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最近はですね。
どうやら、お酒を覚えたみたいなんですよ
昔はですね。
ビール一缶でハイテンション炸裂のゲロッパーJBみたいに
マネージャーに抱きかかえられて(マネージャーはいないけれど)
舞台袖に帰っていき(公園だったりしますけど)
羽織ったマントをひるがえし(普通にジャケットですけれど)
踊り狂って歌いだす(まぁ、歌います)
だったのですが・・・
めでたく記憶が喪失してしまうところまでいけるようになりました
さすがは二度目の成人式も一年経って
やぁやぁ大人の仲間入り
花屋モンタでございますゲロッパ~~
んで、公園なんかで記憶が逃亡し始めると
代わりに夢なんかが忍び込んでくるのです。
優しげな夜に紛れてゆっくりとゆっくりと。
桜が散って、葉桜の緑が風にそよいで優しく包む
こんな夜は
夢を見たりするのです。
僕は16歳で深い森の住人だった。
僕の声は誰にも届かず
誰かの声は僕に届かず
それを世界と呼ぶのなら
僕は世界と長いこと音信不通だった。
図書館は逃げ込んだ自意識の最後の砦だった。
おとぎ話で言うのなら、そこは争いも偏見もない幸せな国で
僕は幸福に暮らせるはずだった。
しかし、常識的に考えてみても
平日の昼間に学生服姿の少年がその場所に居ること自体が不自然な訳で
人の目が怖くなると、僕は公園に逃げ込んだ。
図書館の前には本当に猫の額ほどの小さな公園があって
中央のどこか頼りない桜の木を挟むような形で小さなベンチが二つ置いてあるだけだった。
周りを常緑樹で囲まれて
どこか情けない桜の木と小さな二つのベンチだけがひっそりと息をしている。
僕らは似たもの同士だった。
季節の良い時には、大人たちの目が気にならなくても、僕はよく本を持って図書館を出た。
とても小さな桜の蕾が薄桃色に色付き始めた頃
僕はその時お気に入りだった海の写真集を持って公園に足を運んだ。
公園の狭い入り口を抜けるといつものベンチには珍しく先客がいた。
年は僕と同じくらいで、ただ学生服ではなく私服だった。
どこか居心地の悪さと好奇心を感じながら桜越しに向かいのベンチを探る。
僕は目を見張った。
その頃はそんな言葉も知らなかったけれど、今で言う拒食症のように異常に痩せているのだ。
髪の毛は短くて、大きな目だけが一心に本のページを追っている。
洗いざらしのジーンズとシャツから見える腕と足はまるで細い糸のようだった。
男の子か女の子かさえ分からなかった。
胸の鼓動が早くなるのを感じた。
カリブ海の真っ青な空と海は遥か彼方へと消え去ってしまった。
そして、1時間くらい経って、彼(彼女)は僕を空気のように気にも留めずに公園から去って行った。
僕はしばらくの間、ぼんやりと空いたベンチをただ見つめていた。
それから僕は同じ時間に図書館ではなく真っ直ぐに公園に向かうようになった。
海の写真集を手に、たぶん何かしらの希望を手に。
彼に彼女に会いたかった。
それは、もしかしたら自分を分かってもらえるかも知れないという浅はかで自分勝手な希望だったのだと思う。
それがどんなに自己満足の思い込みだったにしろ僕は会いたかったのだ。
週に2~3回の割合で僕は彼(彼女)を見ることができた。
相変わらず先に来ていて、相変わらず僕は空気のようだったけれど。
桜はようやく咲き始めた頃だった。
挨拶どころか、顔さえも目さえも見てくれなかったけれど
僕は同じ時間を共有している人間がいるというだけで幸せだった。
桜は満開になって、満開になっても相変わらずの情けなさで
それでも何かしら二人の間をはらはらと散る桜は美しかった。
それは、僕に確実に何か大切なものを思い出させてくれた。
全てが散ってしまって葉桜が優しい影を地面に落としていた。
僕らはいつものように向かい合っていた。
とても気持ちの良い午後で僕らの間を柔らかな風が通り過ぎた。
葉桜が囁くような感じがして僕は顔を上げた。
僕の視線の先に、いつからだろう、彼(彼女)がこちらを見つめていた。
笑うでもなく、怒るでもなく、ただ真っ直ぐに。
僕は目を逸らすことができずに
彼(彼女)の大きな、大きすぎる瞳を見つめた。
永遠とも思える10秒だった。
それから、彼(彼女)はいつものようにベンチから腰をあげた。
背中を追いかけるように僕は公園を出て行く彼(彼女)を見ていた。
そして、ベンチに目を戻すと本が置いてあった。
エベレストの写真集だった。
ページをめくると、そこには真っ白い雪に染まった地面と対照的に真っ青な突き抜けるような空が写っていた。
彼(彼女)に渡そうと急いで公園を出たけれど、もう薄い背中は見つからなかった。
僕は公園に戻り、自分の海の写真集と彼(彼女)の写真集の、一番青い空と海のページを重ね合わせた。
僕の海、彼・彼女の空。
それから、彼(彼女)は公園に姿を見せなくなった。
僕も梅雨が入る頃にはいつものように図書館に場所を移してしまった。
今となっては、あの本が忘れ物なのか僕への贈り物だったのかは分からないけれど、僕の海は彼(彼女)の空に繋がっているのだ。
いまも、いつまでも。
という、昔々の夢をみて公園のベンチで目を覚ましました
夢の感想は風邪をひかなくて良かったなぁと
んで、長くなりました。
最後まで読んでくれた貴方には最大級の感謝を
ちょっと、お酒が入っているので、入ってなくても乱文・駄文はたぶん、おんなじだね。
さて、花屋は母の日モード
今年も頑張ります。
みんなはゴールデン・ウィークのんびりね。
素敵な夢を花屋モンタでした