Laub🍃

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2012.04.11
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カテゴリ: .1次メモ
わたしたちははじめおなじだった。
じきに、分離して二つになった。
たくさんのわたしたちはたくさんのあなたたちになった。

最後に分離したあなたと私はいつも一緒だった。
似た者同士だから、面白味は少なかったけど、いつも安心できた。


あるときあなたが病気になった。
先生がやってきて、あなたが消えれば私たちは助かるのだと言った。
私はあなたをかばった。私もあなたと同じ病気になった。

私とあなたは殺された。




暗い闇の中に落ちていく。次こそは、もっと大きな世界に行けるだろうか。

私たちの存在をちっぽけなものだと思えるような、私たちの世界が一つの「私」であるような、そんな存在になれるだろうか。



ちっぽけが消える。かばった私とかばわれたあなた。

あなたに最後に声をかける、
「「いままでありがとう」」

声は重なった。やっぱり似た者同士なのだ私たちは。

「次の世界でも、隣同士で生まれよ」
「同じじゃなくて?」
「隣同士がいいの」

ちっぽけなちっぽけな世界だからこそ、私の目は私とあなたを違うものとして見られる。
それだけが唯一の救いかもしれない。





 だって、同じじゃないから、二人だからこそ。

 今だって私は一人ぼっちじゃない。





*****


キラーT細胞に粛清された細胞擬人化。

遠目では同じに見えても近くで見るといろいろ違う、自己愛未満他者愛未満。





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最終更新日  2016.01.23 18:16:02
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