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神坂俊一郎

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Sep 23, 2025
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テーマ: ドバイ(26)
カテゴリ: 世界の中の日本


2006年版報告書、なかなか終わりません。
この年は、国際会議が2つあったのですが、どちらも10月でしたから、私は、殺人的忙しさだったのです。
ディープインパクト騒動が一段落したと思ったら、ICRAV2006が、初めて東京で開催されました。
ICRAVってなんぞやですが、馬関係の だったのです。
つまりは、領分としては獣医学なのですが、ここでも国際担当の私にお鉢が回って来て、めでたく?出席させられました。
パリ国際会議事務局が知れば、「ムシュー○○○(私)は、獣医のことまでわかるスーパーマンだ。」と更に持ち上げられそうでしたが、学生時代には獣医の代わりに大学の馬を治療していましたし、下手な獣医学部学生よりも、経験と度胸がありましたから、なんとかなりました。

ここでもいろいろなことを知ることができましたから、私にとっては楽しい経験でした。。

今や、ほとんどの薬物の探知自体は可能となっており、問題は、陽性と判断する基準の設定と、対照のための試薬の作成なのです。

また、香港やオーストラリアを始めとして、レース前に検査して結果を出すプレ・レーステストの積極導入も推進されています。

オーストラリアなどは、国土が広大ですし、分析を行う研究所を移動させるわけにはいかないので、メルセデスベンツのトラックを改造した移動研究所を作って対応していました。

それから、この会議で一番興味深かったのは、アメリカの徹底した薬物の効果に対する追跡調査です。

ベン・ジョンソンで有名になったアナボリックステロイドは、アメリカの場合育成馬の半数以上に投与されていたのですが、追跡調査の結果は、人間には効果があるが、馬には競走能力を高める効果はないと結論づけたのです。

確かに筋肉の量は増え、見栄えは良くなるものの、その分体重も増えるから相殺されてしまい、競走能力は高まらないのだろうと、その理由を推測していました。

また、鼻出血の予防になるとしてアメリカが主導で使っていたラシックス(利尿剤・今はサリックスという。)についても、徹底した比較追跡調査の結果、予防効果は認められず、利尿作用により尿が薄まるため、薬物を判定しにくくする効果しかないとの結果が出て、今後使用は自粛しようと呼び掛けていました。

この会議、新宿で行われましたからさぞかし便利だっただろうと思われそうですが、私にとっては大変不便な会議だったのです。

何故かといえば、周囲が日本語の環境のため、頭を英語モードに切り替えることができず、英語の講演の聞き取りがうまくいかなかったからです。
 内容的には大変興味深いものが多かったため、私は出席出来て幸せでした。
 で、連続会議を終えた2006年の11月には、金属アレルギーによるものらしい、蕁麻疹にかかりました。
 過労によるものだと診断されましたが、会議だけでなく、競馬の裁決委員と、海外に対する情報提供で、2週間休みなし、睡眠3時間なんてこともありましたから、倒れなかっただけタフでした。

で、2006年が終わったと思ったら、年があけた 2007 年の1月末に、アジア競馬会議がドバイで行われました。

ドバイは面白い国で、国民の 8 割は外国人労働者なのです。しかも、元々ドバイに住んでいた人々の中でも、富裕層はドバイを離れて周辺の首長国に移住しているとのことで、更に不可思議な社会構造になっています。

私は、初めての国に行く前にはその国の社会から風俗習慣まで調査するのですが、ドバイに関しては、情報自体が少なく、苦労しました。

最も参考になったのは、インターネットのウェブサイトでしたが、ドバイは2007年現在、昔の日本の高度成長とバブルを合わせたような状況で、行ってみると更に情勢が変化していることも多かったのです。
 この点は、貴族社会が競馬を取り仕切って、100年前と変わらぬ競馬を続けているイギリスと好対照でした。

ムスリム(イスラム)についても勉強していきましたが、ドバイは、イスラム教国であることを感じさせない不思議な国です。
 ムスリムは、酒と賭け事を禁止しています。

ですから、そんな国で競馬を振興しているのはははなはだ疑問なのですが、それはおいておいて、まず、酒の話をします。
 ムスリムで禁じていますから、ドバイでは、一般向けに酒は売っていませんが、ホテルでは自由に飲めます。

それから、ムスリムには、女性は、夫や家族以外の男性には顔を見せてはならないとの戒律がありますから、ドバイ国内では、ヴェールのようなもの(アバヤ)をまとっている女性が多いのです。
 しかし、ドバイ行きの機内で一緒になった高校生などは、アメリカの高校生といってもわからないぐらいで、最初こそアバヤをまとっている生徒も少しはいましたが、途中で着替えて(どうやって着替えたかは不明でしたが、トイレを利用したのでしょう。)お腹と尻半分丸出しのTシャツにローライズのジーンズ姿で、まわりをうろちょろしてくれて、目のやり場に困りました。

また、ドバイ空港の入国管理の係員の若い女性は、黒のレースの長袖の服を着て肌を隠し、髪の毛もやはり黒いレースで覆っていましたが、レースですからスケスケで、よく見たら下着まで丸見えで、美女でしたから、妙に色っぽく感じました。(ただし、恐ろしく無愛想でした。)

賭け事だけは、ムスリムの戒律どおり厳格に禁止されており、立派な競馬場が3つもありながら馬券を発売していない不思議な国ですが、宝くじは、賭け事にはあたらないとの日本同様の妙な解釈なのか、どこに行っても売りまくっていました。

聞いて見ると、宝くじを売る権利というか、売り場で働く権利と言うかは、母子家庭の母親が優先されており、社会福祉に繋がっているそうです。

ドバイの発展は、長くは 30 年、短くはこの 10 年のできごとであり、彼らは将来計画の上で、日本を尊敬し、よき目標としていました。

国際的には、メイド・イン・ジャパン、イコール高品質の認識が既に確固たるものとなっていますから、彼らの目標は、UAEイコール高品質と認識してもらえるようにすることなのです。
 東大阪市や、東京台東区あたりの工場群を、そのままドバイに誘致したいとまで言っていました。

競馬の上でも同じ目標を持っており、ドバイ・ワールド・カップは早くも世界中で認知されています。

行ってみた感想ですが、まず感じたのは、産油国(厳密に言うと、地域としてのドバイ自体は産油国ではありませんが、連邦としては、産油国です。)でガソリン代が当時リッター 40 円ぐらいと安かったせいか、タクシー代が安いことでした。

物価も、原則無税のためか安く感じましたが、唯一ホテルの宿泊代金だけは、税金で 1 割、サービス料で更に 1 割取られることを差し引いてもバカ高いのです。

我々が泊まった、主催者側斡旋ホテルの中で最安値のアイビス・ワールドトレードセンターですら税サービス料込で 1 2 万円近く、会場に隣接したジュメイラビーチホテルは 7 万円、アイビスに近いシティーホテルながら、高層の展望を誇るジュメイラ・エミレーツタワーズのエクゼクティブルームなどは、 10 万近い金額でした。

指定のホテルではありませんでしたが、会場に隣接した帆船のような外見で世界一の高さを誇るバージュアル・アラブもやはり、 1 8 万円オーバーなのですが、このホテル、恐ろしくお金がかかっており、満室が 200 年続いてもペイしないそうです。

しかしドバイ、原油資源に依存しないための設備投資を続けており、今後も世界最高の高さを誇るドバイタワー( 2007 7 月現在 500 メートルを超え、更に上に向かって建築中)、人工島パームアイランド、世界最大の競馬場メイダンと大規模の設備投資がめじろおしです。

その建設ラッシュのため、幹線のシェイク・ザイード・ロードは、朝から晩まで途切れることのない工事用車の洪水、しかも制限速度 120 キロの猛烈な勢いの流れなのです。(ちなみにドバイ、一般道路は制限 80 キロです。)

会議自体は、 5 つ星の高級リゾート、マディナ・ジュメイラの会議場で行われたため、無国籍で高品質なサービスを提供されましたが、逆にいえば、ドバイらしさを感じることは全くありませんでした。

実際ドバイでアラビアらしさを実感できたのは、初日のウェルカム・パーティー前に旧市街地のごちゃごちゃした市場を歩き回った時と、砂漠のディナーとして広大な砂漠の中のバブ・アル・シャムズ・デザート・リゾートで開催してくれたパーティーの時に、ああ、砂漠は本当に何もないんだなあと感激したこと、ベドウィンの衣装を着た人々に歓迎してもらえたこと、日本的には厄払いのようなものだったのだろうと思いますが、男性は杖で音を立て、女性たちは並んで腰の下まである長い髪を振り回して(歌舞伎の連獅子みたいでした)迎えてくれたこと、アラブ馬とラクダに乗せてもらえるサービスがあったことぐらいでした。

ドバイのリゾートホテルに泊まっているだけでは、ハワイやグァムの高級ホテルに滞在しているのと何ら変わりはありませんし、夏などは 50 度近くになりますし、砂漠はあるのにドバイ市内は、紅海と運河にはさまれているためか、日本と同じく湿度が高くて冬の時期以外は快適とは言いがたいところですから、わざわざ行く価値があるとは思えません。

一般的には、以上の否定的見解で、個人的には二度とは行こうと思いませんが、こと競馬に関していえば、一度は経験してみるべきでしょう。( 11 月から 3 月の木曜金曜の夜しか開催していませんので、ご注意。)

高層ビル街に隣接した豪華な国際厩舎、やはり高層ビル街を遠望しながらも、 1 2000 メートルを超える調教コース内は湿地(ラグーン)で、野生のフラミンゴが戯れているゴドルフィン厩舎、そして、豪華ながら馬券を一切発売しないナド・アル・シバ競馬場( 2010 1 月にナド・アル・シバ競馬場を場内にすっぽり包み込んだ規模の世界最大のメイダン競馬場に変わりました。)等、海外の馬主の登録及び海外馬の日常的な出走を認めない日本の競馬と同じぐらい、国際的には不思議な競馬です。

さて、ドバイでのアジア競馬会議の内容ですが、パリ会議のところで少し触れたように、降着制度を巡って論争の続きがあり、何と、日本が、国際的に叩かれる結果になりました。

私は、日本に同制度を導入した時の経緯を詳しくは知りませんが、今回の会議に出席して思ったことは、日本には、制度に対する理念がないことです。

海外の場合、降着にも何十年もの経験に基づく理念があります。

一つは日本と同じく、被害を受けた馬を補償することなのですが、パリ会議のところで触れたように、海外の降着制度には、日本の制度にはないいくつかの理念があったのです。

また、いわゆる審議は、多くの国では、裁決委員ではなく、被害馬の関係者からの異議申し立てを受けて行うものであるとの考えで、他国の裁決委員は、日本の審議は、裁決委員自身が申し立てて行う異議申し立てであると考えていました。

それで、皮肉を言われました。

「我が国なら、馬場管理委員や発走委員が、審議しなくていいとやめさせるけどな。」

海外では申し立てがなされないものに関しては、審議は行われず、当然降着等の処分は行なわず、走行妨害事象が認められたら騎手の処分だけで済ませるとの考えでした。

驚いたのは、被害馬先着や最下位降着は日本独自のシステムであったことで、特に最下位降着は、「入線できなかった馬に対して着順に影響があったとの認定ができるはずがない。即刻廃止すべし。」と非難されました。

スピーカーとして招へいされていたフランスのトップジョッキーであるオリヴィエ・ペリエ騎手も、「日本は不思議な国で、国際的には厳しいフランスでさえ騎乗停止にならないような事例で、降着になることがある。」と話していましたし、今後国内で、制度導入時のような論争になることが予想されます。

2006 年度は、半年の間に国際会議が 3 つも続きました。

これだけ続いたのは恐らく史上初ですが、その処理の点で、会社で私だけに支給されていたモバイルパソコンは、現地で並行して整理を進めることができ、報告書の提出までの時間の大幅短縮に役立ちました。

しかし、パリに 2 回、ソウル、ドバイと持って歩いたためか、ウィンドウズのリカバリーが必要になったことが 1 回(実害は、この時が一番大きかった。)、その後も「OSがありません。」と表示(英文)されたり、何時壊れるか心配しながら使っていたところ、 2007 4 月についにハードディスクが壊れました。

幸いいろいろ手を尽くして 2 5 千円弱で修理してもらえましたし、バックアップも取ってあったため被害は最小限で済みました。

修理してくれた業者に聞いたら、ハードディスク自体は消耗品であり、私のパソコンのように 3 年で壊れたのは、モバイルノートなら極普通であり、 2 年で壊れるケースもあるとのこと。普段からデータのバックアップを取る習慣をつけましょう。

閑話休題、日本の競馬は、国際的には大変奇妙な競馬なのです。

日本の常識、世界の非常識であることも、馬主登録制度や内国産優先主義の他にもたくさんあります。

JBC競走の実施にまで影響した、大井が海外で出走経験のある馬を導入することに対する生産者の反対運動も、前回の競馬法改正時に競走馬生産振興業務を導入した名目は、海外に負けない競争力の強化、弱小生産者のリストラであったのですから、JRAから金だけもらっておいて今さら反対するのは、理屈が通りません。

もっと大きな視点から問題提起しますと、当時、オセアニアとの間で自由貿易協定の締結の交渉が続けられていました。

自由貿易協定が締結された場合、輸出入に関する制限は完全に撤廃されるのが原則であり、当然出走経験の有無にかかわらず、競走馬の輸出入についても自由化されるものなのです。

ですから、オーストラリアから問い合わせがありましたし、オーストラリア農務省は、成田の競走馬輸入受け入れ態勢等を調査していました。

自由貿易協定については、オセアニアだけでなく、他の国々とも交渉が続いています。

競走馬のことが争点になったとは聞いたことがありませんが、協定が締結されたらどうするのでしょう。

それでも番組等を盾に出走を拒否しようとするならば、更に国際的な非難を受けることになるでしょう。

早く、世界の常識を日本の常識としてもらいたいものです。

私は 2023 3 月で、競馬とは完全に縁が切れましたから、現在どうなっているかはわかりませんが、この辺の問題はまだ完全には解決されていないようです。
 というところで、世界からみた競馬の話題は、これまでとしておきます。


ICRAV2007の会場となった京王プラザホテルは、こんなサービスをしてくれました。

ドバイのカナル(運河)

アブラ(渡し船)の船着き場

レセプション会場何とこれ高級リゾートホテルの会場なのに、芝生なんです。しかも、一晩で見事に撤収しました。

砂漠の中でのどんちゃん騒ぎ?歓迎のちんどんや?

花火大会?をしてくれたのは良かったのですが、大変低空で発火していたため、火の粉が降って来て、ボヤ騒ぎまで起きました。

純血アラブ、乗せてくれたのですが、本当にいい馬でした。

月の砂漠をの情景でしたが、現実は、砂漠の隊商は、盗賊に襲われるは、砂嵐に遭うは、命がけだったそうです。


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Last updated  Sep 23, 2025 01:51:43 PM
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Yoko@ Re:ヤマトタケル異聞8(10/04) 記紀とは違うヤマトタケルを興味深く拝読…
Yoko@ Re:ヤマトタケル異聞1(09/21) ずうずうしくリクエストをしたYokoです。 …
Yoko@ Re:ヤマトタケル?2(04/19) 21日のご返信に気が付かず、ご返信せずに…
神坂俊一郎 @ Re[1]:ヤマトタケル?2(04/19) YOKOさんへ アメーバブログも確認したら全…
神坂俊一郎 @ Re[1]:ヤマトタケル?2(04/19) YOKOさんへ 既に発見されたかも知れません…

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