トドのつまりは・・・

トドのつまりは・・・

2009年06月21日
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カテゴリ: AV
以前、毎月、発売中のレコーダー全機種について、各社のDVD-Rで録画してみて、メディア毎の画質、音質のよし悪しについて、評価点をつけているAV専門誌があったが、全く意味があると思えなかった。


AV機器とは関係のないパソコンソフトの話になるが、すぐに戻ってくるので、話を聴いて欲しい。

パソコンの標準的なアーカイブ形式にZIP形式というフォーマットがある。
パソコンのパスワード付きZIP形式は、データ圧縮されていて、さらに、パスワードをつけた場合は、さらに中身が解読できないよう暗号化される。なお、エラー訂正符号化はされておらず、データの化けがあれば、エラーの検出だけができるようになっている。

今、非圧縮のBMPファイルを、ZIPで圧縮したとして、このZIPファイルのデータを、ネットで他人のパソコンに送ったとしよう。
そのとき、ネットの品質が悪く、途中の1バイトが壊れてしまった、あるいは、欠けてしまったとしよう。

さて、このZIPファイルを、送った先のパソコンで解凍したらどうなるだろうか?
ZIP形式では、エラー訂正の符号化はされていないので、ファイル内のエラーを回復することはできないが、エラーがあることは検知できるので、「データにエラーがある」ことは表示される。

もし、暗号化をかけないZIPだった場合は、無理やり復元できるかもしれないが、壊れたBMPファイルが出来上がる。

ここで注意して欲しいのは、たとえ、ZIPファイル上で、1バイトだけ壊れたとしても、それを解凍したBMPファイルが1バイトだけ壊れている状態になるわけではない。圧縮したデータが一部壊れた場合、元のデータへの影響範囲は、ZIPだと、全体とは言わないが、広範囲に渡ってしまう。
このBMPファイルを開いてみてみるとどうなるだろうか?
画像ファイルの、ある範囲が壊れた状態で表示されてしまう。
決して、ZIPファイルにエラーが発生していたからといって、復元した画像ファイルが、ぼやけて解像度が悪くなったり、色が地味になったりすることはない。

以上のことは、パソコンを使っている人なら、技術的に分からない人でも、感覚的に納得してもらえると思う。

これは、デジタルAV機器の世界でも、全く同じだ。

元の映像を、デジタル化する場合、MPEG2などで圧縮符号化する。さらに、放送やDVDなどでは、暗号化を施す。
その上で、放送で送ったり、DVDに書き込むときに、データに冗長性を持たせて、一部にエラーが発生しても修復できるようエラー訂正符号化を行う。
HDMIケーブルによる伝送の場合は、再生する映像音声のデータは圧縮せず、著作権保護のための暗号化と、ある程度のエラー発生をリカバリするエラー訂正符号化だけを行う。

このような処理手順は、先に説明したパソコンで画像ファイルを送るステップと基本的に変わりがない。

単に、映像が崩れたり、途切れたりするだけのことなのだ。

「撮影した写真を添付したメールが携帯電話に送られてきたのですが、携帯の電波状態が悪かったせいで、写真の写りがぼやけて、悪いんですけど」

なんていったら、「お前アホか」と思いませんか?
エラーが発生したとしても、それは、写真が送れないだけなのだ。電波状態が悪いからといって、JPEGで符号化された写真の画質が微妙に劣化する訳がない。

パソコンや携帯電話では、ありえないことを、なぜか、AV機器の世界では、普通に信じている人がいる。


また、一つのBDレコーダーに対し、色々な会社のBD-Rを使ってデジタル放送録画をしてみて、(放送デジタルデータのまま記録するDR録画モードにもかかわらず)「やや画質がソフトになる」とか「低音が力強い」などと、記録メディアによる画質、音質の違いを得々と語る評論家もいる。

あのねぇ、BD-Rにデジタル放送を記録するときには暗号化するの。暗号化したファイルの一部がもし化けたとしても、その部分が正しく再生できないだけで、原理的に画がボケたりは絶対にしないんですよ。

なお、注意したいのは、 以上の批判は、完全なデジタルデータの伝送に閉じる場合のみ適用できる話 であり、 評価対象が、デジタルデータをアナログ信号に変換する部分を含む場合は、この限りではない ことに注意して欲しい。

たとえば、BDプレーヤーでBDビデオを再生するとき、映像、音声を復号するところまでは完全デジタルだが、復号した映像音声を、D/Aコンバーターという部品で、アナログ信号に変換して、アナログ信号のD端子やピンジャックの端子でテレビに繋いだとしたら、当然、D/Aコンバーター以降のアナログ回路やアナログ信号の伝送ケーブルの性能で、画質が違ってくる。
また、BDプレーヤーでは、各社独自に画質改善のためのデジタル信号処理を行っている。従って、BDプレーヤーを同じテレビにHDMIケーブルで繋ぎ、同じBDビデオを見た場合、当然、プレーヤーごとに画質は違ってくる。

だから、BDビデオにデジタル記録された映像を、別のプレーヤーで再生すれば、プレーヤー毎に画質は違う。それはあって当然だ。
さらに、BDプレーヤーをHDMI接続したテレビを変えれば、当然画質も変わる。HDMI転送された映像を実際にモニターに映すテレビは、アナログ変換部の塊であり、当然、その部分の精度や品質は、画質に影響を与えるからだ。

しかしだ。
HDMIのような完全にデジタルからデジタルへの伝送で、しかも、暗号化されているのに、(プレーヤーとテレビは変えずに) ケーブルだけ を変えたからといって、画質が微妙に変わるなんてことはありえないことなのだ。
あったとしたら、それは、単なるプラシーボ効果だろう。

旧石器時代のAV評論家の、全般的特徴として、自分の耳に自身がありすぎて、自分にはプラシーボ効果なんて無縁だと思っているところがある。
実際、彼らのテストはプラシーボ効果に対する懸念について、全く無頓着で、プラシーボ効果を排除するようなテスト方法を敢えて取らないのである。

なお、ここまで、あえて音質について触れずに、画質だけについて、述べてきた。
実は、音質に関しては、デジタル伝送でも、音声のリアルタイム伝送については、ジッタという問題があり、たとえデジタル伝送であっても、送出側と受信側の動作の微妙な違い(一般に相性と言う)により、音質に影響が出る場合があるからだ。
具体的によく言われるのは、HDMIでBDプレーヤーからAVアンプに接続した場合、たとえ同じBDソフトを再生しても、HDMI伝送上の問題で、音質が劣化する場合があるという例である。

これについては、長くなるので、また別の書き込みで。





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最終更新日  2009年06月21日 01時05分40秒


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