2011.05.14
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隠微な世界を彷徨うあの人と

芯のぶれないあの人と

わたしの中には その両方が棲んでいる


だから

虚ろなまなざしで夢の残像を眺めているあの人と

現実を生きることの大切さを真っ直ぐに見据えているあの人と

どちらの想いも理解できる



けれど

わたしは







望みを叶えたいと願うから

だから

人は

欲望を感じたり

祈りを捧げたりするけれど


望めるものなど残されていないと悟ったとき

心は

欲望を手放さざるを得なくなり

祈ることも叶わなくなり


やがて

何を願えばいいのか







心が

鍵のかかったパンドラの箱だということは知っていた

その鍵が見つかれば

その箱が開けば

自分を生きられるということも




けれど

もしかしたら

それは思い違いだったのかもしれない


本当は

何ひとつ

分かってなどいなかったのかもしれない



いずれにせよ

たぶん

もう手遅れ

だから

もう終わり

そんな気がする





それでも

独り歩き続けるしかないわたしは

いったいどこへ向かっているのだろう



どこへ行けば

どこに居ればいいのかわからないまま

願いすらわからないままで





もちろん

わたしは知っている


希望とは

未来を信じて待つことをいうのではなく

誰かに与えてもらえるものでもないということを

それは

人が心を守るために必要不可欠な内在する力であり

真摯に現実と向き合う その姿勢の中にこそ育まれるものだということを



そして

希望へと姿を変えるかもしれない幸せのカケラたちは

実は ありふれた日常に散りばめられているのだということも

だからこそ

どんなに明日が見えないときでも 歩き続けなくてはいけないのだということも



知っているのだ

ちゃんと


わたしはオトナだから





けれど

心の声は聴こえない


眩しさも

痛みも

驚きも

寂しさも

優しさも

突如訪れた人生の転機さえもが

音もなく 静かな孤独の淵へと吸い込まれるように消えてゆく



幸せのカケラを拾い集めてみても

その光や温もりは

手のひらにありながら どこかよそよそしく

そして遠い


それはまるで

誰かの宝物を借りているかのように



自分を愛せない

癒しを得られる肌もない

どこで眠ればいいのかわからない



笑みを纏って生きることにも

あてどもなく彷徨うことにも

少し 疲れてしまった





もしかしたら

どこか見知らぬ世界へ弾き出されてしまったのかもしれない

あるいは

自ら迷い込んでしまったのかもしれない


なんだか

すごく遠くまで来てしまったような気がする





それでも

逃げず 隠れず

すべてをこの身で受け止めて

拒まず 抗わず

すべてをこの身に受け入れて


このまま黙って歩き続ければ

いつの日か

巡りめぐって

在るべき場所に辿り着くのだろうか





世界の片隅で空を見上げる


夜風に星が流れてゆく















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Last updated  2011.05.14 23:55:58
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