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サンガンピュールの物語(お菓子の国)14話



 長刀が目の前に近づく中、彼女はフォースを使った。天井に吊るされているクレーンを動かし、吊り荷を引っ掛ける部分を日数谷の腹に直撃させたのだ。日数谷には物凄い衝撃となって伝わり、皮膚を貫通して内臓まで一部見えていた。熊田が急いで止血にかかり、彼女はそれを阻止しようと熊田にタックルを試みた。だが熊田に強烈なキックを2発食らい、倒れてしまった。日数谷が悪あがきをするが、サンガンピュールはフォースで拳銃を奪い返し、それでとどめの一撃を食らわせた。内臓破裂とそれに伴う失血で日数谷は死んだ。

 工場内には「ゼーハー、ゼーハー」という両者の吐息だけが聞こえるだけとなった。しばしの沈黙を破ったのは熊田だった。
 「お前とこんな不毛な勝負をするのは諦めた。得意技でお前を葬り去ってやる!」
 そして右足を伸ばして左足との角度が150度くらいにした状態で立った。そして、
 「ライトセイバーでの戦いぶりを、拝見させてもらおうか」
 熊田が挑発した。サンガンピュールは自分のフォースで自分のライトセイバーを奪い返し、ボタンを押して赤く輝く光の刃を出現させた。その時、熊田はとあるリモコンのスイッチを押した。
 「ハハハハハ・・・、この俺を止められるか?」
 「何なの、今のボタンは?」
 「おう、これこそ、人質の爆弾に対する起爆装置だ。30分後に爆発する。止めたいんだったら俺を倒すんだな!」
 サンガンピュールは「しまった」と感じた。同時に、生々しいトラウマがよぎった。前日、初顔合わせの際にいとも簡単に一蹴されたことだ。果たして30分以内に起爆装置を止められるのだろうか。肉弾と同時に神経をも使う戦いが始まった。

 「いやああああっ!」
 彼女は勢いよく声を挙げて突撃した。刃を左に右に振り回すも熊田の身体をかすめもしなかった。正面から斬ろうとした時、熊田は自分の両手で、ライトセイバーを握りしめる彼女のそれを抑えた。5秒経って右足で蹴りを入れた。彼女はコンクリートの床に叩きつけられ、同時に刃を手放してしまった。その際、熊田が刃を奪い、彼女の額に近づかせた。あっという間に形勢を逆転された。

 「実につまんなかったな。ゲームオーバーだ!」

 とどめを刺そうとした時に、彼女は右手から電撃を発した。
 「うわああああっ!」
 熊田の悲鳴が聞こえた。サンガンピュールはライトセイバーを奪い返し、また振り回した。しかし熊田のすばしっこさは変わらない。そして、またキックでライトセイバーを落とされ、足で遠ざけられた。また、後頭部や腹を再びキックで直撃された。
サンガンピュールは素手での勝負を強いられていたが相手は足技の天才。拳で戦おうにもいとも簡単に技を封じられ、逆に強烈なパンチを入れられる。その繰り返しだった。勝ち目は無かった。
 そんな彼女は偶然の出来事で覚醒した。外からゴロゴロと雷鳴が聞こえてくる。そして外は瞬く間に本降りとなった。俗に言うゲリラ豪雨だ。雷鳴はますます大きくなっていった。その時、彼女は心の中で次の言葉が聞こえたような気がした。

 「・・・きなさい。サンガンピュール、聞きなさい」

 「・・・あんた、誰?」

 「ロンドンであなたに会った時から、正義の味方として動くあなたの戦いぶりを見てきました。時折間違ったことをしていたけれど、立派にやっていると思います。でも今日、そのままだと負けます。さあ、私が力を貸しますから、自分の信念を貫きなさい」

 そして同時に自分の身体の異変を感じたのだ。なんと、疲労困憊なはずなのに、自然と力が湧いてきたような気がした。そして確信した。
 「・・・勝てる。あたしは勝てる!」
 これに対して熊田は呆れたように見ていた。
 「またふざけたことをブツブツ言いやがって!・・・ぶっ殺してやる!」
 次の瞬間、サンガンピュールの怒涛の反撃が始まった。

 ( 第15話 に続く)


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