★Latchkey Child★

★Latchkey Child★

泣けない


いつのころだろう。

あれは、初めての人と別れたすぐ後だったかもしれない。

三日間泣きつづけた。

でも、母親に言われた。

「そんなに泣いて、恥かしい。大人になりなさいよ」

親に言えない内緒の恋愛だった。

命を賭けて愛してたいと思った人だった。

その人に、ある日、別の好きな人ができた。

「わかれようか」どちらともなく言った。

「仕方ないね、好きな人できちゃったんだもんね」そう言った時に

その人が、ホッとした表情を浮かべたのを今でも覚えている。

家の近くの駅まで送ったその人の「じゃあな」と言った時の。

少し晴れ晴れとした顔が今でも忘れられない。

だいぶ日がたってから、その人が好きな人にふられたと知った。

「もう1回よりを戻さないか」

そんな電話がきたのは、それを知ったすぐあと・・・・。

「無理だよ、もう。捨てた犬を拾おうとする飼い主がいる?」

・・・・お互いに無言になってワタシから電話を一方的に切った。

誰にも触れられたくない聖域。

それがその人だった。

でも、聖域は消えてしまった。

忘れようとしたのかもしれない。

積極的に声をかけてきてワタシが不安がるときは必ず傍にいてくれたその人を。

電話はそれいらい来なくなった。

また電話が来るかもしれない。学校から走って帰る毎日。

電話とのにらめっこが続いた。

でも、電話が鳴ることはなかった。その人からはそれきりになってしまった。

毎日、その人を思い出しては泣いた。

声がなくなればいいと思った。

ごめんね、ごめんね、ごめんね、ごめんね。

あやまりっぱなしの恋だったような気がする。

あの日、ワタシは「よりもどす?」と言ってさえいれば。

また、その人はワタシと一緒にいたかもしれない。

それを考えるとまた泣けた。

いつの間にか、詞を書くようになった。

その人や、好きになった人達。そしてワタシが仮想に作り上げた人間。

男でも女でも、その人達を思いながら。ただ黙々と書き上げた。

バーチャルで作り上げた人は、毎回悲しい別れの詞になった。

実際に好きになった人でさえ、別れるという詞しか書けなかった。

毎日、詞を書いては泣いた。

バーチャルの別れなのに辛かった。

その人達がもう帰ってこないから。           つづく


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