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一心不乱に繰っていると、やがて己が人形を動かしているのか、人形が己を動かしているのか解らなくなる瞬間が訪れる。
そしてそのうち、どちらでも良いような境地に行き着く。
そこまで行かねば、本物ではない。
例えば。
娘人形を操るとする。
繰る松之輔は勿論娘ではない。
しかし人形の方は紛うことなき娘の形をしている。
ならば人形に欠けているのは、動く力だけなのである。
娘としての魂は既に形の方にある。
そうなら、力を出しているのは松之輔だが、繰っているのは人形の方だということになる。
人形芝居は、人形を遣って太夫が芝居をするのではない。
人形が芝居をするために、太夫が力を貸すだけなのだ。
主役は人形の方なのである。
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