”名も知れぬ人たちへ”【承18】

・・・付属病院への入院・・・

私の車はムーブ,結構物が入る。入院に必要なものをすべて積み込み付属病院に向かう。
妻の指定席『後部座席の左側』に座り,1時間のドライブ。
私はその付属病院に行ったことがない。"ナビケーションシステム"に入力し道案内をしてもらった。

車の中でいったい,何を言っただろうか?あまり記憶がない。会話がなかったかもしれない。
バックミラーに写る妻の横顔をチラチラ見ながら運転していたと思う。何を考えながら,外の景色を見ていたんだろうな。
時折,眉間に"しわ"を寄せ痛みをこらえながら・・・

"ナビーゲーションシステム"いわく,「目的地に近づきました,案内を終了します」と。
見ると,病院はさすがに大きい。さあーと,駐車場へ向かったら,なんと行列。そう今日は月曜日,すごく混んでいた。

妻は,"足の痛み"をこらえている。私は,駐車場に入る手前で誘導員のおじさんにこう言った。
「妻はこれから入院です。このとおり痛みをこらえているのでどこかに止めるところありませんか?」と。
妻の方へ目を向けたおじさんは,少しまゆを歪めながら
「じゃあー,こっちに止めてください」と。
言ってよかった。立ち往生して30分くらいたっていたからなお,うれしい。

入院道具はすべて車に残し,とにかく妻を病院内部に連れていきたかった。
右足に痛みがあるため,私の腕にしがみつきながら,かばい歩いた。

その駐車場から入り口まで,500mはあるだろう。妻にとっては大変な距離だったかもしれない。ようやく入り口に到着し車椅子にのった。

・・・妻は,この病院で戦うんだなぁー,と・・・

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