のぽねこミステリ館

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2017.05.28
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~祥伝社文庫、2009年~


 歌野晶午さんの、ノンシリーズの中編集です。4作の中編が収録されています。
 それでは、簡単に内容紹介と感想を。

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「そして名探偵は生まれた」 常識的な生活能力が欠如し、儲からないのなんのと下世話な愚痴が多い名探偵、影浦逸水と、その助手の武邑が、難事件解決の後、会社のパーティに招待された。山荘で泊まっていた夜、事件が起こる。密室状況の大会場で、会社社長が殺されていた。ドアには鍵がかかり、外の雪には足跡がなかった。武邑は、事件が起こったことを影浦に報告するが、影浦は、無償での仕事はしないと動きそうにない。そこで武邑は、自ら事件の捜査に乗り出すこととなる。

「生存者、一名」 新興宗教団体のメンバーが、孤島にたどり着いた。大きな「手柄」をたてた後、海外への逃亡の準備が整うまでという。しかし、彼らは島流しにされていた。そして孤島での生活が続く中、次々とメンバーが殺されていく……。

「館という名の楽園で」 ミステリ研究会の同窓生、冬木統一郎から、新居への招待状が届いた。その新居は、ミステリマニアの冬木が長年憧れていた「館」だった。冬木は、三人の兄弟が別々の棟に暮らしていたというその「三星館」で起こった昔の消失事件を語り、謎を提示する。さらには、集められたメンバー全員で、謎解きゲームを行うという。密室状況の中、犯人はいかにして犯行を行ったのか?

「夏の雪、冬のサンバ」 不法入国者たちの住む、古いアパートで起こった殺人事件。雪の密室状況のなかで、犯人はいかに現場から逃走したのか?
―――

巻末の、日下三蔵さんによる解説にも書かれていますが、本書収録作のうち、「生存者、一名」と「館という名の楽園で」は、それぞれ2000年と2002年に、祥伝社文庫の企画「400円文庫」として刊行されていました。私も「400円文庫」で読んでいましたが、もうだいぶ前のことで、今回久々の再読でした。

 表題作は、名探偵という存在やミステリへのパロディのようで楽しくもあり、ブラックでもあり、面白く読みました。
「生存者、一名」は一番重たい作品です。
「館という名の楽園で」は、「館もの」というジャンルの醍醐味が味わえます。楽しいだけでなく、辛い余韻もありますが。
 というんで、バラエティに富んだ作品集です。面白かったです。

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Last updated  2017.05.28 13:54:38
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