたいな。酒は飲んだらおしまいだが、指輪なら残るし、娘にあげられる。」
それは事実で、夫のプレゼント、今や半分以上娘二人の手に渡っています。
「そうよね。紀一郎はともかく、彩と由美には、すでにいっぱいあなたのプレゼントのおこぼれが行っているわ。」
そもそも彼にとっては、感情というか、まともな喜怒哀楽がありませんから、何が楽しいのか、私には理解不能です。
「あなた、一体何が楽しくて生きているの。」
聞いて見ましたが、彼は、自分でもわからないのです。
「僕は、酒に酔わないから、飲むだけ無駄だし、女性については、相手が僕のことを思ってくれた上で、快感を感じてくれなければ、セックスする意味がない。唯一贅沢したのは、車ぐらいかな。」
そうなのです。
彼は、セックスにおいても鏡なのです。
ですから、私が彼に没入して、とろけそうな快感に浸ることができなければ、する意味がないと割り切ったのです。
そのために、私が更年期になって、濡れなくなって、快感を感じなくなったら、セックスレスをあっさり受け入れたのですから、そもそも性欲には執着がなかったようです。
唯一贅沢した車ですが、彼は、31歳の時にメルセデスベンツを手に入れ、その後ずっとメルセデス一筋なのです。
その理由を聞いたところ、彼は、馬にも乗ることができるのですが、馬と車と共通する、乗り物の動きに対する非凡な感覚を持っていて、大学生の時に、日産のテストドライバーを感心させたほどだったのです。
その彼が、自分に一番あっていると選んだのがメルセデスベンツだったわけで、興味深いことに、世界で一番いい車は何だと思うと聞くと、メルセデスではなくレクサスと答えたのです。
では、何故メルセデスなのかですが、その感覚が、適度に人間に優しく、かつ、余裕が大きいことだと言います。
彼に言わせれば、レクサスとBMWは、過敏な所があり、メルセデスほど優しくないそうです。

変な人ですが、確かに彼の超越的頭脳でシミュレートした結果が今の人生だと言われれば、そのとおりなのだろうと思います。
すると、源氏物語の続きか、彼が言いました。
「僕は、紫式部に注文したい。」
「何と。」
「宇治十帖なんて余計な物語書かないで、源氏の晩年、特に死をもっと詳しく描いて欲しかったな。」
まあ、宇治十帖も、因果は巡る物語なのですが、私も、余計だと思っていました。
「そうよね。光源氏が、紫の上を失ってショックで呆けてしまった姿とか、見たかったわ。」
それはそれで、イメージ崩れますが。
「巻名だけで、内容が無い雲隠の8年間で、源氏だけでなく、昔の頭中将である前太政大臣他の主要メンバーがみんな死んじゃってるんだよ。朝ドラで有名になったナレ死(ナレーションだけ流れて死んでしまっているパターン)みたいで、失望した。」
ナレ死には笑ってしまいましたが、私も同感です。
それを思うと、既に68歳になった夫俊一郎ですが、まだまだ頭も身体も若いのが安心なのです。
「僕思うに、若い頃、特に18歳前後に、心身ともに使いまくっておけば、長持ちするんだよ。僕が呆けないのは、大学受験前に、受験に出る教科だけでなく、あらゆる教科を学ぶことができたことと、同時に体も鍛えることができたことが大きいと思う。ゆとり教育なんて、ちゃんちゃらおかしい。」
彼が通っていた千里学園高校、私立の進学校でしたが、高校2年までに、普通高校では省略されがちな、受験に余り必要とされない地理とか、倫理社会とか、軽視されがちな教科も全て履修させた上で、3年の時に、受験対策として受験科目を中心に復習させていたので、全ての科目を学ぶことができたのです。
その点は、大阪で一二を争う高額授業料を出しただけの価値はあったと、彼は言いました。
また、彼の場合、元々神経や脳細胞は、運動も勉強も共通だと考えていましたから、放課後は、勉強さぼってサッカーを楽しんでおり、面白いことに、特進クラスのメンバーの方が、運動もできる者が多かったのです。
中には、中学時に大阪府代表だったり、クラブチームから声がかかった名選手も居たのです。
それらの者からも、一目置かれたほど、夫は運動能力にも優れていたのです。
特に凄いのがバランスと反射神経で、今なら余裕でプロに行けたのではないかと思ったほど上手かった同級生からも、「神坂は、手足が届く範囲のシュートに対しては、プロのゴールキーパー以上に防ぐ。」とお墨付きをもらっていました。
そんな経験がありましたから、68歳になった今でも、車の運転で、最新の安全システム並みのブレーキングや、スピン制御までできるのです。
本人二度とできないと言いますが、冬の山王峠で、路面がカチカチに凍っていたらしく、スピンして谷底に落ちかけた車(車は、当時の私の愛車のBMW318でした。)を、反転させて山側に向けた後、後ろ向きのままで50メートルぐらい滑って行って、どこにもぶつけずにまっすぐ止めたことがあったのです。
そのBMW,ちゃんとアンチスピンシステムも装着されていましたが、彼の腕の方が上だったのです。
何と言っても、半回転した後ろ向きのまま、まっすぐ走らせて止めることができたのは、神技です。
本人は、メルセデス派ですが、気に食わないのが、最新のエマージェンシーブレーキアシストだそうです。
何故かと聞くと、その場で止まったと思うほど強力だが、誤作動されると、心臓に悪いと文句をつけています。
笑えるのは誤作動が起きた場所で、1回目は葬儀屋の前、2回目は小中学生の通学路の死亡事故現場でしたから、メルセデスベンツのセールスマンが、「幽霊を探知したのではないですか。」と真顔で言ったのです。
いまだに、それだけの運転技術があるのは、総走行距離100万キロを超える経験のお蔭だそうです。
そして、目も、老眼鏡必須の私が腹が立つことに、いまだに老眼鏡なしに大抵の文字が読めるのです。
これは、彼が言うには、20歳の頃には測定不能なぐらいの視力があったから、どんどん悪くなっても普通に見えるだけだそうです。
行きつけの眼科医が、彼の目の中を見て言うことがいいのです。
「目の中しっちゃかめっちゃかになっているのに、どうしてそれだけ見えているのか、不思議です。」
本人は、見えているからとしか言いませんが、私は、遺伝病の網膜色素変性症で、左目の半分の視野が欠格していますから、彼には、死ぬまで見えていて欲しいと思っています。
いや、何時も彼に言っているのですが、お願いだから、私よりも後に死んでください。
まあ、そうなれば、相続云々のややこしいことに一切かかわらずに済むという、これこそ利己的思考なのですが。
利己的思想も、悪意も全くない夫ですから、私が死んだ後のことを、よろしくお願いします。














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Last updated  Jul 21, 2025 02:59:59 PM
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Yoko@ Re:ヤマトタケル異聞8(10/04) 記紀とは違うヤマトタケルを興味深く拝読…
Yoko@ Re:ヤマトタケル異聞1(09/21) ずうずうしくリクエストをしたYokoです。 …
Yoko@ Re:ヤマトタケル?2(04/19) 21日のご返信に気が付かず、ご返信せずに…
神坂俊一郎 @ Re[1]:ヤマトタケル?2(04/19) YOKOさんへ アメーバブログも確認したら全…
神坂俊一郎 @ Re[1]:ヤマトタケル?2(04/19) YOKOさんへ 既に発見されたかも知れません…

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