Laub🍃

Laub🍃

2011.09.26
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カテゴリ: 🌾7種2次裏


その恐怖を隠すために幼馴染をしきりに励ました。

僕が行けなくても幼馴染が行けるならそれでいいと。

頑張るのが習い性の彼は、人の、僕の期待に応えようとしてくれた彼は優しいヒーローだった。

テレビの中の彼らよりもずっと。

「お前だから」

「お前がそうやってきらきらした目で見てくれるから」

彼がそういってくれた瞬間、僕は人を真っ直ぐ見られるようになった。

赤い髪越しの景色が、怖くなくなった。

虐められっ子を彼は助ける。優しい彼。

なんでも信じる彼。
どこにでもついていく僕。

テレビとは違うはずなのにどこかテレビのように一方的な関係。

いろんな痛みをごまかせる関係。

色々なテレビの中に君が居た。

外の世界ならきっと幸せに暮らせるだろうと思ってもいた。

逃げ出さなかったのは、あの人の掌の上が心地よかったから。

楽園に殺人鬼が居た。心の弱い大人だった。殺意などなかった。

だから皆がそれに気づかない馬鹿な子羊のまま殺されていった。

人間扱いされなかった。

現実なんて知らない夢の中で生きてきた。

殺すも殺されるもすべて夢の中で。

だから彼は殺してしまったし、あいつは殺せなかった。

地獄から帰ってきて、戻ってきた彼は別人になっていた。

似ているけれど中身が入れ替わっていたかのように。

あの時、それでも同じだと言って上げられればよかったのかな。

彼が変わるとき一緒にいられなかった悔しさと嫉妬がその邪魔をする。




目が覚めた先にある未来が絶望なら、それまでの間に殺してあげるのがやさしさというものなのかもしれない。


目の眩む熱中症の色とりどりの瞬きから抜け出してようやっと空の空虚に自分色の雲を挙げられた彼らの中、僕は布の中ただ壊れてボロボロになっていく。


全てが土と風に還る世界で僕だけはそのままでいてほしいという願いなのか。



だから僕は芽を伸ばした。

花は咲かせず、種も作らない、ただ茂るだけの植物を。


それが君を守る場所になればと、願う。





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最終更新日  2017.06.13 04:07:16
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