Laub🍃

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2017.09.16
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カテゴリ: ●少年漫画
この話には色々な主人公が居る。

そう思えるのは、彼らがそれぞれのスタンスを善であれ悪であれ貫こうと懸命に努力しているからだ。
だからこそ、名言が胸を打つ。そして日々、読み手の生きる糧になる。

数年前、リアルタイムでヤンガンで読んでいた「鬼灯の島」では絶望と行き違いが語られたように思っていた。だから主人公達が保険金をかけられ殺されるという被害妄想半ばして、大人たちを殺しかける辺りはスリルと緊張感があったけれど、読後感はなかなかうまく語れないものとなっていた。
(なお某パンツ窃盗身バレ引っ越し優等生の番外編で更になんとも言えない気持ちは強まった)

けれどこちらでは更にその先、絶望の壁を越えて、虚しさを抱えて、それでも全てを明るみに出して、今一度、やり直す必要のない道を選ぶ話となっている。

今日よりも、よりよい明日の為に頑張る話。
誰に知られなくても「成し遂げる」話。

今大きな壁に立ち向かっている人の心に希望を与える話。



いつも通りの日常を造る為にどれだけのことが必要なのか、という話。
何度も立ち上がる人がヒーローだ、という話。
諦めない殺人鬼を、諦めないヒーローがどこまでも追い詰める話。
殺人鬼がストーカーする話。殺人鬼目線が唐突に入ってくる話。


タイムスリップだけなら、やり直す(けれどうまくいかない)話だけだったら、ここまでのめりこまなかったと思う。


犯罪心理。

警察や厄介な存在を敢えて呼び、利用する手順。

疑われても行動で示す力。


そうしたものがいくつも積み重なって、リアルかつ、やり直しに甘えない話となって読者の心に迫ってくるのだと思う。


・言葉の一つ一つが日常の会話なのにいちいち読んでる人のトラウマを昇華しにかかってくるのずるい。好き。いずれちゃんと感想を書きたいんだけど絶対これ気付いたら一日かかってるやつだから書けないジレンマ…orz

・実は二次創作で犯人を知ったまま読み始めちゃったんだけど、中盤で割と心底後悔した。記憶喪失して読み直したい。まあこれはこれで味わい深かったから…いい……orz



・信じたいかどうかだ、と話すヒーロー、ヒーローの相方、未来ヒロイン。

 疑うことから始める推理もの・デスゲームもののアンチテーゼのようで、危なっかしいけどとても綺麗な生き甲斐、信じるということができるのが羨ましくて尊いと思う。

・刺激厨の犯行者←→静かに暮らしたい系の犯行者 だと確実に左な殺人鬼なんだけど15年の間見守りながらおとなしくしていた(※ただし追っかけはする)あたりが最高にクレイジーを越えたクレイジーで良い

・おかげで最近読んでいる「グレートギャッツビー」という小説でも外から窓を眺める行為だけで


を連想できるようになりました。ありがとうございます。


……やっぱり手を繋いだり呼び方変化したり必死になって助けようとしたり惚れ直されてたりした所からするとくっついてるルートも読みたかったなーと思ってしまう…けど、
ある少女の結婚相手が主人公でない、ある少年だということは、ヒーローの行いが最大限に報われて実ったということなんだとも思う。

・悟にとって「父親に最も近い人」。
 彼の正体がわかった時の歪んだ笑み、観念した時の顔を思い返すと
 「死刑前提の収監」は当然だと思う。
 何年も抱え込んできた秘密を漏らすことなく述べることこそが、そうしてそれを悟の「努力」へのご褒美として捧げることこそがもしかしたら彼にとっては至高の瞬間であり、生き甲斐なく生きることへの恐怖も絶望も何もかもを殺してくれるものなんだと思う。

 スパイスを振りかけてごちそうさました後、自分が人生の糧にされること、飲み込まれることを彼は最期の喜びとしているんじゃないかと思える。


 どっかのパンツ窃盗野郎とは大違いだ!!


・主人公側と悪役側が和解しない(自首&供述は和解の一種といえばそうだけど)
・主人公側と悪役側が己の意志を貫く
・主人公側と悪役側がそれぞれ喪失を抱えつつも満足してラストを迎える


これらが揃っているこの話が大好きです。





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最終更新日  2017.12.17 00:02:24
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