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サンガンピュールの物語(お菓子の国)17話



 「どうしてそう思うの?」
 「だってゆうこちゃんが授業を抜ける時間とサンガンピュールが事件を解決した時間がつながっているし、学校の先生もそんなに厳しく注意していないみたいだし、それにゆうこちゃんとサンガンピュールが双子か同一人物としか思えないほどそっくりさんだし・・・」
 「分かったよ、分かったよ!正直に言います!」
 遂に観念した。
 「あたしはサンガンピュール本人です!」
 あずみのマシンガントークに押される形であっさりと真実を告白してしまった。
 「ほんとだったの!?」
 あずみはむしろ、あまりにあっさりとした言動に驚いた。
 「うん、『塩崎ゆうこ』は学校で名乗ってる名前だよ」
 「・・・・・・やっぱり」
 サンガンピュールはおそるおそるの心境ながらも、あずみの真意を確かめたかった。
 「あ・・・、これであたしのことが嫌いになったんなら、『嫌いだ』って言って!」

 「違う!」

 あずみは強い口調で否定した。
 「あたしはそのままのゆうこちゃんでいてほしいの。むしろ、ほっとしたよ。ゆうこちゃんとサンガンピュールが同一人物だってことを確かめたかったの。でも、これからも友達でいることに変わりはないよ。安心して」
 「・・・あずみ・・・」
 サンガンピュールはボロボロと涙がこぼれ落ちそうになった。それに気付いたあずみは一言。

 「ほらっ、我慢しないで。泣きたい時はいっぱい泣こうよ」

 これが決定打となった。
 「うわあああ~~~~~っ!!」
 同じ女の人でこれほどの包容力を持った人に出会ったのは、サンガンピュールにとって初めてだった。泣きたいと思った時はこれまで何度もあった。その度に自分を押し殺して生活してきた。しかし、この時ばかりは我慢せずに泣いた。今回のチクロンBとの戦いでは裏切りばかり経験してきた彼女が久しぶりに人の温かさ、優しさに触れた日だった。
 その日の午後、あずみは彼女が泣き止むまで一緒にいた。気づけば外の風景は暗くなり、もうすぐ6時だった。
 「もう大丈夫?」
 あずみが聞くと、サンガンピュールは
 「・・・・・・うん、大丈夫・・・」
 と答えた。続けて
 「・・・ごめん、あたしのこんな恥ずかしいところを見せちゃって・・・」
 と謝った。しかしあずみは
 「いいんだよ、泣きたい時に泣くというのは普通のことだから」
 と別に気に留めていなかった。
 「あっ、じゃあ、あたし、もう帰るね」
 「えっ、どうして?」
 「今日、7時から塾があるんだ。遅れたら大変なんだ」
 「・・・そうなんだ」
 「ごめんね、今まで言ってなくて。でも!」
 「・・・でも?」

 「何か相談したいことがあったら、いつでもあたしに言いに来て。力になってあげるから」

 サンガンピュールにとって、岩本あずみというクラスメイトは女神のような存在に見えた。

 ( エピローグ に続く)


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