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救急に飛び込むと、すぐさま彼は担架で運ばれていきました。
「とにかく、奥様が支えなのだから、落ち着いてあげましょう。
大丈夫。すぐに手術ですから。」
とてもありがたかったです。
不安と疲労でぐちゃぐちゃになった気持ちが少しおちついたようでした。
そして処置をしている間に両親もかけつけました。
待合室でただ無言で座り込んでいました。
重苦しい空気が漂っていました。
しばらくして、処置がすんで先生がみえました。
「止血したのですが、完全には止まりきらないようです。血液が凝固する力もかなり弱くなっているようですし・・・。」
「意識はまだはっきりしているのですか?」と私が聞くと
「そうですね。まだ意識ははっきりしています。痛みもあるようです。」
痛み・・・。
そうか意識があるということは痛みや苦しみがあるということでもあるんだ・・・。
とにかく彼の休んでいる病室へ向かいました。
彼は点滴をつけ、あちこち包帯をまき痛々しい姿でした。
そしてなによりも気になったのは、お腹が異常に膨らんでいるのです。
肝臓だけでなく腎臓も悪化してしまい、水分を排出しにくくなっているのだ・・・と先生はおっしゃいました。
私は彼のベットのかたわらにすわると、
「お風呂はいりそこねちゃったね。あとでおしぼりで顔と首だけでも拭いてあげるね。
ちょっとさっぱりするもんね。」といつもと変わらないように話しかけました。
本人に知らせないときめたのだから、最後まで普通に話しつづけるんだ・・・。
彼はすこし笑いながら、「そうだね。」と答えてくれました。
でも痛みがあるせいか、すこしつらそうです。
「また入院になるから、私帰って支度してくるね。それに一人で留守番いやだから、
わたしも一緒にここにとまらせてもらうよ。」と私がいうと彼は
「でもベットないし、落ち着いて寝られないよ。帰って家で休んだほうがいいよ。」と私を気遣ってくれました。
「大丈夫、看護師さんに簡易ベットをお願いしたから。それに私はどこでも寝られるのよ。キャンプしているようなものと思えば楽しいじゃない。」と私は明るく笑ってかえしました。
彼は笑ってそれ以上なにもいいませんでした。
私の最後の看護生活が始まったのです。