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≪愛とバレエどちらを選ぶ?≫レルモントフバレエ団に、社交界の令嬢ヴィッキー・ペイジが入団した。アンデルセンの童話「赤い靴」を題材に新しいバレエを公演する事になったが、レルモントフはヴィッキーの才能を見出し彼女を主人公に抜擢する。公演は成功しヴィッキーはたちまち脚光を浴び、作曲者のクラスターの人気も世界的になる。そして、ヴィッキーとクラスターの仲は次第に深まっていくのだが・・・有名なバレエ映画です。天才的なバレエ演出家のレルモントフですが、自分のバレエの理想像を追求するあまり団員を人間として見ていないようなところがあり、恋愛に現をぬかすようであれば即刻クビにしてしまう冷酷な人物です。そのレルモントフが見出したヴィッキーとクラスター。彼らも素晴らしい才能の持ち主でありながら、ふたりが恋愛に陥っていると知るやいなや激怒するレルモントフ。自分を見出してくれた恩人と愛する人との間で揺れ動き、結局悲しい結果を迎える事となるヴィッキー。悲しく、切ないストーリーです。愛とバレエのどちらを取るか?現在では結婚しても前線で活躍するバレエダンサーはたくさんいます。あの時代はそれが許されなかったという事もあるのでしょう。バレエは「信仰」であると言い切るレルモントフが、自分の芸術への理想を追求するあまり、犠牲となってしまうヴィッキーの悲哀が見事に描かれていました。そして、何よりバレエシーンが素晴らしいのです。実際のバレエシーンと映像の特殊効果が素晴らしくマッチしていて、光と影、色、特に「赤」の際立たせ方が見事だと思いました。舞台で赤い靴を履いてクルクルと回りながら踊り続けるシーン、そして、それが実際のものとなってしまうシーンをオーバーラップさせる所、そして音楽もまた素晴らしい。モイラ・シアラーのバレエには、言うまでもなくウットリとされられました。昔テレビドラマで「赤い靴」というバレエの物語を放映していました。“The Red Shoes~ ♪おどろう赤い靴~♪” と言う歌ではじまっていました。毎週観ていたのですが、きっとこの映画をモチーフにしていたのでしょうね。この映画、バレエの好きな方は是非ご覧になるといいのではないでしょうか。DVDTHE RED SHOES1948年イギリス監督/脚本:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー音楽:ブライアン・イースデイル出演:モイラ・シアラー、アントン・ウォルブルック、マリウス・ゴーリング、ロバート・ヘルプマン 他
2008.01.30
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≪ちょっと気恥ずかしくて落ち着いて観ていられない、そんな日本でした≫話題になった『SAYURI』です。漁村の貧しい家庭に生まれた千代は、9歳で姉と共に京に売られる。しかし途中で姉と離されて、花街の置屋で女中として働く事になった。そこには千代と同じ境遇のおカボと、花街一の売れっ子芸者初桃がいた。初桃から何故か執拗にいじめられ、下働きも辛く、やっと逢えた姉と逃げるはずだった計画もだめになり、失意のどん底の千代。そんな彼女の目の前に現れたのは、"会長"と呼ばれる優しく立派な紳士だった。その日から、千代は自分も芸者になり、再び会長さんに出会いたいと思うのだった。映像がとっても美しかったです。何の色も無い花街の屋根屋根、遠くに見える五重塔、桜の頃の艶やかさ、置屋の並ぶ花街の路地。たまに「中国か?」と思うような建物も出てきますが、この映像美はさすがに素晴らしかった。第二次世界大戦前、貧しい家から花街に売られ、ある男性との出会いを大切に、その男性への一途な想いから、"千代"が売れっ子芸者”さゆり”になっていく話で、戦後の様子までを描いています。会長とさゆりのお互いの想いの深さを、又何故にそこまで想えたか、と言うのはこちらが上手く読みとらなければならない、と言う部分もありましたが、花街の女達の饗宴、嫉妬、華やかさと苦労や表の顔と裏舞台を興味深く観る事が出来ました。主な俳優陣はいいです。日本人俳優は、着物の着こなしも所作も安心して見られました。桃井かおりはあの日本語の独特の喋り方が、英語でもやっぱり桃井かおりってところが面白い。工藤夕貴は、童顔なんで舞妓の格好をしても違和感なし。渡辺謙の今回の役所は、『ラストサムライ』ほどのインパクトは無しですが、役所広司ともどもそつなくこなしていました。中国人が日本の芸者を演じるのはどうかな?と思っていましたが、みんなもちろん演技は上手いし、豆葉役のミシェル・ヨーは全く日本人でした。倍賞美津子のような雰囲気があるし、何ともしっとりとした色気がある。チャン・ツィイーは、やっぱり可愛いし英語も上手いから、この主役に選ばれたのもわかります。そして特筆すべきはコン・リー。言わば彼女は初桃と言うさゆりをいじめる仇役ですが、売れっ子でわがままな初桃もいろんな苦労をしてきてやっと今があり、だけど幼き千代の姿に、この子はいずれ自分のライバルになると予感させるものを持っていたが故に、自分の幼き頃の姿を映し、半ば同情もし、憎らしくもあった。そんな所を充分に表現していて、彼女の表情、演技には圧倒させられました。原作は読んでいませんが、もちろん、スタッフは随分と研究したのだと思います。日本文化を充分にリスペクトして作られているのだという感じは受けました。ただ、どうしても言わずにはおれません。どんなにこれらの名三女優をしても、やっぱり着物の着付けが、所作があ~あ、なんです。この作品がこういう形で撮られる事がわかってから危惧していた事は、やっぱり起こってしまっていました。芸者なのに日本髪を結わないのですか?おカボやさゆりは見習い芸者、つまり舞台が京であれば舞妓なのに、だらりの帯は結んでいますが、(おカボは髪を結ってましたが)さゆりは普通のというか、やたら派手に髪をアップしています。そして時々、長い髪をだらりと垂らしたまま着物を着てる。そして、初桃と豆葉の着付けがイヤ! 島田を結ってれば大きくつけ襟してもいいけど、あの髪型で、それもつけ襟の襟をほとんど出して無いほどに着付けて、それでいてものすごくつけ襟してて、それがもう下品でしょうがない。豆葉は比較的品のある雰囲気を出してるけど、それでもあのつけ襟を見たら幻滅。会長が千代に初めて会うシーンで連れている二人の芸者は甚だしい。髪型はもちろん、変な白塗りで、オペラの「マダムバタフライ」が外国人に演じられているような変な雰囲気。おまけにひとりの芸者は、痩せすぎているのかおはしよりが皺がよってぐちゃぐちゃ。着付けとか日本人がしてるんじゃないんですか!?水の相を持ったさゆりですが、チャン・ツィイー、ちょっとどうかな。何度も言うけど、可愛くてすてきで、大好きな女優さんなんです。でもやっぱり日本人とはどこか違ってた。これは当たり前でしょうがない事なんですけどね。踊りは上手いです。でも、チャン・ツィイーのお稽古風景やお座敷での踊りは??? 扇の骨の間に指を入れて回す振りはありますが、両手を一緒に指でグルグル回すのはないでしょ。それに扇を右手、左手へと移す振りもありますが、あんなに何度もずうっとやることはありえないでしょ。あれじゃまるで曲芸。もう、失笑!お稽古風景ももっとゆっくりとした芸者の艶のある踊りを見せるシーンがあっていいものを。そして、さゆりが舞台で三味線の音色バックに吹雪の中舞うシーン。さすがにツィイー、踊りは上手いですが、あれは日舞じゃありません。どう見てもやっぱり中国舞踊でした。振り付けは日本人なんでしょうかね?にしては、やっぱり変でした。芸者さんたちが踊る井上流のようなきちんとした古典舞踊を振り付け、表現してほしかったです。この映画を観た人の感想で、「日本だと思わずに、どこか架空の国の話と思って観たらいい」とか「しょせんハリウッドが作った映画だから、こんなもんだと思って観たらいい」という意見も多く目にしました。でも、私はやっぱりがっかりです。もちろん、アメリカ人からみたらこんなもんだろう、正確には描けない、とはわかっていますが、仮にも芸者を描いている映画で、その芸者は着物を着、三味や踊りといった芸を売る事を生業としている人たち。その大切な着物の着付け、所作、踊りといったものがきちんと描かれていなければ成功とは言えないと思います。あれだけ日本人俳優が出ていて、そのあたりの意見は言えなかったのでしょうか。渡辺謙は『硫黄島からの手紙』ではいろいろ意見を言ったようですが、『SAYURI』の時はまだ言えるような立場じゃなかったのでしょうか。 とても美しい日本が描かれていました。しかし、情緒ある日本と言うのは描かれていませんでした。唯一、この映画で目頭が熱くなるシーンを見せてくれたのが子供時代の千代を演じた大後寿々花ちゃんでした。彼女の健気で、寂しげで、でも芯のある、そして水の相を持った雰囲気はまさしく千代でした。彼女が会長さんと初めて出会い、神社へ一目散へ駆けて行きお参りするシーンが一番目に焼きついています。だのに、それなのに、あんなにいいシーンなのに、神社の鈴を鳴らしたら「ゴーン」と鐘の音がしたのにはずっこけた。もう…ずうっと、こそばゆい思いで観ていたんです。外国人が観たら何とも思わないんでしょうけど。これは誰か日本人の監督が、日本人キャストでもう一回映画作ってくれるしかないかな。ハリウッドのような美しいファンタジックな映像は無理かもしれないし、お金もかけられないけど、もっと個々の登場人物の本質や悲哀、そして情緒ある日本を撮ってほしい、と切なる願いです。MEMOIRS OF A GEISHA2005年監督:ロブ・マーシャル脚本:ロビン・スウィコード、ダグ・ライト原作:アーサー・ゴールデン 衣装デザイン:コリーン・アトウッド音楽:ジョン・ウィリアムズ出演:チャン・ツィイー、渡辺 謙、ミシェル・ヨー、役所広司、桃井かおり、コン・リー、工藤夕貴、大後寿々花DVD
2007.05.11
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実は宮部みゆき作品を読んだのはこれが初めて。中学1年生の雅男は結婚15年目の両親との3人家族。ごく普通の家庭だが、両親の仲は少しだけ危うい状態。そこへある日弁護士が訪ねてくる。“放浪の相場師”と呼ばれた人物が雅男の母親に五億円もの財産を遺贈したのだ。それをきっかけに周りの、その事を知った人達の態度が変わってくる。脅迫電話もかかってくるし。一体どうしてその相場師は、母親にそれほどのものを…久々にこのジャンルの本を読んだので、スリルを楽しんだ。もしある日突然自分に5億円もの大金が転がりこんできたら、一体どうするだろうか?もし宝くじに当たったら、この位は寄付して、この位はこうして…等と、発表があるまでは真剣に考えてひとり頭を悩ますが(笑)、実際自分のものになったら、それも宝くじじゃなくて遺贈されたりしたら、絶対にパニック。最後は、「え~っ、そこまでして!」と思う内容だったけど、これをきっかけに宮部作品を読むことになりそう。『今夜は眠れない』 宮部みゆき
2004.08.10
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グーっときてしまった。13歳の息子チュンのヴァイオリンに天性のものを感じた父親は、北京のコンクールに出場する息子と共に田舎から出てくる。コンクールでは5位。実力はナンバーワンだがコネの世界。父親は息子を何とか成功させたいと必死で働き、良い先生につけさせようとあちらこちらで頭を下げる。そのうちある有名な教授がチュンの才能を認め彼を教える事になるが、チュンは自分の大切なヴァイオリンを売ってしまっていた。父親がとにかく一生懸命だ。息子のためなら全財産はたいても、何でもするといったような心がまえだ。時に、なにもそこまでしなくても、と少し恥ずかしくなるくらいなりふり構わず息子の為に振舞う姿は、『北の国から』の五郎さんを思い出してしまった。帽子をかぶったあの風貌…似ている。途中、父親の気持ちがあまりに大きくて、押しつけがましくなっているような気がした。チュンも年上の女性への淡い恋心を覚えた時期で、父親の言う事ばかり聞いていられない反抗心も芽生えるが、それでも、父親の愛情は深かった。最初についた先生との関係、年上の女性との関係、親子の関係とストーリーはいろいろ絡んでいる。そして目に付くのはお金のやり取り。いろんな場面で札束が出てくる。一枚のお札を大切に使わなければならない者から、撒き散らすように使う者。そして、お金には頓着ない者。決して裕福ではないチュン少年は、何の為にヴァイオリンを弾くのか、何が大切なのかが次第にわかってくる。成功だけが必ずしも幸せとは限らない、ラストはそんな事を考えさせられた。チェン・カイコー監督 2002年作品原題 TOGETHER
2004.12.03
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