Laub🍃

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2020.02.20
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木の国の海中洞窟は、地の国の水路、そして地の国の魔女の住処に繋がっている。

 元々この洞窟は、かつて地の国から木の国へ脱出しようとした人々が掘り切ったものだ。
 初めは出稼ぎの感覚で、「いずれあの地が浄化されれば帰る」と言って出ていく人が多かった。しかし木の国で何世代も暮らす内にそこに帰化した人々は、あの薄暗い地下や荒れ果てた地上にはもう戻りたくないと思うようになりーーーーそして、かの地を忘れて行った。そこに繋がる道も、もはや深い森に覆われて見えない。

 地の国に残った人々もみな眠りに就いた。
 たった一人を除いて、もはや誰もその通路を行き来する者など居なかったーーーー今に至るまでは。

「よお、元気してたか?クソども」

 地の魔女は洞窟の人面岩を叩いて進む。

「おかえりなさい、魔女様」
「おかえりなさい、我らが主」



 地の魔女の麗しくうねる黒髪の後ろに控えるは、四肢を復活させた忠犬と、忠犬の持つ鎖で引かれる泥で出来た犬一匹。

「私が居ない間に異常は起こってねえだろうな?」
「勿論です」

 ある一地点で地の魔女が手をかざしたところ、岩は左右にゴゴゴと開いていく。


「戻ってきたぜ、『私』」
「お帰りなさい、『私』」

 魔女の目の前の魔女にそっくりな女は両手を広げて抱き締める。

 魔女が溶けて、やがて一つになる。

「……また髪飾りを増やしたのか?」

 魔女の夜空のような流れる髪に、真っ赤な宝石が一つ。
 その色に魔女の狗は勇者を想い出す。


「……あんまり贅沢しすぎるなよ」
「はーい」

 魔女は両手を広げ、夜空色のベッドにダイブする。

「ケルベロス、お前も休めよ。ずっと拷問されっぱなしで疲れただろ」
「……誰のためだと……」

「……まあいいや、んで、じゃあこいつはどうすんだよ」

 魔女の狗は、新入りの犬に目を落とす。

「ああ、こいつなら喰ったり固めたりしなくても大丈夫。むしろ少し意識を残してた方が都合がいいんだ」
「……残酷な事するな」
「心配するなよ、お前には絶対にこんなことしねえから」
「そっちの心配はしてねえよ」

 新入りの犬ーーー 僕だったもの は、ただぼんやりとその様子を眺めていた。





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最終更新日  2021.05.09 06:18:49
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