★Latchkey Child★

★Latchkey Child★

かわってしまったんだね



だから、君のコトバには答えられなかった。

「付き合って」というコトバ。透きとおった儚いコエ。

「ごめん、好きな子がいるんだ」という僕のコエに。

「知ってた」というコエが重なる。

「それでも、人は愛さずにはいられないの」そう言って。

君は静かに去っていった。

その背中に、翼が生えていた。

美しい、天使の翼。

もう僕のことは知らないといった風に。

毎日、美しくなっていく君。

いつの間にか、僕の好きな人が君になっていく。

どんどん美しくかわっていく。

綺麗な翼は、また大きく。そして美しく広がっていく。

たまに目があうと、はずかしげに。

そして、少し冷たそうに目をそらす。


君を少し強引によびとめた。

ふりかえる人の中で

「困るから・・・やめて」というつぶやく君のコエを聞いて。

また僕はとまった。

美しい左の薬指にヒカル指輪。

新しい誰かに恋をし、受け止められている。

羨ましいくらいの愛に包まれている。

あぁ、きみはもう。

かわってしまったんだね。

僕の知っている君は、あの時。

美しく去った背中に、生えかけている小さな翼を持っていた。

君の背中の翼は今。

おおきく、美しく広がっている。

きみは、ぼくの知っている君ではない。

美しい女神のような人になってしまった。

もう手の届かない美しい君に告げるとしたら。

もう少しだけかわらないでいてほしかった・・・・。

ぼくの知っている、儚げな君でいてくれればよかった・・・。

もう君に、このコエは届かないのだけれど。

誰か、君に伝えてほしい。

僕は今、君に恋してるんだと。


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