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サンガンピュールの物語(お菓子の国編)PL



 -作者の言葉-

 「サンガンピュールの物語」第6弾となる本作品。
 都内で「お菓子の国」が開催されると聞いて大はしゃぎのサンガンピュール。しかし実際に準備の現場を見てみると、自分の予想とはかけ離れていました。しかも背後には悪の組織が待ち構えているという訳の分からないものでした。今回もハチャメチャなストーリー展開をお楽しみ下さい!

 -プロローグ-

 ついこの前まで暑いと感じていたのが涼しくなり、朝晩はむしろ寒い。地球温暖化やヒートアイランド現象という言葉をよく耳にするようになってからは、日本には夏と冬という2つの季節しかないのでは。サンガンピュールとKはそんな思いを何度か共有した。Kは政治だとか経済だとか「多くの茨城県民の、車に頼り過ぎる生活」だとか様々な理由を原因として考えていたが、サンガンピュールは相変わらず全ての責任を京都議定書から離脱したアメリカに求めていた。この時点ではアメリカ嫌いはまだ治っていなかった。マクドナルドに行こうと言われると「嫌だ!」と拒絶するのはその最たる例だ。
 「そんなこと言ってたら生活成り立たねえぞ!」
 Kはいつもそう彼女に忠告しているが、困惑の日々はしばらく続きそうだ。
 暦の上では11月に突入した。身近なところでは拓也少年が出たサッカー大会が終わった。野球でも日本シリーズが終わり、日本一球団のキャプテンの無償トレードの話題が世の中を賑わしていた。そのことから分かるようにスポーツの秋は終わりかけているが、食欲の秋や行楽の秋はまだ終わっていない。だがその一方で前の月に衆議院が解散され、どの陣営を問わず選挙カーが職場である原宿近辺を何度も周回してくるのを「うざったい」と感じていたK。職場では自身も携わる大型プロジェクトが佳境を迎えている。プレゼンテーションに向けた新アイデアを考えるために集中しようとしても、外の選挙カーから聞こえる大音量のお願いコールに邪魔されてしまうので尚更そう思ってしまう。
 「少しでもいいから秋を楽しみたい!」
 そんな思いで気分転換を図るため、サンガンピュールにこんな提案をした。
 「ね、今度の日曜日に北千住のマルイに行かない?」
 「マルイ?やったーっ!」
 サンガンピュールはとびっきりうれしく反応した。
 「おっ、やっぱりうれしいのか?」
 「そりゃそうだよ。あんなにでかいスーパー、土浦にはないもん!」
 Kはこの時、「土浦にはイトーヨーカドーがあるんだが・・・」と思ったのだが黙っておくことにした。いずれにせよ、彼女が東京に出かけることをとても楽しみにしているのは間違いなかった。思えば中学入学前の昨年末までKと彼女は茨城県内様々なところを旅行して回った。牛久大仏に仰天したこともあったし、大洗港でフェリーを見て大騒ぎしたこともあった。彼女が中学に入学してからはそのような暇を作ることが難しくなってしまった。
 一方、中間テストの出来が悪かったことで、Kからお叱りを受けたサンガンピュールだが、先日知り合った拓也少年が出たサッカーの試合を経て(イラッチ仮面との一悶着があったが)スッキリしたのか、それともテストから1か月も経っていたのかすっかりケロッとしていた。新しい月が始まるとともに新しい気持ちで生活しようと改めて決意する彼女であった。しかしその決意がどこまで続くのだろうか、誰も知る由もない・・・。

 ( 第1話 に続く)


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