最近ちっともブログを更新しないで、モツラは一体何をやっているんだとお叱りを受けそうな今日この頃、皆様、お久しぶりでございます。
実は今年の夏から嵌ったアナログレコードに一層のめりこみ、泥沼から抜け出られずにいるのです。試行錯誤の結果、LPレコードのデジタル化には目途が立ったのですが、たまたま買ったスピーカーの音に不満があり、あれこれ試してほぼ解決したということでブログにご報告なのです。
今回買ったスピーカーは知る人ぞ知る採算度外視の高コストパフォーマンス、やや偏執狂的高能率のスピーカーの名品、パイオニアのS-HE10。20年ほど前の製品です。昔からスピーカーは能率が90dB/W/m位が標準でこれを越えると高能率と云われていたのですが、この製品はなんと98dB/W/m。昔も今も国産でこんな高能率のオーディオ用スピーカーは滅多にありません。
最近発売されているスピーカーは小型で低音を出そうとするため82-88dB/W/mなんてのが多く、このスピーカーの能率の良さが一層際だちます。これは体積も大きく、分類上はブックシェルフ型ですが、以前使っていた QUAD 11L を小学生のランドセルとすると電気コタツ位の大きさ。おまけにムチャクチャ重く一本が専用台を含めて約40Kg。全部で80Kgという運送屋泣かせのしろもの、これが3万円で売っているんですからお買い得といえばお買い得、しかし冷静に考えると、とんでもない買い物をしてしまったなぁと密かに後悔したほどです。で、肝心の音はどうかというと、ひと言で表わすとくっきり、はっきりの典型。ピアノの音なぞまるで目の前で鍵盤をひっぱたかれているような感じだし、バッハのオルガン曲をかけるとマンションの一室が揺るぐような低音から嵐のような高音まで響き渡るのです。
初めのうちは喜んであれこれ聞いていたのですが、次第にうちのが不愉快そうな顔をするようになりました。どうしたのと聞くと、なんかイラッとすると答えます。確かにこのスピーカー、高解像度、広帯域が売り物でのんびり音楽を聞き流すような道具ではないのです。こんなスピーカーが四六時中居間で鳴っていたのではイライラするのももっともな話。なんとかしないと家庭不和の元になりかねません。
あれこれ考え、採用したのが真空管アンプ。高能率スピーカーなんだから出力は小さくてもよかろうと選んだのは片チャンネル1.6Wの可愛らしいアンプ、城下工業のサウンドウォーリアSW-T10です。最大入力120Wのスピーカーに1.6Wのアンプではいかにも不釣り合いかとも思いましたが、ものは試しで組み合わせてみました。結果は大成功。音量に不足は全くなく、ボリュームを9時以上に回すと隣近所から苦情が出そうなくらいです。音質はというと弦楽合奏はあくまでも艶やかでうっとりとさせてくれ、低域ののびはそれまでの60W最新アンプ以上です。おまけに真夜中に小音量で音楽を流してもバランスのいい音を出してくれ最高の組合せになりました。部屋を暗くすると真空管のほのかな灯りが心を和ませてくれ、手をかざすと真空管の暖かさが寒い冬にピッタリのアンプです。