May 19, 2003
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おねえとおばちゃんは久しぶりに連れだってお出かけした。

歩いても行ける距離なのだが、閉店時間まであまり時間がないので、楽をしてしまった。
今日の目的は「スノコ」だ。種類もあまりなく、選ぶ余地なし。
おねえはお腹がすいているので、早く帰りたかった。
けれどおばちゃんは、お店じゅうを興味深々な様子で見まわっている。
おばちゃんは世が世ならば、「左官やさん」もしくは「大工さん」をしたかった人なのだ。
誰もそれになるのを止めはしなかった。
ただ、そういう気持ちに気付いたのが50才を過ぎてからだったのだ。

仕事にしなくても、基本的に木材・壁塗りの材料、はてはボンドに至るまでどれもこれも大好きな素材がズラリ。
「便利なものがたくさんあるねえ・・・」
おばちゃんの頭の中では、あそこをこの道具でこうすると良くなるなあとかいう「計画」というか「策略」が渦を巻いていた。
おねえはもうはらぺこで付き合いきれず、倒れそうだった。外の自動販売機でリンゴジュースを買い、ベンチで腰掛けて待っていた。
もう薄暗くなったホームセンターの外では、植木・お花の苗も売られている。これも、おばちゃんの大好きなものだ。
支払いを済ませたスノコを抱えて出てきたおばちゃんは、ベンチにいるおねえの足元にスノコを置くと、目の色を変えて苗の売り場へと足を進める。
今日のお買得「大玉スイカ 65円」。スイカといっても、あくまでも苗だ。
茎が5センチくらいの、緑のひょろっとした物体。
スイカといわれても、ねえ、というような状態だ。
こんなのが出来ますよ~という見本写真の中で、大玉スイカがゴロンと横たわている。ほんとにこれが出来るのお?
人生はチャレンジだ。

大玉スイカの苗の前をやり過ごす、おばちゃんであった。






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Last updated  May 20, 2003 05:06:28 PM


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