古の街
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全1件 (1件中 1-1件目)
1
手紙の内容で二人は驚愕した。「我々の街、ブルーアが魔物によって壊されつつあるのです。どうか、アグルさん、リースさん。我々を助けてはくれませぬか?その聖龍の力で・・・・。もはや猶予なぞありませぬ。どうか我々を・・・・。」手紙の主はブルーアの長であった。「どうするの?アグル。このまま放っておいたら、ブルーアの街はなくなってしまうわ。」「そうだけど・・・。何だか妙な違和感があるんだ。それに、何でブルーアの長がボクのことを知っているのか。せいぜいキグストぐらいしか、ボクの事は流れていないはずなんだけどね。」手に持っていた手紙をおいて、腕組をする。迷ったときにとっさに出る癖だ。「うーん・・・・。きっと、キグストかグランマースの人がブルーアに行ってアグルのことを話したのよ。きっとそうだわ。」「そうだといいけど・・・・。」只ならぬ予感を、アグルはひっそり感じていた。夜。魔物に怯えていると言わんかのように、グランマースの活気はなくなっていた。「アグル、そろそろ行くわよ。」リースは食料から何からを用意したバックを持った。ヒューマノイドとも言えど、ちゃんと人間のものは食べられる。「うん。しばらく、ここともお別れだな。」名残惜しそうに、アグルは戸を閉じた。「リース、いいかい?危ないから下がってて。」アグルはリースを後ろに遠ざけた。ブルーアの街は最北の果てだ。当然長旅になる。アグルは何かの呪文を唱え始めた。すると周りに眩く、青白い光が走る。その光に包まれたかと思うと、見るうちにアグルの姿が変わっていく。光が消えたとき、アグルは以前のアグルではなく、蒼竜へと化していた。「久しぶりね、その姿を見るの。」リースが歩いて来てアグルの頭をなでる。何も言わないアグルだが、そうだね、と言っている事はリースには分かっていた。「さぁ、行こうか。ぐずぐずしていたらブルーアの街が破壊されてしまうかもしれないわ。」リースはとっさにアグルの背に乗る。同時にアグルも羽ばたきを始めた。飛び立った瞬間。周りにひっそりと青白い翼の羽がその場に残った・・・・・。
2007.08.22
コメント(0)