Laub🍃

Laub🍃

2017.08.14
XML
カテゴリ: 🌾7種2次裏
夢も見ないくらいに疲れる為に、体と頭を動かした。

眠りたい、苦しい、もう嫌だ、ごめんなさい、そんな安居の寝言を聞かない為に。


ずっと待ってた。
それなのに安居は、その辛い経験をちっとも話してくれない。
あいつには話した癖に。



だから僕はもっと離れることにした。
そうすれば寄りかかることはない。
面倒を見ることもない。

待っていてもやってこない安居を待つこともない。




僕はきっとそれに追いつけないと思った。


そうして、気力が切れて、勉強のさなか眠りに落ちた。



どぼんと、水の中に落とされたようなとろけるような感覚。
乾いた体に水がしみこむような、待ち望んでいたものが得られる感覚。


その水底に、安居が居た。
沈んでくる僕を見上げて意外そうに、だけど待ち遠しそうに笑った。

ここ数年見てない安居の笑顔。

それだけで全てがはじけとんで、僕の体は軽い子供のものになっていて、安居の手に手を伸ばして、重ねて、そうして。


ばちりと強い痛みが走った。


……目が覚めた時、部屋は炎に包まれていた。


あのまま眠っていたらどうなっていたんだろう、なんて思いながら必死で避難訓練を思い出しながら脱出する。荷物なんて持って出る余裕ない。



さっき痛みが走ったところを握りしめる。
火の粉が飛んだらしいそこは痛いけれど傷は大したことない。
むしろ眠気覚ましに丁度いい。

「……生きなくちゃ」

なんのためかわからない。


だけど、まだ、死ねない。

やるべきことを、やるまで、死ねない。


……それが何なのか、分かる保証もないけど。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2018.08.19 18:12:45
コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: