”名も知れぬ人たちへ”【承16】

・・・『子宮頸癌』とは,なんなのか・・・

"子宮頸部とは,胎児が発生する空洞の筋肉組織の下部のこと。癌が表面細胞を越えて広がるとその進行は早い"となっていた。

病期を見ると,0期~4期まであり,妻の場合は,4期の前半と思われる。実際に先生から病期を聞いたわけてはないが。
『癌が小骨盤腔を越えているか,明らかに膀胱または腸粘膜を侵すもの』とある。腫瘍の大きさが4~5cmで骨盤壁に達している。
治療方法は,と見ると放射線治療と化学療法となっていた。
手術をする段階でないことは,明らかであった。

命をつなぐには,本当に"細い糸"を登らねばならない,綱渡りであることを知った。

本を見れば見るほど,私は落ち込んで行く。
いったい,どうしたらいいのか?

我が家にいる期間は3日ほど,その後入院という予定もあり,土日をはさんで2日間休暇をとった。その間,私は妻と一緒にいた。相変わらずの笑顔を私に見せる,そんな妻を携帯で写真をとる。その写真は今でも・・・
しかし,激痛が走ることもあり,その痛みは数分にもおよび傍から見ても耐え難いものであった。

なんとかしてやりたい,そんなとき"アガ○スク"の広告が新聞に紛れ込んできた。その文を読む。『腫瘍が小さくなった・痛みが少なくなった』などと宣伝をしていた。
私は,ワラをもすがる気持ちで取り寄せた。さすがに高額であった。

とにかく,なんらかのアクションを起こしたかった。
「これを飲んでみてくれ,効くかどうかはわからないけど。試す価値はあるだろう」と。

・・・奇跡を,我が妻に・・・

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