Laub🍃

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2017.07.08
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カテゴリ: 🌾7種2次表
「お前を切り捨てた夏Aを助けに行くのか」

 涼のそんな揶揄を安居は当たり前のようにかわす。
 なじられるとしても。自分の犯した罪と直面するとしても。
 その生き方さえも否定されるかもしれないとしても。

 安居の安居たる部分が、それを我慢するのは無理だと言っている。

 洞窟を見詰めるその目は涼が信じてきたどこまでも綺麗なもので、涼は今日もため息を吐く。





 安居は仲間を責めず、また切り捨てない。
 それは混合に拉致される隙を作った小瑠璃に対しても、ハルと花を暗い泥濘に落とした涼に対してもとられる態度だ。

 それはあまりに危うい。

 けれど、それが安居だとも涼は思う。

 細かい部分で「危ないからやめろ」と言うことはしても、大局的には仲間の生き方を認めている。安居は仲間の人生観を否定しないで、相手の闇ごと、相手の嫌うものごと仲間の一部として認め、守る。
 -それは、きっと茂との衝突、続く悲劇によって余計に強まった。

 命がかかっていないことなら、もっと話を聴いてやればよかったと、その人生観に沿うことができていればと、安居はきっと思ったのだろう。

 ーだから、今やそうすることこそが安居の生き甲斐なのだ。
 いくらその言動が安居自身を危険に晒すとしても。

 幼い頃からリーダーを目指してきた安居にとって仲間は命だ。
 その対象が茂であれば、幼い頃から親しんできた為、独占欲と仲間意識から「どうして裏切った」と言えるのだろう。だが、価値観も生き方も生活範囲も異なる仲間に安居はそう言えない。

 ならば、生涯終わるまで関わらなければいいだろうに、安居はまたわざわざ助けに行く。
 その安居を助けに行く涼の身になれと涼は思うーーーだが、そうできないことこそが安居らしくもあるジレンマ。
 少し昔のように安居に刺々しい言葉を吐いても、安居がそれでもオレはと綺麗過ぎるその目で理想を語る懐かしさ。

 昔の施設の皆の顔が少しだけ過る。

 この安居を、要さんに会わせるのは危険だ。
 特に一人で会ったら、どちらかが死ぬだろう。
 だから、少し胸は晴れなくとも頼んだのだ。

「安居を一人で行かせるな」ーと。

 目を閉じ、改めて涼は決意する。
 新たな傷から安居を守らねばならないと。

敵対 ・・ して現れるならともかく、安居にとっては「何をさしおいても信じるべき」である 味方 ・・ の顔で裏切られたら、味方と敵で構成された安居の世界が壊れる。
 たった一人しか「信じられ」ない涼をおいて、そのたった一人ー…安居の精神が彼岸に行ってしまう。

 別に大好きとかそういうことではないのだ。
 心配というわけでもない。

 自分自身の信じられる、唯一の世界を守らねばならない、そう思っているだけだ。
 味方を守ることで自分自身を保っている安居の世界なら、最後まで残ってやっても別にいいかーそう思っているだけだ。

 涼の思う「無様」な姿ー…「仲間を鑑みない」「仲間に自分の都合を押し付ける」「仲間の善意を信じない」安居でさえなければ、それだけで涼は守りたいと思う。


 喩えそんな二人が、仲間以外にどう見られようとも。



**********************



あとがき



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涼の言う「無様」とは何なのかがいまだにつかみきれない。
最初の「無様」と次の「無様」、更に言うなら安居以外に対して言う「無様」「みっともない」の定義が異なる可能性もあるし、いくつかの意味複合で言っているのかもしれないけれど。

自分で責任を取り切れないのはほかの人の責任を取る代わりにある程度自分の責任も託す、リーダー安居に当て嵌まらない。

だから、

・仲間を大事にしない
 ・仲間に間接的に害・悪評が及ぶこと、嫌な感情を与えること(逃げ出そうとしたとはいえ一応仲間である花に対し仲間がストップかけてるのに強襲)をする
 ・仲間のトラウマを掘り起こすことをする
 ・自分の失敗経験を活かせない
 ・仲間を疑う
 ・仲間を切り捨てる

・感情的過ぎる
 ・→ゆえに、焦っていると大局でものを見られず猪突猛進
 ・→ゆえに、仲間を理不尽に責めてしまう(ex:茂と鵜飼、小瑠璃とハル)
 ・→ゆえに、本当に警戒すべきところでない部分を警戒していて面倒臭い
 ・死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない

涼の美意識
vs
安居の「綺麗」への好意+ある程度は放っておけない、ある程度は先生に染められてしまったことへの不満、ある程度は人間なら仕方ないよな(人間臭さと「綺麗」は逆でもあるしかぶってもいる)、ある程度は歪んだライバル心(と言う名のある種の独占欲)の混合

として涼の言動読み返してみると面白い。





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最終更新日  2017.07.24 12:25:41
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