かりん御殿

かりん御殿

June 11, 2008
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カテゴリ: 旧(中年の主張)
この数年、60代で人工的妊娠出産に成功した欧州女性
(ルーマニア、スペイン、英国の3人)が
英国の新聞雑誌を賑わせている。
60歳という高齢で人工的に妊娠し母になる事の
「是非」が「世論」に騒がれているのだ。

一昨日、英紙Daily Mailに、70歳を迎えたその一人ルーマニアの
3歳の娘を持つ母の特別取材記事が載っていた。
写真で30代に見える英国女性記者による記事は
「英国世論」の影響を受け否定的な内容だった。


反対意見にせよ賛成意見にせよ、
女性の意見が多い、というよりも情熱的で、また、
新聞や雑誌は賛成反対の「一般/識者」の意見を
載せながらも否定的な論調でまとめられている
という印象を受けたものだ。

常に、何歳で産むかを考えている女と違い
男は、60歳のよその女の出産には
興味が湧かないのかもしれない。

担当医師は、3人とも男性。
医師には医学的挑戦も大きな動機だったかもしれないが
60代が出産しても大丈夫と判断した事は確かだ。


超高齢母の子に対する影響の面から語られている。

子が成人するまで健康で生きられるのか?
(誰が面倒を見るのか)
高齢で育児という重労働をこなせるか?
等が、主な批判だ。


私の母を含め、いくらでもいるし
若いから健康でいられるわけでもない。
また、孫を子の代わりに育てている祖父母など
いくらでもいる。
私が仲良くしている「保護者友」のうち
6,7人は、祖父母だ。

毎日、孫の送迎をしている祖父母は
決して少なくないし、私の友人のうち3人は、
平日、孫と暮らしながら面倒を見ているか、いた。
上海だったら、祖父母の育児なんて、
ほぼ常識の世界だ。
大卒で専業母をしていた私なぞ、
パンダいや北極熊の赤ちゃん並みに珍しがられた。

よって、年齢的側面からの批判には全く納得できない。
そもそも、年齢が問題ならば
何故、赤ちゃんの父が60代の場合は騒がれないのだ?

もちろん、宗教的・倫理的な側面からの批判もあった。
自然以外の妊娠出産を認めない宗教や倫理観だ。

これは、時代の変遷の影響を受けやすい分野でもある。
ゲイの結婚
ゲイの養子縁組
未婚の母
不妊治療
試験管ベイビー
中絶
避妊
等々
全て、宗教的・倫理的観点からの批判は大きいが
現代英国世論的には容認されている。

では、超高齢出産母も、じき容認されるだろうか?
されるだろう、と、私は思う。

しかし、容認以前に、偉そうに容認する「世間様」は
そもそも何者だと、不快に感じてならない。

大人が熟考の上で選択した行動を
「赤の他人」が、難癖つけて、どうする?
(直線利害関係があれば別問題だが)

批判の中には、キャリア重視で出産を先送りする女性が
増えるのではないかという危惧もあった。

危惧してる暇があったら、母親が
職場復帰しやすくなる環境整備に注力すれば良いのだ。

女が高齢出産になるのは
いつまでも遊び続けたいからじゃない。
信頼できる伴侶・子の父親として相応しい男を
見つけるのが難しいからじゃないのか?

母親が仕事を続ける理由も、
「その仕事を愛している」
「家庭におさまりたくない」という
「選択の余地がある自己選択型」だけではなく
少なくとも英国の過半数は、むしろ、
「男と政府が信用できないから働き続けるしかない」のだと
私は、見ている。

女にとって、子を産むのが不利、不安要素となる社会なのだ。
だが同時に、子を産まない女の立場は
「子を産む女が優遇されていた時代」並みに悪い。

また、女自身も、遺伝子の中に
「母となる願望」が組み込まれているのか
「母とならない【選択】をした女」が
悩む傾向があるのは否めない。
(超高齢出産母の中には、既に成人した子を持つが
新しい伴侶との間の子を産んだ母もいた。)

そんな女性が、難しい不妊治療に成功し、
高齢で母になるのは医学の進歩だと私個人は考える。

そして、超高齢出産は、あくまでも
少数であり続けるだろう。

女はバカじゃない。
自分の体も自分の年齢も、女自身が
一番よく、わかっているのだ。

だからこそ、
赤の他人の「子の将来」にかこつけた危惧は
「余計なお世話」なのだ。





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Last updated  June 11, 2008 06:43:34 PM
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