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人間物語・とね しゅんじ

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2019.08.04
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カテゴリ: いのち の 智慧
◇人間物語のメール講座NO11◇




今日は 昨日伝えた
あの24歳の女性が父親に成って
書き上げた心情文でも「まだ解からないよ・・・・」
という方達の為に 別の角度からの説明をしてみたいと思います。


今度は 結婚をしている 28歳の男性を例にとっての説明になります。


彼は ある信念を持っていました。
その信念とは "努力しなければ世の中 出来ない事だらけ、 努力をすれば
世の中に出来ない事など ひとつもない" 

本気で思い込んでいました。

このタイプの人間程 世の中に害毒を流してしまう人間はいません。
彼の様な人が もしも 組織の長だとしたら 彼の歩いた後には人の屍の山が
幾つも出来上がります。

彼も御多分に漏れず そんな人間の中の1人に成っていました。
ところが困った事に 彼は そんな自分に満足していたのです。

彼は結婚した時に 有る事を決めていたそうです。
精神的な愛情ならば いつでも上げられるけれど
彼自身が幼い頃から嫌な思いをし続けて来た 物質的な愛情を与えるのには
時間が掛かると・・・まずは物質的な愛情を与えるのが先だとばかりに

単純計算で仕事をバリバリやれば役職が上がる 役職が上がれば 

自分が少々大変なのくらい なんでも無いと
バリバリ仕事を こなしたそうです。

そして 結婚4年後の 彼の生活は 
いつも帰宅は午前1時半か2時近く 翌朝6時には目を覚まし 30分の朝食の後
会社に出掛け 仕事・仕事・仕事 の毎日で 家に帰ってからも仕事の事が

成り切ってしまっていました。

おまけに休みは 未定の 3ヶ月に 1度有るか無いかの状態・・・・。
挙句の果て「俺は役職も手に入れたし 給料だって こんなに良くなった。
だから妻である お前を幸せにしている。こんなに汗みどろになって
妻の為に働いているのだから まさか文句など無いだろう。
普通の奴らだって 此処までの事は出来ない。 でも俺は1番時間の掛かる 
誰にも出来ない事を こんなに大変な想いをして お前に与えているのだから
俺の愛情こそ本物だし その愛情を解かれ!」などと言っていたし
本気で そう思い込んでいました。

そして 1番大変な思いをしているのは自分で 妻だけは幸せにしていると
信じて疑わなかったのです。

自分を犠牲にしてまでも相手を幸せにする事が もっとも深い愛情表現だと
思っていたし 事実 彼は妻を愛していました。
だからこそ こんな過酷な事が続けられたのです。

この頃の彼は
人に「あなたにとって もっとも大切な人は誰ですか?」と尋ねられると
胸を張って「会社の社員達です。私の部下達です」などと答えるほど 
仕事だけに埋もれ切ってしまっていました。

社員達がいるからこそ 会社が有って その人達が 頑張ってくれているからこそ
給料が貰え 彼も妻も生活をして行ける・・・
だから 社員が1番大切だという理屈で 仕事以外の一切は 
全て無意味なものとして 彼の目には映るようになってしまっていました。
彼は たまたま この講座を受ける機会に恵まれて 
初めて それまでの 全てが間違っていた事に気づきました。
自分にとって大切な人とは イコール 自分を大切だと思ってくれている人に
気づかなければ解かるものではない。
頭とか理屈の上での解かり方など まるっきり解かってなどいないのだと言う事を
彼は初めて理解できたのです。

彼にとって もっとも大切な人とは より身近で 余りに身近すぎて
全てを当然の様に片付けてしまっていたし、全てを当たり前の様に 
考えてしまっていた妻であった。
妻の事は大切に出来ていると云う 彼自身の中の傲慢な決め付けによって
まるで見ようとはしていなかったのです。

普段から 自分の中に
妻の為や  誰かの為や 或いは何かの為と 
随分と大層な大義名分を掲げていた彼でしたが
本当は とても弱い人で そう云ったものを持たなければ
彼は 歩いて行け無かったのです。 
ところが この大義名分が有ったが為に
彼は当時の 自分自身の姿を まるで見る事が出来なかったのです。
自分で掲げた大義名分に自分独りが酔ってしまい 自分の大儀名分に
自分が騙されてしまっていたのでした・・・。

最初は純粋に妻の為に頑張っていたのですが
この頃の彼は 知らず知らずの内に 自分の私利私欲の為に 社会的な地位や
名誉を 追いかけ 自分の評価を上げる為だけに懸命になっている人間と
化してしまっている 現実の 彼自身の姿に 気づけず
自分は こう云う人間なんだと 彼自身が思いたい 理想の自分の姿との間に
大きなギャップが出来上がってしまっていました。







此処からは彼の話しを そのまま引用します。

私は 妻に成り 妻の1日の生活の中を 出来るだけ正確に生きてみました。
妻は 随分と離れた他県の出身であり 都内で生活をしていた私達の近所には
妻が頼れる人や 妻の知り合いは誰1人居ませんでした。

これを 私は知っているつもりで まったく忘れていました。
職場で気楽に友人を作れる私とは違うのに・・・・。
明け方近くになって 馬鹿な私は まるで当たり前の様な顔をして帰って来ます。
いつも自分の仕事の事しか考えていないから 妻の気持などと言う物は
まるで考えた事が有りません。
そして朝7時 妻は 昨夜も遅く帰り 毎日2・3時間しか寝てない身体を気遣って
私を起こします。 ためらいながらも起こしていたのです。

妻の そんな気持も姿も見えていない私は さも俺は疲れているんだと
言わんばかりの顔して起きてきます。
朝食のテーブルに着いてからも 妻は盛んに話しかけて来ます。
あそこの桜が綺麗に咲いたとか 隣の○○ちゃんが大きく成ったの だとか・・・
一生懸命に話しかけて来ます。 
けれども この頃の私は 瞬間的に自分にプラスになる話し以外は 聞かないように
出来ていたし、自分でも気づかない内に 自分が見下してしまった相手の話しは 
こちらの耳から あちらの耳へと 自然に通り過ぎるような聞き方をしていたのです。
だから妻の話しも プラスに成らない話しと瞬時に判断して まったく聞かずに
「うるさいから 少し黙っていてくれ!俺は仕事で疲れているんだ!」と 
冷たい言葉を吐き捨ててしまっていたのです。

当然 妻は とても寂しそうな表情を見せるのですが・・・・。
妻が 寂しそうな顔をするのが 何故なのかを 解かろうとしなかった 
ばかりでは無く、何故こんなに 夢中になって朝から話しを してくるのかさえも
解からなかったのです。 

それどころか 「こいつは わがままで何も解かっちゃいない。
人が こんなに疲れているのが目に入らない訳は無いのに くだらない話しをして
朝から俺を疲れさせる。 少しは 相手の気持ちが解からないのだろうか・・・」と
真面目に思ってしまって いましたし、 言葉にも出していました。
それほどまでに 私は馬鹿な男でしかなかったのです。
ところが 妻にとっては 
この時間は 1日の中で1番大切な時間でした。
この朝の会話は 私と話すことの出来る 唯一の時間で有り 
この時間を逃したら 1日中 誰とも話せないどころか 
夕食だって別々 休みは無いというので 一生懸命だったし、
それほど 妻にとっては貴重な時間だったのです。

そして夕方から夜になると 近所の家から笑い声が聴こえてきます・・・・。

その笑い声を聴きながら 自分の寂しさを 誰にも話せず 1番 自分の気持を
解かって欲しい夫にさえ 解かって貰えない淋しさを独りで我慢をし続けながら
たった独りでポツンと夕食をとる 妻の姿が浮かんで来た時に 
私は 初めて 妻に対して何ひとつとして して上げていなかったどころか 
私の この手で妻を 精神的に踏みつけにしていた自分に気づいたのです・・・。

小さい頃から 何が有っても 泣かずに育って来た私も この時ばかりは
泣くのを堪える事が出来ずに 人目もはばからずに 大声を出して泣きました。

自分は幸せにしていると思ってしていた行動の全てが 自分の1番大切な人を
これ程までに 苦しめていた事実を知った時に 泣かずにはいられなかったのです。
ただ ただ情けなくて 自分に悔しくて・・・。

彼の中で妻だけには皺寄せをしていないと思い込んでいた理由のひとつに
彼が夜中に帰宅すると 何時であろうと いつも妻は起きて待っていたのですが
その妻に早く休んでいるように伝えてからと言うもの 妻は起きて待っていると
彼に 叱られるので ベッドに入り寝た振りをして待つ事にしたそうです。
それに気づかない彼は 妻は自分に付き合わせること無く 早く休ませていると
思い込んでいたのですが 実際には 彼の帰るまで 妻は休めずにいました。
そして 救急車やパトカーのサイレンの鳴る度に気がきでなく
休める筈など無かったと言います 休みを取れずに働いている彼の身体を考えると
自分だけが先に休む事など 到底出来なかったのです。

彼が気づいていない重大な事が もうひとつ有ります。
それは・・・彼が 無理を し続けている限り 
奥さんも 無理を し続けなければ
いけないのだと言う事実です。
それは 彼がさせていることなのです。
彼が背伸びをし続けている限り 
周りの皆も 彼に合わせて 背伸びをし続けなければ
ならなくなるのです。

皆を楽にさせたいのなら 
まずは あなたの背伸びを やめなければいけません。

逆に皆に無理をさせたければ 
あなたが無理をし続ければいいのです。



彼は最初の頃 本当に妻の身体が心配で 
先に休んでいる様に言っていたそうです。

と言うのは 彼の奥さんは 
余り健康では無く 働いてはいませんでしたから。
ところが 正直に言うと 
だんだんと そんな純粋な気持だけでは
無くなっていったと彼は言います。 

その気持の中に 妻が自分に付き合って 無理をして 
身体を壊し 病気になど なってしまったら、
その妻の看病で会社を休まなければいけなくなる事が 
それまで 自分の姿勢を見せることで 
会社の部下達を引っ張ってきた彼には
出来ないことでした。 

彼は そんな自分の甘えを 
周囲に見せることなど出来ないという 思いから 
妻に早く休めと言っていたと 正直に話してくれました。
愛情や優しさからでは無かったと・・・・。
「その頃の 僕の 妻に対する愛情は見せ掛けばかりの物の寄せ集めで 
本当の愛情など これっぽっちも無かった・・・」と。






自分の心の育て方
http://ameblo.jp/ningen-monogatari/





































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Last updated  2019.08.04 13:22:38
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