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お店では、常連さんに「おっ 今日も出してるねぇ~」 なんて言われて
「ここが違うんだよ~」 と普通なら 腕をポンポンと叩くところを
航のちちは 人差し指でこめかみのところを チョンチョンと指す。
データーが頭の中に全部入っている。 腕じゃない 頭を使うんだ。
と 言っているのだ。
もちろん わたしも同行させられ 「この台やってみな」 と言われる。
言われるまま 座っていると 必ずと言っていいほど 箱を積んでいた。
そのおかげで 家計は潤っていたし、ちょっとした旅行に行けたりした。
そんな日々の中 子供ができた。
私は 「これは いかん」 と思った。
もともと この不健康な環境が好きではなかった。
この生活を変えるチャンスだ。
赤ちゃんが産まれたら 公園へ行ったり、図書館へ行ったり、お散歩を楽しもう。
私は その時に 心躍らせていた。
航が産まれると 航のちちは キッパリとまでは言わないが、
店に足を運ぶことが グンと少なくなった。
子供が産まれたら、可愛がってくれるだろう。
とは思っていたが、その子煩悩ぶりには 正直 助けられることが多かった。
本当に よく面倒をみてくれ、遊んでくれた。
それでも たまに 大好きなパチンコをさせてあげたくて
「今日は 行って来ても いいよ」 と言うと
「え~ いいよ~」 と ちょっぴり行きたい気持ちをのぞかせながら 返事をしていた。
航が少し 大きくなってきた頃、いつものように
「たまに 行ってきたら?」 と促すと
「もう 勘が鈍っちゃってるだろうなぁ~」 なんて言いながら
フラッと3人で店に入ると・・・
航の目が ギラギラ!! こっ これは!?
なんで こんなところばかり パパに似ちゃうんだろうなぁ~
そんなある日 出会ったのが ムシキング。
根っからの負けず嫌いのちちと
やっぱり そんなところが似ちゃった航に 火がついた。
初めは ただのジャンケンなんでしょ?
と思っていた私だが、
航のちちは
「ただの ジャンケンじゃないよ。 こう出せば 絶対 勝てるんだ」 と言う。
試合に出る度 航のちちは 「そうか!」 と
水を得た魚のように どんどん戦略を見い出していく。
私には チンプンカンプンな戦術を
航は フンフンと聞いて それを実戦にうつす。
すると 勝っちゃったりする。
ふたりは これに はまってしまった。
気が付いたら、お休みは ムシキング 一色に染まっていた。
今では そう簡単に勝たせてもらえなくなってきたが、
それでも ムシキングの奥深さに どっぷり つかっている。
先日 仕事帰りの航のちちを 駅まで 迎えに行った。
駅前には 以前行っていたパチンコ屋があるのだが、
航のちちは パチンコ屋を横目に 「今は 全然行く気しなくなったなぁ~」
とつぶやいた。
自称 パチプロだった航のちちが こんな言葉を口にするなんて・・・
パチンコ屋さんでは作れない 子供との思い出を
ムシキングでいっぱい 作ってくれ!
(2006.3.15)