マルスの遺言

マルスの遺言

映画『サム・サッカー』


「考え過ぎるからだ、直そうと。

魔法の解決法を探してじたばたする。

なぜ直す?

人にできるのは考え、努力し、
望む(hope)だけだ。

自分が答えだなんて思うな。


大切なのは答えなしに生きる力だ」



さすがインディアンとの混血のキアヌ・リーブスの言うせりふだ。

ネイティブ・アメリカンの言い伝えに「私の生きる意味はなんですか?」と旅を続けた青年の話がある。彼は、目的に達する前にある老婆から教わる。「目的を求めてお前が旅をしたこと自体が答えなんだ」と。

そんな言葉を思い起こさせる映画『サム・サッカー』でのキアヌ・リーブスさまの言葉。

何か今までになく心にジンと来て、ひらめいた。


世の中には失恋の痛手や肥満、楽して金をもうける方法、孤独、苦しみから逃れようとあらゆる手を使ってあれでもないこれでもないと魔法の方法を求めてジタバタあがく人々がいる。

最近は特にそうだ。魔法の方法で何でも夢が叶うと思っている。

自分が答えだと思うな。・・・その意味は自分が完全だと思うなということだと思う。完全であろうとするから魔法の方法を捜し求める。

答えはないし、自分自身も決して答えにはなりえないのだ。

人生に答えがあるとしたら、あの世に行ってから気づくものなのかもしれない。


答えなしに生きる力だ!

多分ね・・・多分・・・。

かっこよく語った後にキアヌはしょぼくれてこう続ける。

誰も答えなんかわかりゃしないのだ。

それをこの映画は、しょぼくれた若者の姿が変っていくさまを映像で見せて示してくれる。

さえないキャストにさえない主人公、そしてストーリー。

しかし久しぶりにいい映画に当たった。

こういう心理を伝える映画に出会えることはうれしい。

ニューエイジの世代を通り抜けてジタバタしてきたアメリカならではの映画だ。

アメリカ人は純粋な若者のストーリーは伝統的に上手なのだ。



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