雄浜にメロメロ






念願かなってパンダに会えました


雄浜にメロメロ



 昨日くろさんはカーテンを少しだけ開けて寝たらしい。その隙間から朝日が差し込んで私の顔に当るのは偶然?それとも意地悪?そんな訳で6時にはまぶしくて目が覚めてしまった。とりあえずお風呂に行こう。ごそごそしていたらくろさんも起きてきたので一緒に温泉へ行く。



 昨日は雷のせいで堪能できなかった露天風呂にゆっくりつかる。相変わらず滝は見えないけれどかすかに聞こえる波の音に癒される。朝は人も少ないしいいねえ。のんびりお湯に浸かり、ほっぺを真っ赤にして部屋に帰る。朝ごはんはレストランでバイキングだし、極楽でござる。



 くろさんは相変わらずトレイに山盛りの朝ごはん。ゆっくり平らげて太地町のくじらの博物館へ向かう。和歌山といえば鯨、鯨といえば太地町。(らしい。)ここにはシャチやイルカが住んで(?)いて、4,000もの鯨に関する展示物がある。ちなみに、ここのシャチはもうすぐ名古屋港水族館へやって来る。でも、私たちがショーで会ったのは別のシャチ。名前は“ナミ”ちゃん。3トンもある巨体だ。ここは水槽ではなく、入り江を仕切ったプールなので、天然の魚がいる。その魚が気になって、時々ショーどころじゃなくなるナミちゃん。技の切れもイマイチ。が、それが本来の姿なのかと思えば楽しい。そして、何度も言うけれど、さすが紀伊半島。人がいない・・。こんな少人数じゃあナミちゃんもやる気が起きないでしょう。



 博物館の中には実物大の鯨とその骨格模型が天井から吊り下げられていた。わかりきったことだけれど、でかい・・。ちなみに私の夢は鯨に食べられて、背中の潮吹きから吐き出されて水芸の独楽のようになること。骨格標本の下で、とりあえず食べられるところまでの夢は実現したような気持ちになった。



 くじらの博物館は博物館部だけではなく、周りの公園に捕鯨船の展示や、モニュメントなどがある。捕鯨船の甲板に上がると海が良く見えた。水はきれいだし、まだ水温も上がっていないせいか、それほど潮くさくもないから海風がとても気持ちいい。この日はかなり暑かったので手すりにもたれてしばしぼうっとしてしまった。くろさんに急かされて捕鯨船を降りる。鯨の尻尾のモニュメントや、いろんな鯨が描いてあるモザイクタイルなどを楽しみながら駐車場へ。くろさんはお腹が空いているらしくてとても早足。仕方がない、昼ごはんにしましょうか。ちなみに、鯨博物館のホームページはこちら
http://www.town.taiji.wakayama.jp/museum/



 太地町まで来る間、道沿いには「鯨料理」の看板がいっぱいあった。やはりここまで来たら鯨を食べなきゃだめでしょう。そんな訳でちいさな「くじら屋」というお店に入った。私たち以外にお客は誰もいない。当たり前か、博物館にあれだけしかいないんだから。しかし、こんなんで大丈夫か、太地町?



 注文したのは鯨の竜田揚げ定食(これはくろさんの)、串カツ、さえずり、そしてビール。(後半3つは私が食べるの。)さえずりは、鯨の舌の刺身。食べたことはないながら、美味しんぼで読んでから、ずっと食べたいと思っていた。運ばれてきたさえずりは茶色と半透明の2層に分かれていて、ゴマ醤油につけて口に入れると、哺乳類だけあって牛刺しや馬刺しのような獣の臭いがする。茶色の部分は肉を湯がいた感じ。半透明の部分はゼラチン質が固まったようでクニュクニュした歯ざわり。味がどうというよりもこの歯ごたえがいい。つまみにはぴったりかも。しかし、値段が高い。8切れくらいで1,500円もする。当然串カツや竜田揚げも高い。まずくはないけれど、とくべつおいしいわけでもない鯨。これならチキンの方が好きだな。



 とりあえず話の種に鯨でお腹をなだめて本日のメイン、南紀白浜アドベンチャーワールドへ出発!ここにはパンダがいる。南紀白浜空港と隣り合った広大な敷地の中に作られたアドベンチャーワールド。紀伊半島の先っぽにこんなものつくって採算が合うんだろうか?と疑問だったが、駐車場に止まっている車を見て疑問が確信に変わる。


「・・そのうち潰れるな。」



 駐車場の1割くらいしか埋まってない。チケットを買って中に入ると、やっぱり人がいない。いや、それなりにいるんだけどこんなに広い敷地の中、ちらばっちゃってぜんぜんいないって感じ。



 人の少なさに驚きながらまずはパンダランドを目指す。敷地の一番奥にあるパンダランド、ここも驚くほど閑散としていた。私のパンダに関する記憶は上野動物園。行列を作ってベルトコンベアに乗せられるように移動させられて、ぜんぜん動かないパンダのお尻を見た。パンダより人に圧倒されて、すごいなあと思った。が、今回は逆の意味ですごい。レッド・データ・アニマルなのに、誰も見てないよ。



 アドベンチャーランドにいるパンダは4頭。中国から連れてこられた夫婦の永明、梅梅。(名前はうろ覚え。)そしてここで生まれた良浜(ラウヒン 女)と雄浜(ユウヒン 男)。特に雄浜は平成13年に生まれて今が可愛い盛り。この日もひたすら笹を食べてばかりの永明に比べ、木に登ったり、転がったり、お散歩したりと私の“動かないパンダ”のイメージを一掃してくれた。まあ、永明は子どもを作った段階でお役目が終了したといっても過言ではないでしょう。息子と娘がドル箱役者なんだから後はずっと食べていても文句は言われないって感じ。しかし、その怠惰な態度がいかにも絶滅を招いた感じがする。絶滅を招いたといえば、熊のくせに木登りが下手で、木から落っこちている雄浜を見ると、「ここで生まれてよかったね」と心底言ってあげたい気持ちに駆られた。



 今はこんなに冷静にコメントできているけれど、当日はパンダにメロメロだった自分。動く雄浜に釘付けでパンダ舎の前から動けない。いっくら怠惰でも、不器用でもこれだけ可愛いなら生きる道があるってもんだよ。30分以上もそこでパンダを見ていたけれどさすがに脚がしびれてきたのでサファリランドの方へ移動する。ケニア号という無料の車に乗ってランド内を巡る。草食動物ゾーンは歩いても移動できるようになっており、早い時間ならのんびり散策を楽しみたかった。象やキリン、ライオンやチーターも良かったけれど、やはりパンダのことが忘れられない私は車から降りるとまたパンダランドへ。ああ、やっぱり可愛い。



 この後、オルカのショーを見て(くじら博物館に比べすごく調教してあってびっくりした。)またパンダ舎へ戻る。閉園は5時。(この時期にしては早くない?)あと15分しかないよ。ペンギンやラッコも見たかったけれど、パンダに心臓をわし掴みされた私は動けない。どうしたらいいの?!



ちなみに、アドベンチャーワールドのホームページはこちら。可愛いパンダの写真にメロメロになること請け合い。
http://www.adventureworld.co.jp/index2.htm





© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: